10月5日から7日(太平洋夏時間)にかけての3日間、米カリフォルニア州ロサンゼルスにあるロサンゼルスコンベンションセンターおよびマイクロソフトシアターにおいて、Adobe Systems主催のクリエイティビティ・カンファレンス「Adobe MAX 2015」が開催された。

Adobe MAXでは、ツールやテクノロジーの最新動向やノウハウが発表される250以上のセッションが行われるかたわらで、コミュニティ・パビリオンには遊び心満載のさまざまな企画が用意されている。また、夜には"MAX Bash"のようなお楽しみイベントもある。そこで本記事では、これらの写真を中心にAdobe MAXの会場全体の雰囲気をお伝えしたい。

参加者を出迎える巨大ロゴと落書きボード

巨大なAdobeロゴが参加者を出迎える

ご存知の方も多いと思うが、2009年以降のAdobe MAXは、6回ともすべてロサンゼルスコンベンションセンターで行われた。開催期間中は、同センターの正面には巨大はAdobeロゴが掲げられる。世界中から集まってきた参加者を出迎える、お馴染みの光景である。

受付を済ませた後の楽しみのひとつが、エントランスの奥に設置された落書きボードだ。多くの人がポスターカラーを手に取り、Adobe MAXに参加したという痕跡を残していく。会社や団体のロゴを描く人も多い。

中に入ってエスカレーターを上ると、気持ちも高ぶってくる

セッションのタイムテーブル。期間中は250以上のセッションが行われる

エントランスに設置された落書きボード

ホテルと会場を結ぶ専用のシャトルバスが走る

コミュニティ・パビリオンは参加者を楽しませる企画が満載

日本からはエイプリルフールネタで独自に作成された「Photoshop REAL」が持ち込まれた

パビリオンではさまざまな展示や企画が行われているが、大雑把に分類すると「スポンサー企業ブース」、「Adobeコーナー」、「企画展示・体験コーナー」、「息抜きスペース」などがある。この辺は一般的なIT系のカンファレンスと大きく変わらないが、日本のカンファレンスに比べると体験コーナーや息抜きのためのスペースが大きく取られている点が特徴と言えるかもしれない。時間によって、おやつやコーヒーなども用意される。

大型スポンサーのMicrosoftは一際大きなブースを構えていたが、Adobe MAXの開催期間中にちょうどSurface Pro 4とSurface Bookが発表され、この会場で展示されたため、多くの参加者がこの新製品を触りに集まっていた。もちろん、タッチモードに対応したAdobeのデザインツール入りだ。

コミュニティ・パビリオン会場の様子

発表直後のSurfaceが展示された

1年越しで製品化されたVAIO Z Canvasにも出会えた

VAIOブースでは、米国発売が発表されたばかりのVAIO Z Canvasが展示されていた。VAIO Z Canvasは昨年のAdobe MAXで初めてプロトタイプが公開されて注目を集めたが、今年は製品版を触ることができ、その性能に多くの人が感嘆の声を上げていた。

Adobeコーナーには、各製品の最新版が設置され、参加者が実際に触ってみることができるようになっている。ここには製品担当者やエバンジェリストも常駐しているので、分からないことがあれば直接聞くことができるというのも魅力のひとつである。

Adobeコーナーに行けば製品担当者から話を聞ける

発表されたばかりの新バージョンを使ってみることも可能

タブレットもデザインのワークフローの一部になる

また、会場を歩いていると有名人に出会えることも少なくない。特に"Photoshopの伝道師"として知られるRussel Brown氏は、奇抜な格好で会場に現れることで有名だ。

Photoshopの伝道師として知られるRussel Brown氏

Premiere Clipの体験コーナー。動画を撮ってClipで編集してくれる。衣装も借りられる

今年はPhotoshop誕生から25周年の年でもあるため、それを記念した特別展示も用意されていた。最初のPhotoshopが発売された1990年、1994年、2003年、そして2015年の光景を再現したブースだ。それぞれの年代で、当時のバージョンのPhotoshopが動いている。Photoshopの歴史は、いわゆるパーソナルコンピータとともに歩んできた歴史とも言える。そのことが実感できる演出だった。

1990年。Macintosh Classicの中でPhotoshop 1.0が動いている

1994年。まだWindows 95が出る前の風景である

2003年。部屋の装飾がかなり今風になってきた

2015年。25年前にこの光景が想像できただろうか。まさかスターウォーズの続編が作られるとは…

展示だけでなく、参加者が実際に体験できる企画が多数用意されているのも特徴。特に人気だったのが、360度バレットタイムカメラでポートレイトを撮影してくれるというコーナーで、連日長い行列を作っていた。撮影・加工された写真はこのサイトで公開されている。

スマホで撮った写真を現像する工程が体験できるコーナー

3Dモデリングと3Dプリントの実演

3Dペン「3Doodler」で立体模型を作る

360度バレットタイムカメラでの撮影を体験できる

カンファレンスの内容とは関係なく、おもちゃやゲームが置かれたリフレッシュコーナーが設置されているのも、アメリカのカンファレンスの特徴と言えるだろう。朝から深夜まで続く長丁場のカンファレンスなのでリフレッシュも重要なのだ。他の参加者との貴重な交流の場でもある。

キッズコーナーのように見えるが、大人たちが真剣に遊んでいる

人も機械も、充電が大事

夜のパーティー「MAX Bash」

2日目の夜には、コンベンションセンターに隣接する野外広場で「MAX Bash」と呼ばれるパーティが開かれる。MAX Bashではステージが設けられてライブが行われるほか、さまざまなパフォーマーによるパフォーマンスが披露される。ちなみに今年のステージでは「Cage the Elephant」と「Fitz and The Tantrums」の2組のバンドが演奏を繰り広げて参加者を沸かせた。

Fitz and The Tantrums

Cage the Elephant

幻想的なFUERZA BRUTA

それに加えて、サプライズの出し物として「FUERZA BRUTA」が登場した。FUERZA BRUTAは、空中に釣り上げられた透明なプールでダンサーが踊るエンターテイメントで、観客はプールの真下からその幻想的な光景をみることができるというもの。日本でも2014年に公演が行われて大きな反響を呼んだが、まさかAdobe MAXでお目にかかれるとは想像していなかった。

次回は来年の11月、場所はサンディエゴ

例年には無かった新しい試みとしては、プロの写真家の指導の元で実際にダウンタウンに繰り出して写真を撮影するというフォトウォーク形式のセッションがあった。

実際にカメラを持って街中に出て撮影した。スマホでの参加もOK

会場の近くとはいえ、普段はあまり足を延ばすことのない地域だ

このセッションは、プレス向けのものと一般参加者向けのものがそれぞれ行われ、筆者はプレス向けの回に参加させてもらった。写真の撮り方の指導というよりは、風景の中でどのようにインスピレーションを感じ、それを写真に切り取るかという感じの内容で、実際に体を動かして体験することができ興味深かった。室内で行われるハンズオン以外でも、このような体験型のセッションがもっと増えると、より魅力的なイベントになるのではないかと感じた。

さて、次回のAdobe MAXは2016年11月、場所はこれまでとは変わってサンディエゴで開催される予定だ。

See You Next Year!