iPhoneユーザーにはメリットはあるのか

iPadをより便利なものに変えてくれるマルチタスク機能だが、残念ながらiPhoneユーザーにとっての恩恵は現在のところはない。

そのかわりに、というべきか、届いたメッセージなどに対しては、画面上部の通知を下にスライドし、編集画面を表示させることで、アプリを切り替えなくても返信できる機能がある。

ただ、この機能はiPadでも利用できる上、通知が表示されている間しかスライドできないことを考えると、いつでも別アプリをオーバーレイ表示できるiPad向けのマルチタスク機能とは異なる。

その他にも、アプリ連携機能が強化され、例えばRSSリーダーアプリからソーシャルメディア共有のBufferの投稿画面を呼び出して投稿し、再び元のアプリに戻る、という使い方も可能だ。こちらも、アプリ切り替えを使わず、他のアプリの機能を呼び出して利用できる仕組みとなっている。

ただし、共有メニューは画面にオーバーレイされるため、元のアプリの記事の内容を確認したい場合は、一度共有メニューをキャンセルしなければならない。書きかけの内容があったとしても、もう一度共有メニューを開いたら書き直さなければならなくなる。

こうした点で、iPhoneの通知から返信を書く機能や、アプリ連携を利用した共有メニューなどは、iPadがサポートするマルチタスク機能の代替にはなりえないのだ。

過去のiPadでもスライドするタイプのマルチタスク機能をサポートしている 。そのため、iPhoneのプロセッサの問題ではなく、画面サイズからくる使い勝手を考慮しているようだ。Appleが「iPhoneではマルチタスク機能を採用しない」という判断をしているものと考えられる。

確かに、きちんと操作できるほどの幅をiPhoneの画面に確保しようとすると、それまで使っていたアプリの画面を完全に隠してしまうことになる。だったらこれまでのタスク切り替えやアプリ連携を使えば良いじゃないか、と考えるのが妥当だ。