香港といえばアジアのトレンド発信地であり、金融をはじめとする様々なビジネスの交差点、そして宝石箱をひっくり返したようにきらびやかな不夜城である。旅行者にとってはアーバンリゾートとしてグルメにショッピングに、とアクティブに動き回るのが最高のお楽しみ。だが、さすがに歩き回って疲れることもあるだろう。そんな時は、森林浴なんていかがだろうか。

これが「香港公園」内にある噂のパワースポットの滝。近くにいるとミストがかかり、暑い日は特に心地よい

人工、でもパワースポット!

リフレッシュするなら喫茶店へ。確かに、楽しげな飲茶やスイーツのお店が多い香港ではあるが、「ちょっと胃袋も疲れ気味よ」という人にもオススメなのは、ゆったり散策ができる公園。実は香港には都会のオアシス的な緑あふれる公園がいくつかあるのだ。

特にオススメなのは香港を代表する公園「香港公園」と「九龍公園」だ。何が面白いって、香港の公園は基本的に風水に基づいて設計されているということ。オフィス街や繁華街のただ中にドドーンと存在感を示しているのもまた、その場所にあることで運気を上げると信じられているからだ。つまりパワースポットなのである。

香港公園の一面の緑に心癒やされる。都会の真ん中とは思えない雰囲気だ

中環(セントラル)エリアからほど近い香港公園は、MTRの金鐘駅(アドミラルティ)や中環駅が最寄りだ。オフィスビルを通ってエスカレーターで気軽に行けてしまうが、自然の地形を利用して作られた公園ゆえ、ちょっとしたアップダウンも楽しみどころ。園内にはお茶の道具の博物館「茶具文物館(Museum of Tea Ware)」があり、なかなか見どころも多い。

だがやはりここはまっすぐに、パワースポットといわれる滝へ。池といい滝といい人工ではあるが、それも風水の教えに基づいて作られており、とてもありがたい場所なのだ。ここには気持ちを静め悩みを解消してくれるパワーがあるとか。緑の多い公園の中、落差10mほどの滝から発生するマイナスイオンと細かなしぶきはそれだけで気持ちを軽くしてくれる。あながちまゆつばでもないのではないか。

よく見ると木々を飛び移る野生のリスも

さらに、公園内にはたくさんの鳥が飼われており、あちこちから聞こえてくる鳴き声にも癒やされる。ハトの仲間が多く、きれいな色のものも。全部で十数種類はいるだろうか、なかなか見ごたえがある。

フラミンゴが恋愛運を引き寄せる!?

さらにもうひとつ、パワースポット的公園といえば九龍公園だ。MRT尖沙咀(チムサーチョイ)駅のすぐ近くとまさに繁華街のど真ん中にあるこの公園、なんと広さは14ヘクタールもあるそう。所せましとビルが立ち並びどこへ行っても人、人、人! というにぎわいの香港において、ここはまさに都会のオアシスである。

「九龍公園」を囲むのは高層ビル。このコントラストが香港らしい

公園内を歩く人々はのんびり歩を進め、池のほとりに立ち止まって亀を眺めたりおしゃべりしたり。ここでは時間の流れ方が違う。しかし、この公園には心なしか女性が多いような……というのも、実はこの公園には恋愛運UPのジンクスがあるのだ。

公園内にはいくつかの水場があるが、中ほどの中国庭園まで来るとそこにはフラミンゴの群れが放し飼いにされている。ピンク色のかわいらしい鳥たちの姿はそれだけで癒やしになりそうだが、このフラミンゴたちをバックに写真を撮ると恋愛運がUPするのだそうだ。

いたいた、フラミンゴ! でもかなり遠い……

このフラミンゴたち、橋からかなり遠くにいるため一緒に写真におさまろうにも人物主体にすると遠すぎて鳥がごみのようにしか写らないし、鳥をメインにすれば手前に写った人はボケボケという、なかなかセンスと技術を擁する撮影になる。プロでもないのにそれをもって余りあるいい写真が撮れるほど気合が入った人には、きっとすてきな恋愛が待っているに違いない。

バードガーデンは無料。ケージは広く、鳥たちも快適そう

ちなみに、九龍公園にも無料で見られるバードガーデンがあり、オウムやハトなどの鳥を眺めることができる。そういえば香港にはほかにも鳥園とか鳥専門の市場があったりするから、香港人には鳥好きが多いのかも!?

やっぱりハトの種類が多い。鳥好きというかハト好き?

平日のお昼休み頃は木陰でお弁当を食べているサラリーマンがいたり、週末はカップルで訪れたりと、市民にとっても憩いの場として知られる公園。リフレッシュできるばかりか運気UPも見込めるとあっては立ち寄らないわけにはいかない。どちらの公園もアクセスがいいので、気軽に行けるのもうれしいところだ。

※記事中の情報は2015年8月取材時のもの