ルーター製品の方向性に関しては、開発担当の門脇氏が説明した。家庭用の無線LANルーターは年間270万台とかなりの有望市場だが、エレコムは現在3位の地位。シェア上位の企業とエレコムの戦略を比較した結果、エレコム製品は技術的な優位性に乏しいことがわかったという(リーズナブルな価格設定のため、高性能パーツを使うことができない)。

そこで新製品では、高性能パーツをふんだんに使用。技術的に優位な製品を投入することを決意し、トップシェア企業に挑むと述べた。

【左】エレコム 開発4課 課長代理の門脇洋之氏。【右】(コンシューマー向け)有線インターネットサービスユーザーならば、無線LANルーターはほぼ必須の機器。毎年270万台の規模という手堅い市場だ

【左】その中でエレコムは20%ちょっとのシェアで、業界3位。現在もトップの「赤い(シャチホコがある県の)会社」に追いつくためには何かが必要。【右】従来、エレコムの無線LANルーターは、スマホをつなぐためにシンプルでわかりやすく、手ごろな値段で購入できることをコンセプトにしていた

【左】一方、ライバルは技術的な優位性と多機能性をセールスポイントにしている。【右】そこでエレコムも、技術的優位性と高性能ハードウェアを提供。これが今回のGXシリーズだ

【左】スマホを扱う、コンテンツにアクセスするという方針も堅持。家電などのIoTも視野に入れる。【右】GXシリーズをバネにシェア35%を目指す

具体的な製品の詳細に関しては、開発担当の二光氏が説明。新製品となるGXシリーズは、IEEE802.11acの速度が異なる3モデルを投入(4x4MIMOの2533Mbps、3x3MIMOの1900Mbps、2x2MIMOの1267Mbps)。速度面だけでなく、「家電のIoT化」で対応が望まれる「Alljoyn Notification」、メディアサーバー機能を、VPNを用いて遠隔地でも利用できるようになる。

そして、Qualcomm社の新世代プロセッサ「Akronite(IPQ8062/64)」を採用。Akroniteは、デュアルコアCPUに加えて、デュアルコアのNetwork Acccelaratorと暗号化エンジンを搭載。さらに、コンテンツに応じてネットワークの優先度を変更するQualcom StremaBoostが利用できる。

スマートフォンのセットアップツール「SkyLink Setup」には、ビデオチュートリアルを採用して、わかりやすさに努めた。加えて、SSIDとパスワードをワンタッチで乱数作成して安全性を高める「かんたんSSID」、2.4GHz帯と5GHz帯のうち空いている(転送速度が期待できる)帯域へと自動切替を行う「無線LANスイスイナビ」を搭載した。

【左】エレコム 開発4課の二末光氏。【右】ルーターの最上位シリーズGXは3モデルを投入。802.11acの違いが主なところだが、最上位製品だけ802.11nが800Mbps、ビームフォーミング、MU-MIMO対応といった違いがある

【左】スマホを中心としたライフスタイルに必要なルーターの機能を追求。【右】家電のIoT化を見据えて、Alljoyn Notificationに対応。VPN接続で「テレビがつけっぱなし」というようなこともわかる

【左】USB接続のHDDを使ったNAS機能に加え、VPN接続によるコンテンツのリモート視聴にも対応。【右】新機能の一役を担うのがQualcomm社の新SoC「Qualcomm Internet Processor:Akronite」だ

【左】QoSをより細かく行うQualcomm StreamBoostが利用できるのも、Akronite採用の魅力だろう。【右】L2TPやIPsecといったVPN技術、高速なUltraspeed NATにも対応。MU-MIMOとBeamforming Zは、最上位のWRC-2533GXBLが対応

【左】セットアップアプリはビデオを多用。【右】SSIDをランダム化することでタダ乗りを防ぐ「かんたんSSID」

【左】2.4GHzと5GHzのどちらが速いかを判断し、自動で切り替える「無線LANスイスイナビ」。【右】従来の「こども対応機能」も踏襲している

2016年2月から発売