大幸薬品とドウシシャは8月20日、2社共同で「製薬会社の健康家電」と銘打った製品発表会を開催した。発表されたのは、二酸化塩素を発生させる「クレベリン LED搭載 kamomeハイブリッド式加湿器 KKHQ-651C」(以下、KKHQ-651C)と「クレベリン LED搭載 mood超音波式加湿器 KMWQ-301C」(以下、KMWQ-301C)の2製品だ。いずれも発売は10月を予定している。

大幸薬品 代表取締役社長 柴田高氏(左)とドウシシャ 代表取締役社長 兼 最高執行責任者の野村正幸氏(右)

クレベリン LEDで、家電との融合を実現

現在発売中の置き型「クレベリンゲル」を手に、二酸化塩素の除菌性能について語る柴田氏

発表会の冒頭では、大幸薬品の代表取締役社長を務める柴田高氏が登壇。今回の加湿器に組み込まれた二酸化塩素発生装置「クレベリン LED」は、2013年11月に大幸薬品が開発したものだ。柴田氏はクレベリン LEDの開発背景や今後の展開について語った。

「クレベリン」シリーズは、大幸薬品の看板ともいえる除菌・消臭製品。二酸化塩素分子を発生させることで、空中に浮遊する菌やウイルス、カビなどの機能を低下させる製品だ。柴田氏によると、現在発売されているクレベリンは、据え置き型のゲルタイプと、気になる場所に吹き付けられるスプレータイプの2種類で、どちらも液体成分が空気に触れることで空中に拡散されていくという。

今回加湿器に組み込まれたクレベリン LEDでは、特殊な波長のLED光を「クレベリン LED カートリッジ」に照射することで、二酸化塩素が生成される。このため、二酸化塩素の発生を電気的にコントロールできるようになった。LED光が当たる亜塩素酸ナトリウムは固形なので、液体を使っている従来製品よりも扱いやすく、家電製品への組み込みが容易になった。

大幸薬品は、クレベリン LEDを短期間で普及させ、市場を活性化させるためにも、他社家電メーカーと協働するオープンイノベーションで事業展開を行っていくことにした。その第1弾として誕生したのが、ドウシシャと共同開発した加湿器である。また、柴田氏は「今後は家電製品だけでなく、公共交通機関や公共施設、病院といった施設設備へも発展させていきたい」と抱負を語った。

【左】2014年「日本防菌防黴学会」で発表された実験結果。二酸化塩素ガスを0.01ppmに保った空間において、一定時間が経過すると浮遊ウイルスや浮遊菌が99%除去されていたという。【中】二酸化塩素の発生量を一定に保つのが難しく、流通化は困難だった。クレベリン LEDはスイッチのオン・オフで電気的に二酸化塩素を発生させられる。【右】タブレット化した亜塩素酸ナトリウムに、特殊な周波数のLEDライトを照射することで二酸化塩素が発生する装置を開発した

強い風でも静かな「カモメ羽根」

企画力の高さとスピード力で、ニッチな家電分野にも進出していけるのがドウシシャの強み、と語る野村氏

続いて、ドウシシャ 代表取締役社長 兼 最高執行責任者の野村正幸氏も登壇した。ドウシシャは、デザインと機能性を両立した家電の開発を得意としており、特に加湿器においては、過去6年で100万台以上の売り上げ実績があるという。

なかでも、KKHQ-651Cに採用されている「カモメ羽根(ファン)」は、世界でもトップシェアを誇る船舶のプロペラメーカー「ナカシマプロペラ」との共同設計。かもめの羽根形状を参考にすることで、強い風量と、静音性を両立している。

ドウシシャではKKHQ-651CとKMWQ-301Cの両製品で、5億円の売り上げを目指す。2016年度には海外輸出も計画。さらに、今後は持ち前の高い企画力によって、加湿器以外のジャンルでもクレベリン LEDを活用した製品を開発していきたいとコメントした。

デザイン性の高いつぼ型の加湿器や、パワーと静音性を併せ持つ「カモメ羽根(ファン)」搭載扇風機など、ドウシシャのモノづくり力の強さをアピールした

カモメ羽根で二酸化塩素を届ける「KKHQ-651C」

KKHQ-651Cは、ハイブリッド式の加湿器。カモメ羽根(ファン)によるサーキュレーター機能を搭載しており、加湿器で生成したミストと二酸化塩素をファンで部屋に拡散する。二酸化塩素の発生をオフにすることも可能なため、一般的な加湿器やサーキュレーターとしても使用可能だ。

カモメ羽根(ファン)搭載のハイブリッド式加湿器「KKHQ-651C」。カラーはパールホワイトとメタリックシルバーの2色

加湿の目安は最大18畳まで(プレハブ住宅の場合)。タンク容量は約3Lで、1時間あたりの加湿量は「うるおい(強)」モードで650ml、「快適(中)」モードで500ml、「おやすみ(弱)」モードで250ml。連続加湿時間は弱モードで約4時間、強モードで約11時間。1 / 2 / 4時間で電源を切るタイマー機能も搭載している。

サイズはW33.5×D34.5×H39cm。カラーはパールホワイトとメタリックシルバーの2色。販売価格は税別30,000円。クレベリン LED カートリッジの交換目安は、強モードで約1カ月、弱モードで約3カ月。

【左・中】交換用のクレベリン LED カートリッジを、付属のスペーサーにはめ込み、加湿器本体背面のスリットに差し込む。【右】上部のフタを外すと、ハンドル付の給水タンクが現れる。タンクの容量は最大3Lだ

本体上部にはかもめの羽根に着想を得たという「カモメ羽根(ファン)」を搭載。大きな風量と静音性を両立する

KKHQ-651Cにはリモコンも付属する。リモコンを使用しない時は、加湿器本体下部のスリットに収納可能

パーソナルサイズの「KMWQ-301C」

KMWQ-301Cは超音波式の加湿器。ファンによる送風機能は搭載していないものの、二酸化塩素の生成をオフにすることで、一般的な加湿器としても利用できる。プレハブ住宅の場合、加湿の目安は最大8畳までで、子ども部屋や寝室などパーソナルスペースでの使用を想定しているという。

加湿量は「強」「弱」「微弱」の3段階で切り替え可能で、1時間あたりの加湿量は強モードで300ml。タンク容量は約3Lで、連続加湿時間は強モードで約10時間だ。

2 / 4時間で自動的に電源を切るタイマー機能も搭載する。カートリッジの交換目安は、1日8時間の使用で約3カ月。サイズはW30×D10×H30cm、カラーはシルバー。販売価格は税別20,000円だ。

【左】スタイリッシュなデザインの超音波式加湿器「KMWQ-301C」。【右】加湿器の本体横にあるスリットからカートリッジ交換を行う

本体上部は約3Lの容量がある給水タンクになっており、本体側面にあるスペースから二酸化塩素を発生させる

両製品とも、共通の二酸化塩素発生カートリッジ「クレベリン LED 交換用カートリッジ LED-010」を使用する。カートリッジのサイズはW46×D24×H59.5mm、店頭価格は税込3,500円。

【左】カートリッジ交換時期になると、本体前面に配置されたランプが光って、交換時期を知らせる。【右】クレベリン LED 交換用カートリッジ LED-010