Apple流の機械学習を、地図でも生かせるか?

Appleの地図は確かにGoogleの進化に追いついているわけではない。3Dフライオーバーの地図は充実し始めているが、空からではなく地面から地図を眺めることができるストリートビューや、施設内ストリートビューといった体験とそのデータ量は、より長く時間をかけているGoogleには及ばない。

また、ユーザーから集めたデータをユーザー間に還元する考え方が基本となっているGoogleは、前述のWazeのような、1分単位で早いルートを提示する仕組みを用意し、確かに実際のメリットも大きいのだ。

しかしAppleはプライバシーを重視し、個人のデータは同じ個人が活用する範囲にとどめるとしている。だとすれば、普段の行動範囲や訪れたことがある店を自動的に認識して、スケジュールを立てるときのおすすめに活用したり、新たな店舗を提案するために利用していくと、よりパーソナルな地図としての差別化をはかることができるのではないだろうか。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura