CAE×ビッグデータで生み出される未来の解析とは?

こうしたさまざまなツールの展開、オープンソースへの注力などを図っていくヴァイナスの今後について藤川氏は「HELYXをターンキーで利用してもらうことが重要になる。社内のコンピュータ資産で処理しきれない規模の大規模計算を短い期間だけ活用していき、設計・開発力を高めていくという流れができあがる。その際にはコンサルティングなどの能力も含めた総合力が必要になる」とビジネスの方向性を示す。

これからのビジネスには総合力が必要であることを強調する藤川氏。すでにHELYX向けサポートについても総合的なものへと変化させるべく、さまざまな取り組みを進め、足固めを進めている

また藤川氏、「スパコンを小学生でも使える環境を提供することは、ひいては日本のエンジニアの力を底上げすることにつながる。この点については、直接利益が出るわけではないので、ボランティアだと思っている。しかし、日本の企業として、外資系企業にはできない社会貢献活動であると信じている」と、同社の取り組みが単なる営利活動にとどまらないことを強調する。

最後に藤川氏は、「すでにCAEなどのツールを長く活用し、一線で活躍してきたエンジニアが退職する時代が到来している。そうしたエンジニアたちが有してきた長年のノウハウが失われれば、設計・開発力の低下は免れない。そうした意味では、CAEの言語を使わずに、それぞれのセグメントの言語を用いて設計できるシステムと、そうしたベテランたちのノウハウをそこに組み込みたいというニーズは必ずでてくる。一方で、クラウドを使って、もっと楽に計算したり情報共有したいというニーズも出てくる。こうしたニーズをオープンソースを用いることでコストを抑え提供していくことで、究極的にはユーザーの設計業務の効率化を果たす手助けをしたい」と将来に向けた抱負を語ってくれた。さらに、5年以上先の未来の話としながらも、「CAEは同じ計算を何度も行うものだが、ビッグデータの理念を使えば、未知の結果に対して、これまでの計算結果などから答えを自動で出せるようになるかもしれない。そうした未来を築くためには、自社でノウハウを有していることが重要になってくる。そうしたノウハウの蓄積と、オープンソースの活用により、これまでCAEが扱ってこなかったパラメータを取り入れたりすることも容易にできるようになるかもしれない」と、CAEがAI化する可能性などを示し、そうした未来を自ら切り開いていくべく、自社の技術力強化を進め、それを日本のものづくり産業の競争力の向上につなげていきたいと語ってくれた。