残業代未払いなどが問題になることが多いが、「時間外労働」について本当にきちんと理解できているだろうか? 今回は、勤怠管理方法について、アディーレ法律事務所所属の岩沙好幸弁護士が解説する。

厳密に定められたものはない

――残業時間の記録方法について、決まりはあるのでしょうか?

厚生労働省の通達(平成13年4月6日基発339号)では、「始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法」として「使用者が自ら現認することにより確認し、記録すること」と「タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること」の2通りの方法が挙げられています。

それとともに、自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行うことも認められています。自己申告制の場合は曖昧な労働時間管理となりがちなため、使用者が定期的に実態調査を行うのが望ましい、としています。その他、同通達では正確に記録するための要件をいくつか課しています。

他に、労働時間の記録方法について厳密に定められたものはありません。結局、上記通達も、使用者自身の現認、タイムカード等の客観的記録、労働者自身の申告、のいずれでもよいが正確な記録でなければならないという内容を言っているにすぎません。ですので、厳密な決まりはありません。