シーメンスPLMソフトウェアは10月26日~28日まで米シンシナティで開催した年次イベントSolid Edge University 2015において、3D CAD Solid Edgeの次期バージョンとなるSolid Edge ST9の新機能の一部を公開した。本稿ではその中から主だった新機能をご紹介する。

4Kディスプレイに対応

まず、ユーザーインターフェース面では、ユーザー設定を他のPCにインポートできるようになるほか、4Kなどの高解像度モニターに対応する。また、複数のドキュメントを開いている場合、それらの表示をタブで切り替える事が可能となる。

アセンブリに注釈を付けられる

次に、アセンブリやスケッチ図でブロックを作ったり配置することができるようになるほか、アセンブリやスケッチ図内にテキストボックスを挿入して注釈を付けることができるようになる。また、DXFやDWGファイルのインポートや、ドラフトからのジオメトリをコピーすることでもテキストボックスの生成が可能だという。

複雑な螺旋構造をパラメータで設定可能に

モデリング面では、1つのフィーチャーを使用する複数のボディを編集できるようになる。これにより、シンプルな作業で関連フィーチャーを作成することができるようになるほか、フィーチャーの数も抑えることができる。また、ソリッド上にパスを描いて切り抜きや突起を作成する機能や、複雑な螺旋構造をパラメータ設定によって作成する機能が追加される。さらに、板金設計でフラットパターン時にプレートの干渉をアラートする機能なども新しく加わることとなる。

Solid EdgeでSOLIDWORKSデータを活用

SOLIDWORKSデータとのインテグレーションも進む。具体的には、SOLIDWORKSの3Dモデルと図面をSolid Edgeにインポートした際、Solid Edge側でもモデルと図面のリンクが保たれる。例えば、図面のビューをダブルクリックすると該当する3Dモデルが開き、すぐに編集できるようになる。

また、SolidWorksの図面に入っていた寸法をそのままSolid Edgeの図面上でも図面要素につけられた寸法として取り扱うことができる。これにより、モデルを編集して図面が更新されたときにも寸法も追従して自動的に更新される。

上記以外では、アセンブリの関連性の確認および編集が可能となるAssembly Relationship Managerの追加、Revision Managerの機能強化なども発表された。

従来の流れを踏襲したUI強化

Solid Edge University 2015の展示スペースでも大きな存在感を放っていたSurface

今回の発表では、ユーザーインターフェースのアップデートが真っ先に紹介されたのが印象的だった。Solid Edgeといえば、なるべく多くのユーザーにとって使いやすいようにMicrosoft Officeに似たインターフェース設計を採用していることで知られ、表示ファイルをタブで切り替えられるようになったのも従来の流れに沿っているといえる。

また、Microsoft関連で言うと、近年Solid EdgeはMicrosoft Surfaceとの連携を強化しており、同イベントでもSurfaceがプラチナスポンサーとなっていた。スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスを開発プロセスの中にどのように組み込むかというのは多くのCADベンダーが取り組んでいる課題だが、Solid EdgeがSurfaceという特定のデバイスに的を絞った戦略を展開しているのは興味深い。

いずれにせよ、公開されたのは数多く予定されているアップデートのほんの一部。来年6月に予定されているSolid Edge ST9の正式リリースを楽しみに待ちたい。