無線LANの通信スピードの遅さはイライラの原因の1つだ。ダイアルアップからADSL、光ファイバーと有線ネットワークが進化すると戻れなくなったのと同様に、無線でも快適さに慣れてしまい、以前なら我慢できた速度にすぐに耐えられなくなってしまう。

そこで、PC Magの記事「10 Ways to Boost Your Wireless Signal」を参考に、無線LANの通信スピードを少しでも速くする方法を考えてみたい。

無線LANの性能を決定する要因は、大きく「カバレージ(信号の幅)」と「速度」に分けることができる。いずれも重要であり、例えば、無線LANルータのすぐそばにいるのに速度がそれほど出ないのであればカバレージに問題が、また、Webサイトがなかなか開けないならば速度に問題があるのかもしれない。

まずは、距離、無線の干渉、ルータのファームウェアの3つがカバレージと速度の両方に影響することを知っておきたい。距離は単純に無線LANルータの近くにいればよいというだけではない。部屋やオフィスの構造(壁が多い)も関係しており、障害が多いほど効率が落ちる。壁の素材も影響する。木造やガラスは鉄筋よりも電波を通しやすいようだ。

干渉は主に他の電子機器との干渉がある。集合住宅なら、電子レンジ、ドライヤー、TVなどの家電製品のほか、各家庭から無線LANが飛び交っていることも多そうだ。ファームウェアは、セキュリティの観点から見ても最新版を使うことが望ましい。

これら基本的事項ををチェックしたうえで、以下の対策を検討しよう。

ルータの位置を変える

無線LANルータは必ずしもモデムの近くに置く必要はないという。ポイントは2つ――「高さ」と「中心」だ。つまり、2階建ての家の場合、1階の部屋の隅に置くのではなく、2階のできるだけ中央に設置したい。

サブルータを用意する

思い切って無線のアクセスポイントとしてもう1台ルーターを設置するという方法がこれだ。サブルータを立ててアクセスポイントあるいはリピーター(中継機)として利用することで、無線LANのパフォーマンスの改善が図れるかもしれない。

そのためにはまず、サブルータのLANポートとメインルータを接続する必要がある。例えば、メインのルータのIPアドレスが192.168.2.1で、サブネットマスクが255.255.255.0なら、サブルーターのIPアドレスは192.168.2.2にして、同じサブネットマスクを設定する。SSIDは同じものを割り当て、DHCPはオフにしよう。

中継機を購入する

簡単に設定でき、間違いが少ない方法がこれ。エクステンダーあるいはリピーター(中継機)を別途購入するという方法だ。中継機とはカバレージを広げてくれる機器で、コンセントに挿すだけの簡単なものも販売されている。ほぼ確実に性能が強化する代わりに、コストを伴う。なお、ルータや中継機などのネットワーク関連の機器は同じベンダーのもので揃えると性能が最大化できるそうだ。

チャンネルを変更する

無線LANの周波数帯を変更すると電波状況が改善することがある。例えば、同じ建物で複数台の無線LANルータがある場合、異なるチャンネルを利用するよう設定するとよいと言われている。チャンネル変更が簡単に行えるソフトウェアもある。

記事が紹介するのは「inSSIDer」というソフトウェアで、これまで無料で公開されていたが、現在19.99ドルの有料ソフトとなっている。inSSIDerは最善のチャネルを選択してくれるだけでなく、信号の強度を追跡するなどさまざまな機能もある。

30日間の無料お試し版があるので、まずは試してみてから購入するかどうかを決めるとよさそうだ。

DD-WRTを試す

上級者向けには、オープンソースとして無料で公開されているルータ向けソフトウェア「DD-WRT」を利用してパフォーマンス改善を図る方法もある。DD-WRTはLinuxベースのルータや組み込みシステム向けのファームウェアで、ルータがハードウェア側で備える性能を最大限に引き出すことができるとされている。この方法はリスクも伴うので注意が必要だ。

まずは、プロジェクトのページで自分のルータが対応しているかどうかを必ず確認すること。対応していたら、インストールして動くはずだが、ここから先は自己責任で行うことになる。つまり、ルータメーカーによるサポート対象外となり、問題があった時は自分で解決しなければならない。その覚悟ができているのなら試してみてもよいかもしれない。