低年齢化する「ネットいじめ」。特徴や対策を自治体に聞いた

親であれば1度や2度、悩んだことがあるかもしれない子どものいじめ。文部科学省はこのほど、全国の小中高校、特別支援学校を対象にしたいじめに関する調査の結果を発表し、平成26年度の調査において認知件数が過去最多の18万8,057件にのぼったことが明らかになった。

このうち、小学校での件数は初めて12万件を超えたほか、件数としては減少したものの、表面化しづらいネットいじめについても指摘されている。この問題について自治体はどのように捉えているのか聞いてみた。

低年齢化進むいじめ、潜在的なネットいじめも「予断を許さない」

今回の調査は、全国の国公立、私立の小中高特別支援学校を対象に行われたもの。平成26年度に認知されたいじめの件数は前年度より2,254件増加し、児童生徒1,000人あたりの認知件数は13.7件となっている。中でも注目すべきは小学校で認知されたいじめの件数だ。前年度は11万8,748件だったものが、12万2,271件と12万件を超え、過去最多の数字となった。

一方、「パソコンや携帯電話等で誹謗(ひぼう)中傷や嫌なことをされる」という、いわゆるネットいじめの件数については昨年度から890件減り、7,898件となった。しかし同省の担当者は「SNSなどのクローズな環境でのいじめは把握できていない可能性があるため、予断を許さない」とコメント。さらに小学校で認知された「ネットいじめ」の件数は増加傾向にあるという。

東京都では小学生のネットいじめが3割増 - SNS上のいじめ目立つ

ネットいじめの低年齢化が顕著にみられる結果が出たのが東京都だ。公立の小中高特別支援学校で認知されたいじめの件数は8,397件と前年度より13.0%減と全体では減少に転じたが、小学校でのネットいじめの件数は前年度の1.3倍に増えた。

ネットいじめの特徴について東京都に聞いてみると、「SNS上でのいじめが目立つ」と指摘。都が独自に行った調査で、無料アプリを使う上で嫌な思いをしたことなどを聞いてみると、最も多かった回答は「悪口・デマを書かれた、見た」だった。次いで「グループ外しにあった」「全く知らない人からのメール・電話」「写真などの個人情報を載せられた」などが続いている。

都では、「ネットに接する前から教育をする必要があるが、啓発が追いついていない」として、今後対策を検討していくという。保護者への要望として、「インターネットに接続する機器を利用する時間や場所のルールを家族で話し合ってほしい」と話した。

子どものネットいじめに詳しいITジャーナリストの高橋暁子氏によれば、都の調査と同様に「グループ内で悪口を言う」「SNSのグループから外す」「いじめの対象者の恥ずかしい写真や動画をグループ内で共有する」といったいじめのケースが横行しているという。また被害の特徴として「帰宅しても逃れられず、転校しても転校先の子どもに恥ずかしい写真などが転送される。結果として延々といじめられることになる」と指摘。24時間いつでもつながり、コピーや拡散が容易なインターネットを使ったいじめは、被害のダメージも大きいそうだ。

なぜ、ネットいじめの低年齢化が進んでいるのか。そしてどのようにすれば、いじめの予防・早期発見が可能になるのか。後編でご紹介する。

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