AppleがGoogleマップを標準採用するのをやめ、独自の地図を採用したとき、ユーザーの多くから不満が上がったのも、もはや懐かしい思いでになりつつある。Appleは2013年にリリースしたiOS 6から、Apple Mapsの採用を始めた。

その中でも最も重要とみられていたのがナビゲーション技術であり、公共交通機関の検索に非対応となったことで、ユーザーは他のアプリを使わざるを得なかった。iOS 9で期待されている地図の進化は、公共交通機関を活用した経路検索への対応だ。Appleはこれまでに、経路検索サービス「Hopstop.com」、公共交通機関地図アプリ「Embark」を買収するなど、地図サービスそのものの充実させる、というよりは他社に追いつくための取り組みを行ってきた。

Appleが育てている「地図」。Apple Watch、Macを含む製品に搭載され、パーソナルアシスタントの一翼を担うサービスへと成長の足を早めている

Googleとの“地図戦争”

Appleは地図の改善に取組み続けており、その成果は着実に上がりつつある。実際、車社会の米国では、Appleの地図だけでも十分生活できる。自動車にはナビゲーションシステムを用意しておらず、iPhoneをエアコンの吹き出し口に取り付けるホルダーに収め、Appleの地図での道案内に頼っている。

もちろんGoogleもその進化の手を緩めていない。Gmailの情報と連携させて、地図上にレストランの予約や飛行機の便名などを重ねて表示したり、買収したクラウドソーシング型の交通情報アプリWazeによる交通事故などのレポートを掲載するなど、Googleマップでは地図以上の情報が得られるようになってきた。

特にナビゲーションでは、混雑状況に応じて、分単位の早いルートを常に提案し続けてくれる仕組みとなっており、夕方の混雑が激しい時間帯は、実際に体験できるほどの時間短縮のメリットがある。

もはや、地図は、場所を見つけ出したり、ルート検索ができるといった「デジタル地図のメリット」を通り越し、自分のスケジュールや現在の進路周辺の状況を分析するなど、アシスタント的な役割を担う必要が出てきている。