手帳の出版・販売を行う高橋書店は21日、「第19回 手帳大賞」の表彰式を東京・日比谷の帝国ホテルで実施した。

作品応募数は計2万通以上

同賞は「手帳をもっと身近に感じてもらいたい、日常生活の中でもっと活用してほしい」という思いから始まったもの。作品は一般から募集し、第1回から18回までの応募総数は26万3,000通を超える。

第19回となる今回は、「手帳・日記・家計簿の商品企画部門」「思わずメモしたくなった『身近な人の名言・格言』」の2部門において、「高橋をうならせたら50万。」をキャッチコピーに作品を募集。応募作品は「商品企画部門」は1,330通、「名言・格言部門」には1万9,452通が寄せられたという。

「第19回 手帳大賞」表彰式会場の様子

商品企画部門は2作品が受賞

「日記・手帳・家計簿部門」では、実際に商品化することを前提とした手帳・日記帳・家計簿の企画アイディアを募集。最優秀賞受賞作品は商品化され、高橋書店より発売される。

高橋書店「ティーズディレクションダイアリー」(「第14回 手帳大賞 日記・手帳・家計簿部門」最優秀企画賞受賞作品を商品化)

今回の最優秀企画賞受賞作品は2作。1作目の茨城大学教育学部 齋藤ゼミ チームDの「5W1H手帳」は、年間予定表・月間予定表・1日に1ページ予定表の全ページに「5W1H」項目を設けた手帳だ。

ポイントは「5W(いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ)」と「1H(どのように)」を記入することで、使う人の思考や行動がシンプルに整理できるという点。「日々使う人の行動や成長に大きな影響を与える企画」と高評価だった。

「『5W1H手帳』は、日々の予定を5W1Hに分けて書くことで、複数のプロジェクトなどの複雑な予定をインデックス化します。それにより、短時間で情報にアクセスし、効率良くスケジューリングをすることが可能になるのです。また過去を振り返ったときに自分が『いつ・どこで・何を』していたかが瞬時にわかります。時間と行動、思考をインデックス化し、よりスマートなライフスタイルを実現できると思います」(チーム代表 中村 沙里衣さん)

2作品目は、見開きページが縦横ブロック状に8分割された「時間軸―メモ領域並列配置型 見開き1週間バーティカル式手帳」。会社員 佐々木滉太さんのアイディアで、メモスペースと時間メモリが一体化した記入欄を持ち、予定に対する詳細も記入しやすい。1日ごと、1週間ごとの予定が一目で把握できるため、「選考予定管理帳」としての視認性が非常に高いという。自由でありながらまとまりのある記入形式と、タームごとの予定管理が自然とできる利便性が認められた。

「今回の作品を考えるときに、『手帳』という限られたスペースの中で、自分の考えを表すことは本当に難しいのだと感じました。アナログだからこその良さを追求していこうと思い作品を考えた結果、このように評価されたのをうれしく思います」(佐々木さん)

「日記・手帳・家計簿部門」受賞受賞者

名言・格言部門では子供の一言が大賞に

続いて行われた「身近な人の名言・格言部門」では、ふとした会話の中で相手が言った意見やアドバイスのうち、思わず手帳にメモしたくなった名言・格言を募集した。選考を行った審査員は高橋書店 代表取締役社長 髙橋秀雄さん、コラムニストの泉麻人さん、作家の椎名誠さん、俳人の黛まどかさん。

大賞は「お父さんのにおいはおつかれ様のにおい。」(茨城県/塚本勝子さん)。6歳の息子が父親に抱きついて言った一言だそうで、子供なりに父親の頑張りをわかっているのだと感動し、応募したという。

「仕事から帰ってきた大好きなお父さんに向けられた一言。自然とこんな言葉が出てくる温かい家庭の情景が目に浮かぶ、誰もが優しい気持ちになれる言葉」として大賞に選ばれた。

「人生においてはいろいろな出会いがありますが、私にとって最も自分を成長させてくれたのは子供たちとの出会いでした。子供のお陰で毎日新鮮で、気付かされることがたくさんあります。そんな日々の中で息子から出てきた言葉にこのような評価をいただけて本当にうれしいです。自分の子育てに○をいただけたような気分です。このような素敵な場所に連れて来てくれた子供にお礼を言いたいと思います」(塚本さん)

「身近な人の名言・格言部門」受賞者

会場では大賞のほか、審査員賞3作と優秀賞2作の授賞式も行われた。審査員賞・優秀賞は下記の5作品。

泉麻人賞「雨にジャズば習(なろう)とる」(東京都/高橋絵美さん)
椎名誠賞「顔じゃいけませんか?」(埼玉県/高辻清長さん)
黛まどか賞「思い出は心の非常食」(京都府/小田嶋幸美さん)

優秀賞「おこりんぼうより笑いんぼうの方がいいな。」(熊本県/牛嶋香織さん)
優秀賞「布団の中って平和だよなあ」(愛媛県/立花健さん)

第19回の受賞作は、同社が発売する「名言・格言 日めくりカレンダー 手帳大賞作品集」に収録される予定だ。

手帳は絶対に廃れない

最後に高橋書店 取締役 東宏志さんが今後の手帳に関する展望を述べ、授賞式は幕を閉じた。

「高橋書店には、手帳に挟まっているアンケートハガキが毎日のように届くのですが、『昭和53年から40年近く使い続けています』といったユーザーの声に触れる度に勇気をもらっています。ユーザーの声に応え続ける限り、手帳は絶対に廃れないという気持ちになれるのです。ユーザーの声にどれだけ答えていけるか、それに向かってこれからも精進していきたいです」(東さん)

表彰式会場に並ぶ2016年の手帳

表彰式後の懇親会にはAKB48の高橋みなみさんが登場するなど盛り上がりを見せた第19回 手帳大賞。商品企画部門 最優秀企画賞受賞の2作品は、今後の商品化が決まっている。どのような形の手帳になるのか、その使いごこちはどうなのか。実物を見られる日が楽しみだ。