2015年、4人に1人が65歳以上の高齢化社会を迎えた日本では、介護や福祉などの市場が急速に拡大している。しかしその一方で、業界特有の課題も少なくない。

たとえば介護の現場では、事業従事者や顧客の高齢傾向により、介護サービスのパンフレットをはじめ、勤怠や介護記録などを紙で管理することが多い。その結果、効率化が可能な事業管理や営業部門も紙主体になりがちだ。

そんな中、介護事業を幅広く手掛けるインターネットインフィニティーは、2015年6月、経営企画部門の業務効率を向上させるため、タブレット端末の導入を開始した。

Surface 3で利便性向上と管理コスト軽減を両立

インターネットインフィニティーは、高齢者の健康を維持する介護予防サービスなどを各地で展開している。現場の事業内容や管理状況を把握するため、経営会議メンバーや営業メンバーはこれまで、社内からノートPCを持ち出して社外業務を行っていた。

経営管理部 総務グループ マネージャー 木村直人氏

「ノートPCは約3kgと重く、外出時の通信にはデータカードが必要で、インターネット接続時にはタイムラグが生じるなどの課題がありました」と経営管理部総務グループの木村直人氏は語る。

そこで、ノートPCよりも持ち運びが便利なiOSタブレットの適正調査を行ったが、外出先で一部業務が行えないことが分かった。

「社内ではWindowsのExcelやPowerPointといったOfficeのソフトウェアを利用しており、外出先でも活用ニーズがあります。たとえば、マクロを組んだ事業管理データのExcel編集や、社内外向けの資料をPowerPointで作成するなどの業務は、Windowsタブレット導入により可能となります」と執行役員 経営管理本部長の星野健治氏は説明する。

2015年6月、同社は発売直後にSurface 3を導入した。

執行役員 経営管理本部長 星野健治氏

「Surface 3はWindowsベースのタブレットなので、外出先でもPCと同じ環境で業務が行えます。スペックも申し分ありません。また、ソフトバンクの4G LTEのSIMが内蔵されているため、データカードを携行する必要がなく、起動すればインターネットにすぐつながるようになりました。ノートPCをリプレイスすることで、導入コストがアドオンすることもありません」(星野氏)

これが2-in-1(タブレット+PC)の大きな特長だ。本体重量も622gと軽く、約265gのタイプカバーキーボードと併せてもノートPCのわずか3分の1以下の重量となる。

ソフトバンクのレンタル契約、付加サービスも決め手になったと木村氏は続ける。

「従来のノートPCやデータカードは、落として故障したり、紛失したり、といったトラブルが多く、その都度対応に追われていたので、端末の管理が面倒でした。しかし、ソフトバンクのSurface 3は、オプションの『レンタル保守パック』に加入することで、故障時にも無償で代替機が用意されるので継続して業務が行えます。

また、『ビジネス・コンシェル』のMDM機能を使うことで、端末紛失時に個人情報などのセンシティブなデータを遠隔消去できることも、導入の決め手になりました」(木村氏)

Surface 3を導入したことでデバイスの活用シーンが広がったと星野は語る。

「Surface 3の大きなアドバンテージは、活用シーンにあると思います。Surface3ならタブレットモードに切り替えて立っている状態でもインターネットで情報収集したり、メールを確認・返信したり、といった業務が行えます。社内向けのPDFの資料に気づいたことをペンで書き込む、といった活用もしています」(星野氏)

想定外の効果もあると言う。

「実際に利用して気づいたのは、出張時にミニUSBポートが役立つことですね。ACアダプタを持ち歩いておらず、バッテリーの充電が切れてしまったことがあったのですが、スマートフォン用の大容量バッテリーをミニUSBポート経由で充電することで、継続して利用できました。スマートフォン用の大容量バッテリーを持っている営業マンなどは、重宝すると思います」(木村氏)

営業全員のノートPCをSurface 3にリプレイス 中長期的には介護ロボットの導入も視野に

同社は今後、介護事業所の所長や福祉用具営業担当のノートPCを、順次Surface 3にリプレイスする予定だ。

「次のフェーズでは、ケアマネジャーへの営業や福祉用具の営業にSurface 3を導入する予定です。商品のチラシやパフレットなどをデジタル化し、ペーパーレス化にも取り組みたいと思います。営業がケアマネジャーに介護の商品やサービスを提案する際、Surface 3上の電子カタログや動画を活用することで、より具体的な内容を伝えられるのではないか、と期待しています」(木村氏)

介護業界の今後について、代表取締役社長の別宮圭一氏は次のように語る。

代表取締役社長 別宮圭一氏

「現状、介護契約を締結する際、紙の書面で契約を交わして一定期間保管する、というルールが行政で定められています。そのため現状では、膨大な契約書を倉庫に保管にしており、大きな負担になっているのですが、近い将来、契約の署名や書面の保管もデジタル化されるでしょう。ペン入力の性能が高いSurface 3なら、デバイス上で署名し、契約内容や個人情報と共に一元管理できます。予め、業界の変化に対応できるように環境を整備しておくという意味でも、Surface 3の導入は意義あることだと考えています」(別宮氏)

介護業界では、人手不足も深刻な課題だ。厚生労働省の推計によれば、2025年に必要な介護の人材253万人のうち、約15%にあたる37.7万人が不足する。こうした状況下で、2015年、ソフトバンクは感情を持つ世界初のパーソナルロボット「Pepper」の販売を開始した。Pepperは、すでに接客用ロボットとして、みずほ銀行やネスレ日本などに導入され、人口知能を備えたIBMの質問応答システム「Watson」との連携も進められている。

一方で、インターネットインフィニティーは、中長期的なフォーキャストとして、ビッグデータの活用やロボット導入も視野に入れている。

「弊社では、高齢者の健康状態をデータ化し、個別のトレーニングで健康寿命を延ばす介護予防サービス【レコードブック】を運営していますが、蓄積している膨大なデータをビッグデータとして活用できないかと考えています。データを集約し、トレーニング前後の数値をさまざまな分析を行えば、科学的な根拠に基づいた予測や予防が可能になると思います。さらに、在宅介護が必要な段階になったら、それまでのデータをロボットにインプットして自宅で活用する、といった展開も考えられます。このように、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせることで、ロボットのニーズは今後さらに高まっていくのではないでしょうか」(別宮氏)