米Salesforceは9月15日から米サンフランシスコで開催中の「Dreamforce 2015」で、新しいCRMツールとなる「SalesforceIQ」を発表した。2014年に買収したRelateIQの技術を土台としたもので、SMB向けとエンタープライズ向けの2種類を揃える。「リレーション管理からリレーションインテリジェンスへ」とRelateIQの共同創業者でSalesforceIQのCEOとして統括するSteve Loughlin氏は述べた。

RelateIQは機械学習を利用したインテリジェンス技術を開発するベンダーで、Salesforceは2014年に3億9000万ドルで同社を買収。これは、同社にとって2014年最大の買収となっている。

Loughlin氏は17日のプロダクトキーノートで、「APIを介してさまざまなシステムにアクセスでき、さらにマシンの処理能力改善により機械学習が可能になりデータの洞察を得やすくなった」と技術的背景を説明する。これら技術側の進展が将来のCRMを可能にし、「リレーション管理からリレーションインテリジェンスへ」とLoughlin氏は新しいCRMを強調する。

SalesforceIQはRelateIQを土台とし、電子メール、スケジュール、ソーシャルメディアなどに保存されているたくさんのリレーションシップ(関係)に関するデータをベースに、機械学習によりパターンを学び、次にとるべきアクションを提案するという。

SMB向けとなる「SalesforceIQ for Small Business」の事例として、"フィットネス界のUber"の異名を持つClassPassを紹介した。ClassPassは新しいタイプのフィットネスサービスで、提携先のフィットネススタジオでコースを受けられる。急成長しているが、創業時から技術の活用を意識しており、SalesforceIQはフィットネススタジオとの関係管理で利用しているという。

デモでは、営業担当が営業パイプラインの把握、取引のクロージングなどを行うにあたって、30種類以上のレポートを利用して関係を可視化。リレーションシップインテリジェンスを利用して優先順位を決めるなどのことを行った。

また、社内やネットワーク内から最適な人材を探す「Closest Connection」などの機能もある。ターゲット顧客につながるためのキーパーソンを探したり、あるいは取引締結にあたって重要な人物を分析することができるという。

「Suggested Tasks」として、営業担当に特定の顧客に電子メールを返信するなどのアクションを提案する

リマインダ機能。いつまでに返事がなければリマインダで知らせるなどの設定が可能だ。アプリはiOS、Androidに対応する

ClassPassはSalesIQにより営業を加速し、SalesforceIQを利用し始めた当初は2市場、提携スタジオ200箇所であったが、現在は米国外市場への参入も果たし、34市場7000のスタジオに拡大したという。ClassPassの創業者はステージで、「1対1の関係を構築し、さらに強化できる」とメリットを語った。

また、エンタープライズ向けには「SalesforceIQ for Sales Cloud」を用意する。電子メールにSalesforceのSales Cloudからのデータが組み込まれており、そこで状況を把握したり、パイプラインを最新のものに更新できる。

for Small Businessと同様に次のアクションを提案したり、優先順位を決めたり、関係の分析ができるほか、定型文、スケジュール機能なども用意する。さらには、Salesforce1モバイルアプリとの連携も可能で、案件の詳細を見るなどのことがモバイルでできる。

スケジュール機能と連携し、ミーティングを即座に提案できる

Sales Cloudとの連携が特徴のエンタープライズ向け

SalesforceIQ for Sales CloudはiOS、Androidに加えChromeアプリとしても提供される。

Loughlin氏はこれらの機能を説明しながら、「営業担当は情報の海の応対にあり、9割近くのマネージャーが洞察をえられていない」とビックデータ時代の共通の問題を解決する狙いを語った。

RelateIQ 共同創業者、SalesforceIQ CEO Steve Loughlin氏