Trion 100の内部をチェック - 東芝コントローラと東芝のTLC NANDの組み合わせ

続いてはTrion 100の内部に迫りたい。外装は前述のとおり、プラスチックがメインとなっている。カバー側が樹脂製、裏蓋が金属製のようだ。ともに質感を統一しており、安価なバリューモデルにありがちな安っぽさは感じられない。

むしろ、見た目ではオール金属製のモデルとパッと見では区別がつかない。ほか、裏蓋の固定が他社のバリューモデルでもよく採用されているネジではなくツメを用いた方法に改められていた。

外装のクローズアップ。梨地が樹脂製カバー、左が金属製裏蓋

基板は通常の2.5インチサイズよりも奥行きを抑えたコンパクトなものだ。960GBモデルでは裏面にキャッシュメモリを1チップ搭載しているが、基本的には表面のみの実装で、コントローラ、キャッシュメモリ、NANDフラッシュメモリチップ×4枚から構成される。NANDフラッシュメモリチップを4枚に抑えたため、こうしたコンパクトな基板が実現できているのだろう。NANDフラッシュメモリチップは、2枚ずつペアとなり、ペアごとに若干ズレて配置されているのがユニークだ。

Trion 100 480GBモデルの基板

Trion 100 960GBモデルの基板

コントローラチップは、東芝の「TC58NC1000GSB-00」。東芝が一から開発したものではないが、台湾のSSDコントローラメーカーの製品をベースに、東芝自身も開発に関わったとされており、完全にOEMまかせのチップというわけではないようだ。東芝製SSDで振り返ると、以前も、Maverllコントローラをベースとしたカスタムコントローラチップを採用していた例がある。

TOSHIBAの刻印のある「TC58NC1000GSB-00」コントローラチップ

東芝製コントローラチップの採用はOCZとして今回が初めてとなる。OCZは東芝グループの一員となったので、東芝製コントローラチップを採用してもおかしくはないのだが、一方でこれまで「Barefoot 3」など、旧IndilinxのSSDコントローラチップを開発してきた実績もある。

OCZはエンタープライズからコンシューマー向けハイエンド、そしてバリューと、幅広いセグメントにSSD製品を展開しているが、どちらかと言えばエンタープライズやハイエンドのイメージが強く、バリューセグメントは主戦場からは外れている。

自社コントローラチップの開発をハイエンドに集中させ、一方でバリューセグメントには東芝のコントローラを採用することで、開発期間の短縮などを図ったと見られる。

コントローラのすぐ横にあるキャッシュメモリは、480GBモデルがMicron製でFPGAコード「D9PXV」×1チップ。駆動電圧が1.35VのDDR3-1600メモリで4Gbit品なので512MBの計算になる。

480GBモデルに搭載されていたMircon「D9PXV」

960GBモデルはNANYAの「NT5CC256M16DP-DI」で基板の表裏各1チップで計2チップ。駆動電圧が1.35VのDDR3L-1600メモリで4Gbit品。2枚で1GBの計算になる。スペック的には同等で、960GBモデルは480GBモデルの倍量といった違いになるようだ。同等品ということで、ロットによっては変わる可能性もあるだろう。

960GBモデルに搭載されていたNANYA「NT5CC256M16DP-DI」。基板裏面にももう1枚実装されている

NANDフラッシュメモリチップの型番は480GBモデルが「TH58TET0UDKBAEF」、960GBモデルが「TH58TET1UDKBAEG」でともに4チップだ。480GBモデルは1チップ当たりおよそ120GB、960GBモデルは1チップあたり240GB相当となる。なお、480GBモデルは台湾製、960GBモデルは日本製だったが、これもロットによっては変わる可能性があるだろう。

480GBモデルに搭載されていたのは東芝「TH58TET0UDKBAEF」。台湾製

960GBモデルに搭載されていたのは東芝「TH58TET1UDKBAEG」。日本製

このTLCチップは、東芝のTLCチップとしては第2世代のものとされる。MLCチップで採用していたA19nmプロセスを用いて製造、通常の同社19nmプロセス品よりもダイサイズを縮小し、チップ内に実装可能な枚数を増やしたという。OCZは第2世代TLCチップの登場によって、TLCチップが普及期を迎えたと判断し、Trion 100での採用に至ったとしている。

一般的にTLCチップは、MLCチップやSLCチップと比較して書き換え可能回数が少ない。書き換え可能回数は、NANDフラッシュメモリの宿命で、以前からウェアレベリングやキャッシング技術によって、書き換え操作が特定のセルに集中することを避けたり、あるいはムダな書き換えを抑制するといった手法をとってきた。TLCチップに導入されている寿命延長技術も、基本的にはこの延長線にある。こうした技術が向上したことによって、TLCチップでも製品として十分なレベルの耐久性を実現できたという判断だろう。