9月に味の素が北米での冷凍食品事業を約24億円規模で強化することを発表したり、2012年にニチレイが子会社化した米イノバジアン・クイジーン社の業績が2ケタ増収で伸張したりと、北米で冷凍食品業界が好調だ。

一方、国内の冷凍食品市場も堅調といえる。日本冷凍食品協会の統計データによると、家庭向け冷凍食品の生産量は2005年に55万130トン、2014年には60万7020トンまで伸張している。2013年に63万643トンだったが、その翌年に微減となったのは、13年12月に発覚した農薬混入事件や、14年4月から導入された消費税の影響のためとみられる。ただ、その影響も一段落したというのが一般的な見方だ。

とはいえ、国内の冷凍食品市場は楽観できない。外食産業やコンビニとのせめぎ合いや人口減少にさしかかった局面を考えると、爆発的な伸びは今後期待できない。飽和状態に近いというのが実情だろう。こうした情勢の中、ライバルメーカーとは少々異なる戦略をとっているのがテーブルマークだ。

主食へこだわりをみせる企業DNA

テーブルマーク 武田淳一氏

テーブルマーク マーケティング&セールス本部 マーケティング&セールス戦略部 米飯カテゴリーマネージャー 武田淳一氏は開口一番こう語った。「弊社では『米飯』『麺』『パン』といった主食を『ステープルフード』と呼んでいます。マーケット全体ではこうした主食は生産金額ベースで4分の1 に届くか届かないかという水準ですが、弊社ではこうしたステープルフードの割合が40~45% を占めます」という。

テーブルマークが主食にこだわるのは、その歴史に理由がある。テーブルマークの前身である加ト吉は、冷凍うどん市場を牽引してきた経緯があり、武田氏も「冷凍うどんのパイオニアとして主食にはこだわりがあり、食卓の中心になるもので勝負していきたい」と付け加えた。2010年にテーブルマークと改名しても、冷凍うどん製品のパッケージにだけは「加ト吉」のブランドを使い続けていることをみても、そのこだわりがうかがえる。

また、冷凍うどんが主事業だったため、同社の生産拠点は讃岐うどんの本場、香川県に集中しているが、2010年に新潟県魚沼市に工場を新設。新拠点では主に冷凍うどんやパックごはんの製造を行っている。日本屈指の“米どころ”に生産拠点を構えることからも主食に力を注いでいるのがわかる。「パックごはんは玄米から調達しています。また弊社はうどん製造に強みがあり、同じ小麦粉を原料とするパンにも注力しやすい環境にあります」(武田氏)と、主食に対する同社のアドバンテージをアピールした。