「加齢臭」といえば、おじさんの臭いを想像する人は多いだろうが、女性にも加齢臭はあることをご存じだろうか。加齢臭はどんな臭いで、何歳から気をつけるべきか、そして適切なケアについて、ライオンのヘルスケアマイスター・山岸理恵子さんにお話をうかがった。

男女の加齢臭のメカニズムは一緒

年齢とともに臭ってくると言われている「加齢臭」。そもそも、加齢臭とはどのようなものなのだろうか。

山岸さんは、臭いの特徴を「カビの生えた古本のような、ホコリっぽい臭いと言われることがあります」と表現。そして、「一般に加齢臭と呼ばれている臭いは、『ノネナール』が原因で発生します。この成分はパルミトレイン酸が過酸化脂質により酸化されたときに生まれるものです」とメカニズムを説明する。

40代になる頃から皮脂腺の中に不飽和脂肪酸のパルミトレイン酸が増え、また体内で活性酸素が発生しやすくなるため、過酸化脂質も増加する。その2つが反応すると、加齢臭の原因とされるノネナールが発生してしまう。男性は女性よりも皮脂が多いため、加齢臭は男性特有のものと考えられがちだが、女性も同じメカニズムで発生するという。

左から「加齢臭が気になる」「疲れやすい、体力が落ちた」(2014年3~4月実施・ライオンのWEB調査および訪問面接調査 / 15歳~79歳の女性対象) ※ライオン提供

一般に、加齢臭に気をつけたい年齢は40代後半以降といわれている。ところが、「加齢臭が気になるかどうか」を聞いたライオンの調査(2014年)では、「35~39歳」の年代がもっとも多く気にしているという結果となった。ノネナールの発生には個人差はあるものの、30代の言う「加齢臭」は、別の原因から生じる臭いである可能性が高いという。

「腸の老化や不調により悪玉菌が増えると『スカトール』という悪臭物質が発生しますし、肝臓の働きが悪くなっても臭いは発生します。また、ストレスや疲れによって活性酸素が増えると、嫌な臭いの汗が出ることもあります」。

まだ加齢臭の年代ではないのに臭いが気になるという人は、臭いを気にしすぎている「思い込み加齢臭」か、疲労やストレスからくる「疲労臭」かもしれないと思っておこう。

しっかりケアすれば加齢臭は抑えられる!

加齢臭の対策として、山岸さんは「食事」「洗濯」「デオドラントアイテムの使用」をあげる。

■食事
食事では、過酸化脂質が作られる原因となる活性酸素を抑える作用がある「抗酸化食品」を積極的に摂(と)ることがポイントとなる。抗酸化食品は、ビタミンE、ビタミンC、カテキン、ポリフェノールなどの栄養素が含まれた食品が該当する。

「ビタミンEとビタミンCはセットで摂るとお互いの働きを助け合うので、一緒に摂取するのがおすすめ。まずは食べ物で、体の内側から対策するとよいでしょう」。

そのほか、汗の臭いを抑えるには、「アルカリ食品」の摂取が有効とのこと。梅干しや海藻類などのアルカリ食品は、体内で乳酸などの発生を抑える働きを持つという。また、腸のトラブルからくる臭いには、「食物繊維」や「オリゴ糖」などを摂り、腸の善玉菌を増やすようにするとよいそうだ。

■洗濯
加齢臭は衣類にも染み付く可能性があるため、適した洗剤でケアすることも必要だという。具体的には、臭いを落とす作用のある洗剤や酸素系漂白剤の併用がおすすめとのこと。最近では香りつきの柔軟剤の種類も多いため、好みの香りの柔軟剤を使用して、楽しみながらケアをするのもよいだろう。

臭いを落とす作用のある洗剤や酸素系漂白剤の併用がおすすめ(画像: 左から、洗濯用洗剤「トップ NANOX」と衣料用漂白剤「ブライトW」)

さらに、"洗剤のつけおき"という裏技もある。「最近流行している機能性インナーなどの中には、繊維の構造が複雑で汚れが絡まりやすく、臭いが付きやすいものもあります。そういう衣類は30分~2時間ほど洗剤につけおきしてから、洗剤ごと洗濯機に入れるとよいですよ」。

制汗シートなどでこまめにケアしよう(画像: 「Ban 爽感さっぱりシャワーシート」)

■デオドラントアイテムの使用
外からのケアとしては、制汗剤や制汗シートなどで臭いが発生しやすい部分を直接ケアすることも効果的とのこと。加齢臭というと、耳の後ろや首周り、ワキなどはよくケアする部分だが、実は胸元や背中などにも皮脂腺は集中してある。たくさん汗をかいた後などは、胸の中央や背中の背骨に沿ったラインなどもケアするとベターだ。

「デオドラントアイテムは、お出掛け前のほか、通勤で汗をかいたあとの始業前や、お昼、アフター5など、汗のかき具合で調整しながら1日数回を目安に使うといいでしょう」。

ただし、気にしすぎは禁物のようだ。「加齢臭は特別不快な臭いというわけではなく、逆に好む人もいるほど。女性は臭いについて過敏になっている部分もあるので、神経質になりすぎない適切なケアを心がけましょう」。

なお、ケアをしても臭いが解消されない場合は、何らかの疾患の可能性も考えられる。その場合は、まずは皮フ科の医師に相談してみるとよいだろう。

自分では気づきにくいからこそ、気になってしまうのが加齢臭。気にしすぎもよくないが、ケアをすることで臭いを抑えることはできるので、ぜひ適切に対処してほしい。

取材協力: ライオン ヘルスケアマイスター・山岸理恵子さん

ボディーソープほか、スキンケア商品の開発に長年携わった後、現在のヘルスケアマイスターとなる。商品開発の経験を生かし、主にライオン快適生活研究所にて健康で快適な暮らしのための情報発信に尽力している。