【レポート】

優良企業とはなにか? 社会人インターンシップができる「大人の武者修行」

サービス産業生産性協議会は9月11日に、サービス産業の人材育成の一環として、中小サービス企業の次世代を担う経営人材を、優良企業での実地体験型研修を通じて鍛える「大人の武者修行」(社会人インターン事業)の実施にあたって、同事業の補助金説明会およびシンポジウムを開催した。

経済産業省の調査によると、日本のサービス産業は国内総生産(GDP)の約7割を占め、その規模は拡大傾向にあるという。しかし、就業者1人あたりのGDPは、製造業では近年増加しているものの、サービス産業では減少している。さらに、サービス産業での就業者数も減少傾向にある。

このような課題に対して、サービス産業生産性協議会では、サービス産業の"生産性向上"を目指し、サービス産業を支える企業の99%にあたるという中小企業を対象に、人材育成の取り組みとして、「大人の武者修行」を経済産業省の支援の下、昨年より実施している。

サービス産業生産性協議会 部長 野沢清氏

サービス産業生産性協議会 部長の野沢清氏は、「経営者の講演やコンサルタントの座学などはよくある研修だが、一定期間よその機関に行って一緒に働きながら学ぶ機会は、転職でもしなければできないようなことだ。また、優れたサービスを提供する企業のバックヤードの仕組みは中に入ってみないとわからないもの。この取り組みを通じて、参加者には優良企業のDNAを持ち帰って、自社で生かしてもらいたい」と述べた。

本事業は、すでに申し込みを受け付けている。研修期間は最低2週間から可能となっており、研修費・交通費・滞在費の3分の2は補助されるという。研修費は1名あたり月額9万円となっており、このうち6万円は補助されることになる。

研修の受け入れ先となる企業は、「ハイ・サービス日本300選」や「日本経営品質賞」「おもてなし経営企業選」で受賞・選定されている優良企業となっている。9月11日時点で、90社が受け入れ企業として表明している。

応募締切は12月21日となっている。くわしくは、「大人の武者修行」のWEBサイトを確認してもらいたい。

「日本でいちばん大切にしたい会社」の坂本教授が語る、"優良企業"とは?

説明会当日は、「大人の武者修行」の事業説明以外に、「日本でいちばん大切にしたい会社」の著者であり、中小企業の人材育成の権威である法政大学の坂本光司教授による、優良企業の条件についての講演や、昨年の「大人の武者修行」で受け入れ先となったハロー・トーキョー、実際に就業した体験者からのプレゼンテーションが行われた。

坂本教授は、「『日本でいちばん大切にしたい会社』大賞」という表彰制度をつくり、優良企業の選定を行っている。この表彰制度では、応募時点で条件が設けられ、その条件を全て満たしてている企業でないと、そもそも応募することができない。その条件として、坂本教授は次の5つを挙げた。

  • 過去5年以上、人員整理(リストラ・退職勧奨)をしていないこと
  • 過去5年以上、外注企業・仕入先企業などに対して一方的なコストダウンを行っていないこと
  • いつでも、どこでも、お客さまのことを考えていること
  • 過去5年以上、法定雇用率以上の障がい者雇用を行っていること
  • 過去5年以上、黒字経営であること

法政大学 坂本光司教授

「罪のない社員の首を切るような会社は優良企業だとは思えない。また、仕入先をいじめ、コストカットするような会社も、優良企業として認められない。会社の目的は会社に関係する人を幸せにすることだ。企業の業績や成長発展は結果現象であり、人を大切にしている会社が滅びた歴史はない。社員をコストとして捉えるようになった会社がダメになる」(坂本教授)

「『日本でいちばん大切にしたい会社』大賞」では、この応募条件を満たした上で、さらに審査が行われる。しかし、この応募条件を満たすことができる企業は多くはないのではないだろうか? 優良企業への第一歩は、これらの条件を満たすことができるような健全な意識を持つことから始まるのだろう。

ハロー・トーキョー 営業管理本部長 高橋浩一氏

昨年の「大人の武者修行」で受け入れ企業として登壇したハロー・トーキョーは、今年も受け入れ企業として表明している。

同社はかつて、スポンサー出資の下10人で会社を設立し、急成長を遂げたが、経営が追いつかず、民事再生となった過去を持つ。現在は両備グループの傘下に入り、外国企業向けに特化したタクシーサービスを展開している。タクシー業界の中ではシェアが小さいものの、「ほかのタクシー会社がやらないことをやってきた」と同社の営業管理本部長 高橋浩一氏は説明した。

設立から現在に至る同社の歴史から、高橋氏は本事業の参加者に対して、「会社が倒れた時のこと、そして起き上がる時のことを、学んでもらえれば」とメッセージを送った。

ネッツトヨタ栃木 総務・人材開発室 増渕勲氏

昨年の「大人の武者修行」参加者としては、ネッツトヨタ栃木の総務・人財開発室 増渕勲氏が登壇した。増渕氏は、ビルメンテナンス業を営む四国管財で研修に参加、現在は社内の風土改革プロジェクトを担当するなど、研修で体験したことを仕事で活かしているという。

増渕氏は四国管財での研修を通して、「個人と企業、また個人間の関係をより強固なものにするのは、自己責任だと感じた。四国管財では新人スタッフが作業をミスした際に、先輩社員は『自分が教える際に専門用語を使わず説明できていなかったせいかもしれない』『自分は教えるだけで、相手がどこまで理解できたのかを、確認しなかったせいかもしれない』など従業員個人に失敗の責任を帰属させずに、自分に帰属させる考え方を持っていた。主語を自分にして考えていることが印象的だった」とエピソードを語った。



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