ドワンゴとカラーが日本アニメーションの可能性を探るために進める共同企画「日本アニメ(ーター)見本市」の作品群を紹介する番組「日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-」の第30回放送が、9月7日にニコニコ生放送にて放送された。

左からMCの山田幸美、氷川竜介氏、横山彰利氏、山田陽氏、杉谷勇樹氏、

番組には、9月4日に「日本アニメ(ーター)見本市」の公式サイトにて公開された第30弾作品『ザ・ウルトラマン』の監督を務めた横山彰利氏と音響監督の山田陽氏、制作担当の杉谷勇樹氏が出演。本作は、漫画家・内山まもる氏の『ザ・ウルトラマン』を原作にして、宇宙大魔王ジャッカルと戦う謎の鎧戦士とウルトラ兄弟たちの激闘が描かれている。

『ザ・ウルトラマン』場面カット

本作の監督を務めたのは、『機動戦士ガンダム第08MS小隊』(1998年)で作画監督、『OVERMAN キングゲイナー』(2002年)や『サムライチャンプルー』(2004年)、『カイバ』(2008年)や『四畳半神話大系』(2010年)などの演出を経て、『フォトカノ』(2013年)で監督を務めた横山彰利氏。今回、歴史のある特撮シリーズ『ウルトラマン』をアニメ化することになったきっかけについて「日本アニメ(ーター)見本市」の第1弾作品『龍の歯医者』の原画を手掛けていた森久司氏との会話が発端だったという。「森さんが一本目『龍の歯医者』の原画をされていた時、ウルトラマンをやりたいなって話で盛り上がったんです」と横山監督は当時を振り返った。

その後、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012年)や「日本アニメ(ーター)見本市」の作品(『龍の歯医者』(第1話)、『偶像戦域』(第21話)、『ハンマーヘッド』(第25話))などに参加した杉谷氏を森氏に紹介され、そこからスタッフが結集し、本企画がスタートすることになったという。「実は企画自体は20年前から出し続けていた」と明かした横山監督は、「あきらめかけていたところに舞い込んだ最後のチャンスが今回の作品だった」と語る。また、多数のウルトラマンフィギュアと共に番組に出演したさ横山監督は、ウルトラマンのデザインや作画技法に関するさまざまなこだわりを、フィギュアを用いながら熱弁していた。

また、本作の大きなこだわりの一つである"音"についての話題に。音響監督は、サウンドチーム・ドンファン代表取締役を務め、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版 破/Q』(2009年/2012年)や『巨神兵東京に現わる 劇場版』(2012年)、『言の葉の庭』(2013年)や『ガールフレンド(仮)』(2014年)、『ユリ熊嵐』(2015年)に参加した山田氏が担当。「世代的に小学校の時見ていたので、監督の話が楽しくてワクワクしましたね」と制作過程を振り返る。横山監督から「初代ウルトラマンのトーンに近づけたい」という要望から、現代のマイク以外に、昔使われていた時代のマイクを3本使って録音したことを明かした。そして、「後からどの音を使うか吟味して、懐かしい音を作り上げた」という裏話を披露してくれた。

アニメ特撮研究家の氷川竜介氏が注目ポイントを紹介する「氷川の二度見」のコーナーでは、"機電"をテーマに講釈。"機電"は、ヒーローや怪獣に機械や電気(電飾)を仕込むことでメカと生物のハイブリッドにすることを指し、氷川氏は「これこそが特撮としてのウルトラマンの魅力である」と語っている。今回のアニメでも、「この部分をきちんと表現できている」と作品を高く評価した。

クリエイターのパーソナルな部分に迫る「クリエイターの法則」のコーナーでは、おなじみの「あなたにとってアニメとは?」という話題になり、杉谷氏は「人」と回答。「アニメ業界は本当に人手不足なので……」と苦笑いしつつ、「今回の仕事をやっていただいた方、本当にありがとうございました」とスタッフたちへの労いの言葉をかけた。横山監督は「居場所」と回答。「日常生活でここにしか居場所がないのかなと」と感じており、「ここだったら皆のために自分を使えるんです」とアニメに対する想いを吐露した。

9月11日には第31弾作品『GIRL』が「日本アニメ(ーター)見本市」の公式サイトで公開(予告編は公開中)。原案・絵コンテ・監督を務めた吉崎響氏などをゲストに招き、『GIRL』の制作秘話を語る番組『日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-』第31回が、動画サービス「ニコニコ生放送」にて9月14日22時より生中継される。

■「『日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-』第31回」 放送日時:9月14日22:00~23:00(予定) 出演者:吉崎響氏、氷川竜介氏(アニメ特撮研究家)、山田幸美氏(MC) 番組URLはこちら

「日本アニメ(ーター)見本市」は、『新世紀ヱヴァンゲリオン』などで知られる庵野秀明監督が代表を務めるアニメ製作会社・スタジオカラーとニコニコ動画を運営するドワンゴが共同で行う短編映像シリーズ企画。若い才能に"挑戦の場"を提供するべく立案されたもので、さまざまなアニメーターたちが決められた予算と時間の中でオムニバスアニメーション作品を自由に創作し、毎週金曜日に1話ずつ公開していく。作品は公式サイトおよび公式スマートフォンアプリにて無料で視聴できる。 また、10月17日には、英国・スコットランドにて「SCOTLAND LOVES ANIME 2015」が開催され、「日本アニメ(ーター)見本市」の作品が上映されることが決定した。詳細は公式サイトにて。

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