映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』が8月1日に公開され、謎のベールに包まれていた内容が明らかになった。キャラクター設定の変更や新キャラクターの登場などが話題になる中、本郷奏多が演じたアルミンは風貌こそに違いはあるものの、性格的な部分は原作の分身ともいえる役どころだった。

だからこそ、原作ファンのシビアな評価にさらされることになるわけだが、本郷は「不安やプレッシャーはなかった」と言い切る。『テニスの王子様』の越前リョーマ、『GANTZ』の西丈一郎、『NANA2』の岡崎真一など、これまで数々のキャラクターを演じてきた苦労と実績が、今の自信へと繋がっている。

誰よりも原作とキャラクターを尊重し、愛すること。本郷の心の中には常にその思いがあり、必然性を追い求めてきた"本郷のアルミン像"が、後編となる『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』(9月19日公開)でようやく完結する。本郷にとって「漫画キャラを演じること」とは? その定評の秘訣を探った。

俳優の本郷奏多 撮影:荒金大介

――原作ファンとうかがっていますが、最初に読んだきっかけは?

1巻が出たぐらいのタイミングで知人が読んでいて、「すごく面白かった」と勧めてくれたのが最初の出会いでした。読んでみたら1巻で主人公が死ぬし、なんだこれはと(笑)。早く続きが読みたくて、そこからは新巻が出る度に買ってどんどん引き込まれていきました。

―― 一読者として、ファンとして、その漫画キャラクターの出演オファーを受けるのはどんな気持ちですか。

今まで自分が好きだった作品に出演させていただくことが偶然にも多かったのですが…やっぱり毎回"超"うれしいです(笑)。その世界観に自分が入ることができて、ましてこういう『進撃』のように特殊な衣装や世界観というものは、撮影自体がとても楽しみで。そのアトラクションを体験させていただいているような感じだったりもしますし、初めて装備を付けた時なんかとても興奮しました。やりがいの1つですね。

――今回出演が決まった人の中には、不安を感じた人も多かったようです。

僕はあまりないですね。というのも、(三浦)春馬くんみたいに主演のプレッシャーがあったらまた違ったりするかもしれませんが、僕にとってはこんな超ビッグタイトルに出演させていただけるだけで間違いなくプラスのこと。不安やプレッシャーはありませんでした。

(C)2015 映画「進撃の巨人」製作委員会 (C)諫山創/講談社

――原作キャラを演じる上で、ファンの立場になって原作を尊重することを大切になさっているそうですね。

今ではそのやり方が完全に正しいと確信しています。人気原作のキャラクターを演じたのは、『テニスの王子様』(06年)が初めてです。もともとテニス部で、漫画も全部読むくらい大好きな作品。それは『GANTZ』(11年)も同じでした。もともと好きだったものに出させていただくことが多かったので、たまたまそれに気づくことができたんだと思います。

自分が原作ファンの作品が実写化される時、どういうことをやってほしいかは考えずとも分かること。ファンが一番やってほしいと判断したことを体現し、次の作品のオファーをいただいた時に、そのやり方を評価していただいたんだと思うようにしています。

『進撃』はもともと好きでしたが、例えば今まで読んだことがない作品だとしても、それが人気の作品だとしたら絶対にめちゃくちゃ勉強してから挑もうと考えています。人気があるということは、必ず人を引きつける何かがある良い作品です。何歳まで役者を続けられるか分かりませんが、ものすごくベテランになったとしても、そのスタイルはずっと続けたいと思っています。

――入り口は違っていてもゴールは同じ?

そうですね。スタート地点をつくり上げるというか、撮影が始まる前に深いファンになるというのはこれからもやっていきたいです。

――最近も『アカギ』(15年)が話題になりましたが、どのような位置付けで臨まれましたが。

『アカギ』も前から好きでした(笑)。麻雀漫画で一番といえば『アカギ』ですし、麻雀打っている人はほぼ全員が読んでいるカリスマ性のある作品です。麻雀はもともとやっていましたが、牌さばき1つで経験者かどうかが伝わってしまいます。役柄のことだけではなく、そういうところも意外とすごく大切なので、撮影前には感覚を取り戻すためにたくさん麻雀打って臨みました。