実写版『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』の前編が8月1日に公開され、動員138万人、興行収入18.4億円を記録するなど好スタートを切った。各キャラクターとその風貌が公開されたのが昨年11月のこと。原作ファンはどの役者をハマり役と判断するのか? ネットなどでは様々な意見が交わされているが、周囲では本人の性格や雰囲気を含めてサシャ役を演じた女優・桜庭ななみを推す声をよく聞く。

初日舞台あいさつで、ミカサ役を演じた水原希子は「すべてがかわいいんですよ。モグモグ食べるところとか」とその魅力にメロメロ。桜庭にとっては、ハンジ役の石原さとみと共に水原は「お姉さんみたい」な存在で、撮影現場キャストやスタッフにとっては桜庭が妹的な存在だったようだ。

桜庭が演じたサシャは弓矢の使い手。臨戦態勢では雰囲気が一変するが、常に腹を空かしているマイペースキャラで周囲を和ませ、蒸しイモを食べるシーンはより緊迫した状況に追い込まれる後編の『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』(9月19日公開)でさらに際立っている。"恐怖を、射抜く"サシャの分身。その真髄を探る。

女優の桜庭ななみ 撮影:荒金大介

――前編公開前のお気持ちは?

すっごく楽しみでした。原作が大大大人気なので、最初はどんな反応が返ってくるのか不安でしたが、試写を観た時にすごく迫力があったので、自信を持ってみなさんにお届けできると思いました。

――ブログにもそのことが書かれていました。水原希子さんと一緒にご覧になったそうですね。

たまたま一緒の時間に観ることができたんです。観終わったあとは「すごく面白かったね」と興奮しました(笑)。撮影中はブルーバックが多かったので、どんな仕上がりになるのかと……。私たちの目の前に巨人が実際にいたわけではないので、自分のリアクションが映像になじんでいるのか、試写を観るまではすごく不安でした。

――そのリアクションに関しては、現場でどのような指示があったんですか。

「目の前にいるのはすっごい大きな巨人だから!」みたいな感じで、後半の立体機動装置を使った特撮シーンでは、タブレットで仮合成のものを参考に撮影を進めました。そこはとてもイメージしやすかったです。試写を観て、違和感なく成立していたのでホッとしました(笑)。

――先ほど、原作を「大大大人気」とおっしゃっていましたが、原作との最初の出会いは?

以前、出演させていただいた『人狼ゲーム』(2013年)という映画で、「私が好きな漫画は『進撃の巨人』」というセリフがありました。その時に読んでみたらすっごく面白くて。でも、最初に実写化すると聞いた時は、どうやって!?とビックリしました(笑)。みんな立体機動装置で飛び回りますし、人が食べられちゃうんですよ!?

――そんな作品の出演オファーは特別な気持ちだったと思います。

すっごくうれしかったです。漫画を読んでいて、共感するところもたくさんありましたし、好きなキャラクターだったので演じることができてよかったです。サシャと自分が似ているなと思うのは……ちょっと抜けているところというか。人が戦っている時にお腹すいたり、なんかみんなとちょっと違うじゃないですか(笑)。それから、私も食べることが大好きです。

(C)2015 映画「進撃の巨人」製作委員会 (C)諫山創/講談社

――実写を観た後に漫画を読みましたが、すごくピッタリな役だと思いました。かなり原作のキャラクターに寄せましたか?

原作でも愛されているキャラクターですし、そのイメージは大切にしないといけないと思いました。サシャの魅力は、緊迫した中でもちょっと和ませてくれるような雰囲気だと思うんですけど、そこを大切にしようと思ったのと。あとはなんといっても弓使いなので、弓の練習はがんばりました。

――練習できる場所も限られそうですね。

家でソファーに向かって、ひたすら打っていました。穴が空きそうで、少し焦りました。撮影に使う弓が3セットぐらいあって、そのうちの1つを持って帰って練習していました。特に的は作ったりせず、ソファーに当てることを意識して。ほかのところに当たってしまうと壊れてしまいますので(笑)。

あとは、ちゃんと弓使いに見えるような動きを意識しました。背中に差している矢をとって、そのまま見ないで弦に引っ掛けて構える。その一連の動きがとても難しくて、何度も繰り返しました。NGシーンでは矢が3本ぐらい取れちゃったこともありました(笑)。

――ブログやマネージャーさんのツイッターにも上がっていましたが、相当の数のジャガイモを食べたそうですね。

結構食べました(笑)。現場で出たジャガイモはふかしてあって、一応塩がかかっているんですけど、撮影の状況によっては半生の時もあって(笑)。カットがかかって、「火が通ってないじゃないですか!」みたいに冗談でツッコんだりもしました。とても楽しかったです(笑)。

現場では扇風機で風を使ったりすることもあって周りの音も入っていたので、アフレコシーンも多かったです。食べながら話すシーンではアフレコでも実際に食べながら収録しました。撮影現場でもいっぱい食べていたので、アフレコではバジルとか別の味付けにしてくださいました(笑)。

――髪型など容姿の雰囲気も似ていましたよ。

原作のサシャはもうちょっと長くてポニーテールなんですけど、そこまで髪が届かなくて。あとは衣装もとても細かくて、『進撃の巨人』の世界観を実感できました。本物の革を使っているところもあるので、とても本格的なんです。立体機動装置は結構重みもあって、そういうリアルなところも演技の”力”になりました。