説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「バックアップを復元すると、完全に元の状態になるの?」という質問に答えます。

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いいえ、バックアップから復元しても完全に元どおりとはなりません。iPhoneのバックアップ先にはiCloudとパソコン(iTunes)の2種類があり、パソコンを選択したほうがバックアップ実行前の状態に近くなりますが、それでも情報は抜け落ちます。

パソコンへのバックアップは、さらに暗号化あり/なしの2種類に分類できますが、暗号化あり(概要タブで「このコンピュータ」を選んだうえで「iPhoneのバックアップを暗号化」にチェック)を選択すると、アプリ内部に保存されているデータもバックアップ対象となります。アプリに登録したユーザIDやパスワード、Wi-Fiアクセスポイントの情報、メールアカウントの情報も保存されるため、バックアップを復元すればかなりの部分が引き継がれた状態となります。

引き継がれないデータは、iPhoneのハードウェア固有情報と関係があるものです。たとえば、Touch IDの指紋データは、ハードウェアと結びついた特に秘匿性が高い情報として扱われていますから、バックアップの対象には含まれません。Bluetoothのペアリングも特定のハードウェア間で行われるため、バックアップを復元したところで元どおりにはなりません。

アプリが動作するかどうかについても、保証されるわけではありません。バックアップ作成元では問題なかったアプリが復元先では正常動作しなかった、という事態はありえます。復元したアプリが動作するかどうかは、そのアプリの開発元の対応次第となります。

とはいえ、メールボックスの内容や電話の着信履歴が残り、Wi-Fiアクセスポイントを再設定する必要がなく、アプリの設定まで引き継がれるパソコンへの(暗号化)バックアップは、iPhoneの機種変更時におけるベストの方法です。指紋の登録やBluetooth機器のペアリングは諦めて、やり直しましょう。

暗号化したバックアップを復元すると、アプリ内のログやユーザIDなど多くの情報は引き継がれますが、完全に元どおりになるわけではありません