スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「マルチキャリアMVNO」についてです。

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マルチキャリアMVNOとは、複数(マルチ)の携帯電話会社(キャリア)に対応する仮想移動体通信事業者(MVNO)という意味合いで用いられる造語で、定義が確立しているわけではありません。とはいえ、今後同じアプローチで製品展開を行うMVNOは増えそうです。

これまでのMVNOサービスは、特定の携帯電話会社と提携する形で展開されてきました。A社のSIMはドコモの回線、B社のSIMはauの回線……とサービス会社ごとに決められているため、MVNOを利用する場合はどの携帯電話会社の回線かを事前に吟味する必要がありました。一方マルチキャリアMVNOは、購入後に自由なタイミングで回線(契約プラン)を切り替えることが可能になります。

異なる携帯電話会社の回線を選べることは、端末の選択肢が増えることを意味します。たとえば、ドコモとauに対応したマルチキャリアMVNOサービスであれば、ドコモかauで販売されたスマートフォン(ドコモまたはauにSIMロックされた端末)はSIMロック解除申請することなく利用できます。SIMフリー/SIMロック解除済端末の場合、利用するエリアに応じてドコモとauで快適なほうの回線を使う、といった使い方も可能になります。

auの回線を利用したMVNOサービスを提供してきた「mineo」は、9月からドコモ回線にも対応、個人向けでは日本初となるマルチキャリアMVNOサービスを開始しました。au回線を使うプランを「au(A)プラン」、ドコモ回線を使うプランを「ドコモ(D)プラン」という名称で提供し、両プランは安価な手数料で切り替えることができます。

対応端末はDプランが約200端末、Aプランが約50端末と制約がある(サービス開始前段階)うえ、VoLTE対応は11月以降でSIMの交換が必要など導入のハードルも存在します。しかし、ドコモ/au間でパケットの融通を可能にするなどの配慮もあり、マルチキャリアMVNOの可能性を感じさせるサービスとなっています。

マルチキャリアMVNOサービスにより、今後は複数回線の切り替えがよりスムーズに行えるようになりそうです(ケイ・オプティコム公表資料より)