体組成計で内臓脂肪などをチェック

人間、30歳を過ぎるといろいろと見た目に変化が訪れる。20代前半には見られなかった、たっぷりの肉がおなか周りに付くようになり、頭髪には白いものが交じるようになってきた。完全な「おっさん化現象」である。

独身アラサー、アンチエイジングに挑戦

さえなくなっていく一方のルックスを目の当たりにして、「さすがにこれはまずい! 」と独身アラサー男も一念発起。美意識が高い女性が実践している「アンチエイジング」に挑戦しようと思い立った。

まず、自分の体がどれだけ衰えているのかを詳細に知ることが第一歩だと感じた。そこで、「アンチエイジング外来」などを有するAACクリニック銀座にて「AACアンチエイジングドック」をオーダー。ホルモンや抗酸化ストレス度、メタボリック危険度などから、現在の体の状態を多角的に検査してもらった。

食事や運動習慣などのライフスタイルにまつわるアンケートを記入してから、いざドック体験へ。検査項目は「身長・体重の測定」「血圧測定」「体組成計検査」「採血」「採尿」などだ。

会社の健康診断では検査しないさまざまなデータがわかる

検査項目が多いため、やや多めの血を採られる

検査結果が出るまでおよそ1カ月を要し、その結果内容を踏まえたうえで浜中聡子院長がいろいろとアンチエイジングに役立つアドバイスをくれるという。ひとまず、この日は全検査を終えて帰宅した。

すべての検査は1時間ほどで終わる

開口一番の「普段から血圧高い? 」

検査結果は、浜中聡子院長の診察後にもらえる。じっくりと詳細な数値を見て、改めてショックを受けた

結果が出たとの連絡をクリニックから受け、9月某日にAACクリニック銀座を再訪。浜中院長と対面した際、開口一番に言われたのは「普段から血圧高いって言われない? 」。うう……なんだかとても悪そうな結果のにおいがプンプンするのだが……。

四肢の結果を見てみると、右足の部分に「動脈の軽い硬化が疑われます」との文言が。足での動脈硬化が進行すると、壊死(組織の死滅)につながる可能性もある。マジですか……。さらに浜中院長が解説を続ける。

「脂肪からブドウ糖を合成するホルモン『アディポネクチン』が少ないのですが、これは生活習慣由来という気がします。体重の割には内臓脂肪が高いですよね? 筋肉量が落ちているため、アディポネクチンも減っているんですよ」。

アディポネクチンの基準値は6~9にも関わらず、1.42って……。あまりのショックで愕然(がくぜん)とした。確かにデスクワーク続きで、近年はまともに運動をしていない。筋肉の衰えを感じ、脂肪が増えている感覚はあったが……実際にこうして数値を見ると認めざるをえない。

コレステロールはギリギリ許容範囲内だが、全体的に高め

アディポネクチンが驚くほどに低い

自分の体は「不健康の巣窟」だった

浜中院長の指摘は止まらない。

「若いのに中性脂肪がもう基準値を超えていますね。総コレステロールも決して低くないですし、悪玉(LDL)コレステロールもギリギリ。そう考えたら、もうちょっと食事を考えた方がいいですね。『コルチゾール』というストレスホルモンも、問題はないけれどちょっと高めですし、成長ホルモンも低めですね。ちゃんと睡眠をとれていますか? それと、家族に骨粗しょう症の方はいらっしゃいませんか? 骨密度も低いですよ」。

うーん、悪の巣窟ならぬ「不健康の巣窟」。自分の体は実年齢以上に年を取っているようだ…。さらに、「ビタミンCも少ないですね。かんきつ類とか果物を摂取していないでしょ」。浜中院長、お言葉を返すようですが毎日野菜は摂取していますよ! 主にコンビニのサラダですけれど。

「コンビニの野菜は葉物が多いですから、トマトとかパプリカなどは入っていないですよね? 体の大きさを考えると、もう少し野菜を摂(と)らざるをえないですね」。反論したのが恥ずかしいほど、ぐぅの音も出なかった。

骨密度は同年齢の平均と比べて1割ほど下回っている

動脈がやや硬めとな……

ライフスタイルを総取り替えして体を若くする!

ひとしきり、現状の問題点や将来の病気のリスク因子などについて解説してもらった後、"体年齢"を少しでも若返らせるための改善点を浜中院長に教えてもらった。

「食事内容を改めた方がいいですね。骨密度が低いので、カルシウムやビタミンD、Kなどの骨密度を上げるものを摂(と)るようにしましょう。あと葉酸もですね。それと運動。運動をしないと腸内細菌のバランスも悪くなり、悪玉菌が増えてきます。有酸素運動として、いつもの駅より1駅手前で降りて歩くなどしましょう。無酸素運動も必要ですね。そうしないと、成長ホルモンが出てきません。筋トレをしてください。そして、毎日5時間以上は必ず睡眠をとるようにしましょう」。

総括すると、ライフスタイルを丸ごと総取り替えしないといけない感じだ。ただ、やはり自分の体だし、浜中院長が「まだ若いからいくらでもカバーできる」と言うように、アラサーのうちにいろいろと健康面の不安に気づけてよかった。

診察後の週末、早速土日にランニングを開始。毎日食べる野菜の量を増やし、朝食に牛乳を取り入れ、ビタミンCも食事から意識的に摂取するようにした。そして、寝る時間もこれまでより多く確保しようと努力し始めた。

自分自身、いつまでこの"新しい自分"を続けられるかわからないが、定年後もアクティブなシニアでいるための先行投資と思えばそんなに苦ではない。自分の体の"現状"を知ることができたアンチエイジングドックに感謝!

記事監修: 浜中聡子(はまなか さとこ)

医学博士。北里大学医学部卒業。AACクリニック銀座院長。米国抗加齢医学会専門医、国際アンチエイジング医学会専門医などの資格を多数取得。アンチエイジングと精神神経学の専門家で、常に丁寧な診察で患者に接する。