【レポート】

手をつないだら不倫ですか? 弁護士に聞く、浮気の境界線とは

不倫や浮気といっても許せる範囲は人それぞれ。合コンに行く、異性と話す、異性と電話やメールをする、2人で会う、ご飯やデート、心が動く、手をつなぐ、キス、関係を持つ……あなたの浮気のボーダーラインはどこですか?

不倫や浮気という言葉はよく使われますが、実は法律用語ではありません。一般には、不倫は既婚者のパートナー以外との恋愛や肉体関係を指すことが多く、浮気は既婚者に限らず交際関係の場合も含むように思います。

法律的に問題になる不倫や浮気は「不貞行為」と呼ばれており、慰謝料請求ができるとご存じの方もいるでしょう。これは、既婚者が自分の意思で配偶者以外の異性と性的関係(性行為や性交類似行為)を持つこととかなり限定されており、ポイントは大きく3つあります。

1. 結婚しているか、いわゆる事実婚といわれる内縁関係にあること

結婚や結婚に極めて近い内縁関係によって法律上決められているお互いに他の異性と性的関係を持たないという「貞操義務」に違反する行為が不貞行為です。でも、結婚していない単なる交際関係では、法律は自由恋愛を前提として特別な義務もありませんので、不貞行為になりません。

婚約中は結婚や内縁とは違うので不貞行為とはならないですが、浮気による婚約破棄で慰謝料を請求するという方法もあります。

2. 異性と性的関係を持ったこと

手をつなぐ、キス、同性と関係を持つことは、気持ち的には許せなくても不貞行為にはなりません。

ただ、プラトニックな不倫なら絶対に慰謝料の問題にはならないかというとそうとは限りません。プラトニック不倫と呼ばれた裁判例では、肉体関係があったとは認められず不貞行為ではないものの、既婚者がデートを繰り返し親密な交際を続けたことが普通に考えて通常の男女の関係を超えていたとして慰謝料請求が認められたものがあります。同性愛も同様に慰謝料請求が認められる可能性はあるでしょう。

なお、今年、ホステスが客と7年以上枕営業をしていたケースで、枕営業は店の売り上げ確保のための商行為だから不貞行為でないとの下級審判決が出ました。が、最高裁はこれまで、不貞行為が自然の愛情によって生じたかどうかにかかわらず慰謝料が発生するとしていて、遊びでも本気でも風俗でも不貞行為と考えられてきました。専門家の中でも判決の評価は分かれており、例外的と捉える方がいいと思います。

3. 自分の意思で関係を持ったこと

例えば性犯罪の被害者になってしまい、自分の意思に反して関係を持たされた場合は含みませんが、被害者の意思にかかわらず、加害者として自分の意思で被害者と肉体関係を持つことは不貞行為です。

また、不貞行為に該当しても、それを理由に慰謝料請求するには他にも条件があります。それは、不倫相手が結婚や内縁関係を知っていたか知らなかったかが関係します。慰謝料請求するには不倫相手が結婚や内縁関係を知っていたことと、関係を持ったときに夫婦関係が破綻してなかったことが必要です。

そもそも法律では、故意または不注意(過失)によって他人の権利や利益を侵害した者は損害賠償を支払う義務を負うとされています。不貞行為で慰謝料の請求が認められるのは、結婚や内縁にあることを知っていた(故意)または、ちゃんと注意していれば知りえた(過失)相手がパートナーと関係を持ったことで、結婚生活の平和を乱したり、不倫したことにより法律的に守られていた事を侵害したりするため、とされています。

ですから、既婚者と気付かなくても仕方ないよねと客観的に評価できる場合や、結婚生活の平和が不貞行為で壊されたと言えない夫婦関係がすでに破綻している場合などでは、慰謝料は発生しないことになります。

さらに、裁判では、慰謝料を請求する人が不貞行為があったことを証明しなくてはなりません。関係を持ってないと言い逃れることも珍しくないので、証拠集めが重要になってきます。

例えば、性行為をしている写真やビデオ、ホテルに出入りする写真、ホテルの領収書、信用調査会社の報告書、携帯電話のメールや通話履歴、手紙、第三者の証言なども証拠になります。メールや履歴だけでは性的関係の有無がハッキリしないときは、いろいろな証拠の合わせ技で不貞行為を証明していくこともできます。相手の名前や連絡先やメールや履歴は消去されてしまわないよう、写真撮影などで証拠に残しておき、証拠の作り方も専門家に相談してみましょう。

証拠がそろったら、パートナーや不倫相手に慰謝料請求をします。気になる慰謝料の額は、不貞行為の回数や期間、主導権がどちらか、結婚期間、結婚生活への影響などさまざまな要素をもとに判断されるのでケースバイケースですが、離婚したときは100万円~300万円程度、離婚しなければ数十万程度が多いです。

法律を知り、ボーダーラインを超えないことは大切です。でもそれを越えなくても不誠実なことが続けば、二人の信頼関係は崩れ、大切なものを失ってしまいます。請求したい方も請求されてしまったという方も、不倫や浮気でお悩みのときは一度弁護士にご相談くださいね。

※写真は本文と関係ありません

<著者プロフィール>
正木裕美(まさきひろみ)
愛知県出身。愛知県弁護士会所属。男女トラブルをはじめ、ストーカー被害や薬物問題、ネット犯罪などの刑事事件、労働トラブルなどを得意分野として多く扱う。身内の医療過誤から弁護士の道へと進む。2012年には衆議院選挙に愛知7区より日本未来の党の公認候補として出馬し、「衆院選候補者ナンバーワン美女」とインターネットや夕刊紙で大きな話題を呼んだ。

ブログ「弁護士正木裕美のまっさき通信」

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