ソフトバンクは4日、 2016年3月期第2四半期決算説明会を開催した。現在、総務省の主導で行われている「携帯電話の利用料金の引き下げ」についての議論。ソフトバンクでは、値下げに応じる構えはあるのだろうか。第2四半期決算説明会でも、孫正義代表がコメントを求められる場面があった。本稿で紹介していこう。

ソフトバンクは4日、 第2四半期 決算説明会を開催した

決算説明会のプレゼンテーションにおいて、孫代表は「一部の方から、携帯電話の料金が高すぎる、通信事業者は儲けすぎている、という指摘をいただいている。ただ、毎年業績を伸ばしていくのが企業の使命。より高度なサービス、品揃えをし、他社との競争に勝たなければならない」とし、まずは民間企業としての立場を説明した。

携帯電話の利用料金の引き下げ議論についてコメントする、孫正義ソフトバンクグループ代表

さらに「ソフトバンクグループでは、日本、アメリカの両国で事業を展開しているので、両国における違いもよく分かる。日本はアメリカより進んでいる。ネットワークの通信速度、対応エリアなど、世界で最も進んでいるネットワークを提供している。iPhoneを一番安く提供しているのも日本市場」と続けた。

しかし、そうした利用者の声を真摯に受け止める心構えもあるようだ。「今後とも多様なニーズにお応えしていきたい。そういった意味では、より安いサービスも、より高度なサービスも、複合的なサービスも提供する」と孫代表。

プレゼンの終了後に行われた質疑応答でも、記者団からは「国内の携帯電話料金について、孫社長ご自身は安いと感じているのか」といった質問が飛び出した。これに対し、孫代表は「料金が高いか安いかは、相対的なもの」として、次のように続けている。

「私たちは、アメリカで提供されているものより遥かに優れたネットワークを、遥かに安い料金で提供している。ヨーロッパの先進諸国と比較しても、何倍も良いネットワーク。それなのに、利用料金もあまり変わらない」。

また「家計費の中に占める比率の問題ではないか」との見方も示した。「もはや、デジタルカメラを鞄に持ち歩く必要はなくなった。テープレコーダー、目覚まし時計、カレンダー、手帳などの機能を、1台のスマホがこなしている。動画も見られて、新聞や雑誌も読める。つまり、ほかで使っていた費用が、スマホの利用料金として代替されるようになった、と考えられる」と説明。

ただ「もっと安いやすい方が良い」という声も認識しているとのこと。既述の通り、より安いメニューも提供していく方針だ。民間企業の経営に、国が介入することについては「真摯に受け止める」と繰り返した。真摯に受け止める、という言葉を繰り返した裏には、次のような真意があった。「以前の私なら、カーっとなり、国に色んなことを言い返していた。大人になった孫正義、ということで」と同氏。電波の許認可をめぐり国と揉めた過去を知る記者席からは、ひときわ大きな笑い声が聞こえてきた。