A10ユーザーも注目! 音質は明らかに向上している

最後に、A20とA10を聞き比べてみる。イヤホンはA20HNに付属するハイレゾ対応ノイズキャンセリングイヤホンを使用。192kHz/24bitのハイレゾ音源とCDから取り込んだFLAC音源で試聴した。なお、機器本来のポテンシャルをみるため、ノイズキャンセリングや音響効果の類はすべてOFFにした。

環境選択メニューには、「フルオートAINC(ノイズキャンセリング)」「電車・バス」「航空機」「室内」を用意。「フルオートAINC(ノイズキャンセリング)」は、常に周囲の騒音を分析し、その時々に適したノイズキャンセル設定を自動で行うモードで、周囲の音を約98%カットできるという

結論から書くと、A20とA10の音の違いは予想以上であった。正直、プリント基板のビア部分を銅メッキで穴埋めして、高純度無鉛高音質はんだを採用したところで、音にはっきりとわかる違いは現れないだろうと考えていたのだが、それは完全に間違いであった。おそらく誰が聞いてもはっきりとわかるぐらい、A20とA10の音質には違いがある。

A20は、解像度が上がり、低音域から高音域まで全体にわたって音質が向上、エネルギー感が増している。特に注目したいのが低域のキレがよくなったことだ。A10は解像度が高いが、低域のキレが弱く、細部が若干つぶれる印象があった。A20はその点が改良され、低音の締まりがよくなり、全体的に明瞭化されている。

低音でささやくように歌う女性ボーカルをA10で聴くと、つぶれてベタっとなってしまうが、A20では細かい息遣いまでリアルになまめかしく聴こえてくる。アップテンポのロックなども低音のキレがよくなったためドライブ感が向上する。低音が無理やり抑えられているわけではないので、ベースのうねりが命のファンク系もよりグルーブ感が出て気持ち良く聴くことができる。低音のボワつきが抑えられたことはクラッシックとの相性にも好影響で、大編成の交響曲は全体の見通しがよくなり各楽器の音がよりリアルに聴こえてくる。ピアノ曲は繊細なタッチがより聴き取れるようになったし、室内合奏曲は弦楽器のつややかな音がうまく表現されるようになった。

A10の低音のキレがしっくりきていなかった筆者であったが(ソニー「XBA-A2」やビクター「FX-850」、Shure「SE535-V-J」などの高性能イヤホンを導入したこともあるが、いまひとつ満足できなかった)、今回A20を使ってみて、改めて再生機の重要さを実感した。筆者同様、A10以上の音質を求めている人は、ぜひA20を店舗などで試聴してみてほしい。