番茶と聞いて、どんな色のお茶を思い浮かべる?

「番茶」と言われて思い描くお茶の色は、どうやら人によって異なるらしい。京都出身の担当編集者は、ほうじ茶のような茶色の番茶をイメージしたが、関東出身の筆者がイメージする番茶は煎茶と同じ緑色だ。どうして人よってイメージする色が違うのか、本当の番茶は何色なのか、京都の老舗茶舗に話を聞いてみた。

日常的なお茶の総称が「番茶」

そもそも「番茶」とは、特定のお茶の種類ではなく、日常的に飲むお茶のことを指すそうだ。番茶の"番"は、京都で日常的に食べられる料理「お番菜」の"番"と同じく、"日常的な"という意味を持っている。そのほかにも、摘採期から外れた時期に摘み取ったり、品質の劣る茶葉から作られた「番外茶」からきているという説、遅い時期の摘み採った「晩茶」から転じて番茶と呼ばれるようになったという説もある。

このように、番茶は日常的に飲まれるお茶の総称で、少し大きく育った葉を原料とするお茶のことなのだ。具体的には、「柳」と呼ばれる煎茶が少し成長した茶葉から作られたお茶、柳などを焙じて作る「ほうじ茶」、柳などに炒った米を混ぜた「玄米茶」などが番茶に分類される。また、日本各地には、ごく狭い地域で日常的に飲まれている番茶もあり、富山県の「バタバタ茶」、徳島県の「阿波番茶」、高知県の「碁石茶」などがある。もちろん、お茶の色のそれぞれ異なっているので、出身地によって緑色であったり茶色であったり、黒や黄色をイメージする人もいるだろう。

お茶どころでもある京都では、番茶といえば茶色とのこと

京都出身の担当編集者が茶色い番茶をイメージしたのは、京都で日常的に飲まれている番茶が「炒り番茶(京番茶)」のためだ。炒り番茶は、玉露や抹茶の茶摘後の畑で成長した葉を剪定のために刈り、その葉・茎・枝を蒸してからもまずに乾燥させ、さらに鉄板で炒ったお茶。茶葉の見た目は落ち葉のようで、燻した香りが特徴となっている。ほうじ茶と同じく茶葉に火を通すため、お茶の色は茶色なのだ。

また、炒り番茶は京都以外で飲まれることは少ないが、大阪をはじめとした関西では、ほうじ茶を日常的なお茶として飲んでいることが多いため、関西に住んでいる人は、番茶といえば茶色だとイメージする人が多いようだ。