命も仕事も家庭も守る!

前回は「恋人にしたい戦国武将」を紹介しましたが、今回は趣向を変えて「結婚」にフォーカスしたいと思います。

戦国時代の結婚事情をかいま見ると、女性は政略結婚をさせられることが多かったので、嫁ぎ先によって運命を左右されました。それは現代でも同じで、結婚する相手によって結婚生活が天国になるか地獄になるか決まります。そこで! 歴史好き女子が選んだ結婚したい甲斐性のある戦国武将を5人紹介していきます。

心は熱く頭は冷静な黒田官兵衛

一人目は、2014年にNHK大河ドラマに取り上げられ、V6の岡田准一氏が熱演したことで名声を高めた「黒田官兵衛」。官兵衛は織田信長、豊臣秀吉の家臣として仕え、多くの功績を残しました。先見の明があり、軍師としての活躍は有名です。

「戦わずして勝つ」というポリシーから、無駄な争いを避けて説得により敵を降伏させることを得意としました。そんな官兵衛なら、戦でハラハラしながら夫の帰りを待つことが常であった戦国時代でも、少しは心に余裕を持った結婚生活を送れるのではないでしょうか。

頭脳明晰で妻一筋! 家康をも恐れない直江兼続

あまりメジャーではないかもしれませんが、「直江兼続」も結婚相手には理想的な人のように思われます。直江兼続は上杉謙信の養子で、上杉景勝を支えて上杉家の当主の座につかせた人です。頭脳明晰で、地位の高い人に媚びるわけではなく、ダメなことはダメと言える人柄でした。いいがかりをつけてきた徳川家康に怒った兼続が、長文の手紙をもって冷静に言い返した「直江状」は有名です。

そんな兼続には最愛の妻・船(せん)という女性がおり、側室を持つことが当たり前の戦国時代においては珍しく、生涯をかけて船一筋だったんだとか。兼続は良き夫、良き父親となってくれそうですね。

家を守り抜いた苦労人の真田信之

2016年のNHK大河ドラマで取り上げられることが決まった「真田丸」(真田家)。その中から長男の「真田信之」がエントリー。信之は穏やかで辛抱強い性格でした。家康と豊臣家等が天下の覇権を争った関ヶ原の戦いでは、父の昌幸と弟の幸村とは袂をわかち、勝利を収めました。

しかし、信之は父と弟を見捨てず、自分の貰った褒美を投げ打って助けようとしました。その姿に胸を打たれた家康は、真田親子を助けることにしたのでした。家族愛もさることながら、現代でもびっくりの93歳と大変長生きしたので、年老いても仲むつまじく暮らせそうですね。

誰もがうらやむおしどり夫婦だった浅井長政

"理想の夫婦"との呼び声も高い「浅井長政」も外せません。信長の妹であるお市と結婚し、弟になるちぎりを結んだ長政は義理に厚い人でした。信長と長年の恩義があった朝倉義景が対立した際には、苦悩の末、義影に味方することに決め、信長を襲います。

しかし、朝倉軍は敗北。その後どんどん不利になっていっても信長側に付くことはなく意志を貫き通したことから、一度決めたことは曲げない、真面目で芯の通った性格だったことがうかがえます。

妻のお市とは同盟のための政略結婚ではありましたが、とても夫婦仲が良かったそうで、周囲がうらやむおしどり夫婦だったんだとか。また、信長との関係が悪くなっていたのにも関わらず、3人の子どもがいるのもその証拠。長政とは絵に描いたようないい家庭を築けそうですね。

持ち前の粘り強さで天下を統一した徳川家康

最後はやっぱりこの人、江戸幕府を築いた「徳川家康」です。家康は幼少期を人質として過ごしたり、天下が自分の元へ転がるまで待っていたりとかなり我慢強い人でした。江戸幕府が約300年も続いたのは、家康のこの性格があってのことでしょう。

とはいえ、家康の魅力はなんといっても安定感と財力。将軍ということでぜいたくをしていたように思うかもしれませんが、実はかなりの倹約家。お金を使うのはここぞという時だけだったようです。堅実で我慢強いとなれば、結婚生活も江戸幕府のように安泰ですね。


いかがだったでしょうか。昨今、熟年離婚の数が増加しているようですが、できることなら夫婦仲良く墓場までと、考えている人もまだまだ多いように見受けられます。となると、やはり重視したいポイントは安定感。子どもを産んで育ててと考えると、恋人のように好きだけではどうしようもありません。結婚相手を決める時は一時の感情だけではなく、長く付き合っていけるかどうかを見極めたいものですね。

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筆者プロフィール: かみゆ歴史編集部

歴史関連の書籍や雑誌、デジタル媒体の編集制作を行う。ジャンルは日本史全般、世界史、美術・アート、日本文化、宗教・神話、観光ガイドなど。おもな編集制作物に『一度は行きたい日本の美城』(学研パブリッシング)、『日本史1000城』(世界文化社)、『廃城をゆく』シリーズ、『国分寺を歩く』(ともにイカロス出版)、『日本の神社完全名鑑』(廣済堂出版)、『新版 大江戸今昔マップ』(KADOKAWA)など多数。また、トークショーや城ツアーを行うお城プロジェクト「城フェス」を共催。
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