左から寺坂利太役・山崎賢人、松崎はとり役・桐谷美玲、弘光廣祐役・坂口健太郎 (C)2015 映画「ヒロイン失格」製作委員会 (C)幸田もも子/集英社

――ラジオ番組をはじめ、いろいろなところで『ヒロイン失格』の話をしていたそうですね。

はい(笑)。幸田先生と今回の撮影現場でお会いした時に、「はとりを描く時に参考にしていました」と言っていただけて、それも知らなかったのでビックリしました。あとは「みんな弘光がいいって言うけどやっぱり利太だよね」みたいな会話で盛り上がったり、描いている時の裏話を教えてくださったり。幸田先生も自分で変顔を試した上で、はとりに落とし込んでいたそうで、実際に変顔のやり方をレクチャーしていただいたりもしました。

――丸坊主や変顔シーンなど、桐谷さんにとってはコメディエンヌとしての新境地ともいえる作品だったと思います。

いつもよりテンション高かったと思います。スタッフさんもキャストも本当に仲が良くて、とても良い雰囲気の中での撮影だったのですが、早朝からテンション高めのシーンだと気合を入れました(笑)。今年1月からの撮影で、まだ肌寒い時期。真夏のシーンなどもあり、池に飛び込むカットなんかは本当に大変でした。寒いというか、体が凍るんです(笑)。池から上がったあとはお湯を全身にかけてもらって、やっと動けるようになるような状態でした。

――劇中のはとりからは全く想像できない状況ですね。

ですよね(笑)。はとりについて、英監督からは「どんな感情も100%以上で表現する女の子」と言われていて、私もそこは魅力的な部分だと思っていたので思い切ってやりました。はとりは本当に何事にも一生懸命。普通の女の子が言わないことも全部言ってしまいます。それが"素直"にもつながるので、私もかわいい女の子だなと思います。

私自身がはとりの立場になったとして、利太と弘光のどちらを好きになるかは……たぶん年齢によって変わると思います。原作を読んでいる時から、みんなで「どっち派?」みたいな話をしていて(笑)。私は、今なら好きな人を追い駆けたいですが、もう少し年齢が上になったら、自分を好きでいてくれる人と結婚したいんだろうなとか。今は自分の気持ちには素直になりたいなと思うので、今のところは「私が好きな人」を選びます(笑)。

――今年はデビュー10年目の年。念願かなった作品がこのように公開されることもそうですが、大学卒業や2012年からモデルを務めていた『non-no』を卒業するなど、さまざまなことで節目を迎えた年になりました。

自分の中では「もう10年?」という印象が強くて、「10年目だから」という理由で具体的に考えたことは今のところありません。たまたま今回のような作品にも出会えましたし、大学も『non-no』も卒業が偶然同じタイミングになりました。振り返った時に、10年目は節目の年だったんだと思うかもしれませんね(笑)。その2つを卒業してからも、演技への向き合い方は特に変わっていません。

私がやらせていただいていることは、10年前からあまり変わっていないんじゃないかなと思うんです。雑誌とお芝居を両方やりながら、2012年からはキャスターをやらせていただいて。私としてはずっとそのバランスを続けてきているので、どれか1本に絞るような選択肢は自分の中にはありません。全部があるから、"桐谷美玲"としてバランスよく仕事ができているのかなと思います。

この仕事をはじめて10年目。『ヒロイン失格』をやりたいと主張しました。これからもそんな作品と出会えたらいいなと思います。今までいろんな役をいただいた中で、不思議な縁ですが、はとりが自分の素に一番近かったような気がします。今回のようなコメディはもちろん、今年で26歳になるので大人っぽい役もできるような年齢になってきたのかなと。ただ、何事も経験なので、変わらずどんなことでも頑張っていきたいです。

(C)2015 映画「ヒロイン失格」製作委員会 (C)幸田もも子/集英社

■プロフィール
桐谷美玲
1989年12月16日生まれ。千葉県出身。A型。身長163.5センチ。2006年公開の映画『春の居場所』でデビュー。これまで、『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』(12年)、『ツナグ』(12年)、『100回泣くこと』(13年)、『女子ーズ』(14年)、『恋する・ヴァンパイア』(15年)などの映画、NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』(14年)、『死神くん』(14年・テレビ朝日系)、『地獄先生ぬ~べ~』(14年・日本テレビ系)などのドラマに出演し、Netflixで配信中のドラマ『アンダーウェア』で主演。そのほか、日本テレビ系報道番組『NEWS ZERO』で火曜日キャスターを務めている。