【レポート】

神奈川県鎌倉市で"海街"ロハスカフェをめぐる - 麻スイーツにアジア定食も

映画『海街diary』でも描かれ、スローな時間が流れる海辺の街のイメージがすっかり定着した神奈川県の古都・鎌倉。今回は、鎌倉で落ち着いたカフェタイムを楽しめる、地元で人気のロハス系カフェ2店舗を紹介しよう。お店のロケーションや雰囲気はもちろん、素材や調理法にもこだわった健康志向の料理に着目したい。

"海街"鎌倉でロハスカフェをめぐる(写真は「麻心(まごころ)」カウンター席)

麻を生かしつくしたスローカフェ

まず紹介するのは、海辺の国道沿いにあるカフェ「麻心(まごころ)」だ。同店は江ノ島電鉄(江ノ電)の長谷駅からほど近く、店内にはテーブル席、ソファ席など全部で20席ほどを用意。中でも、"特等席"は窓際のカウンター席だ。店が建物の2階にあることもあり、由比ヶ浜のオーシャンビューを楽しめる。

このロケーションもあり、今では地元客はもとより観光客にも大人気の「麻心」。しかし、同店のそもそものコンセプトは、店名にもなっている植物「麻(ヘンプ)」のアンテナショップなのだという。

麻の衣服を着るSHINJIさん。整体師の経験を活かしたワークショップも主宰

オーナーのSHINJIさんによれば、古来から日本人と麻との関わりは深く、食用や衣類としての用途はもとより、神社の「しめ縄」や横綱が土俵入りで使う「化粧まわし」などにも使われる神聖な植物なのだそうだ。

麻は成長が早い上に、穂・種・茎・葉・根と全ての部位を無駄なく使うことができる。また、実にはタンパク質や鉄分などが豊富に含まれ栄養価が高く、衣服として着れば保温にも通気性にも優れ、UVカットや電磁波を遮る効果も期待される。便利で心地よいだけでなく、健康にもいい植物というわけだ。

「麻心」で提供される食事やスイーツは、麻の実を使ったいわゆる「ヘンプフード」だ。今回いただいた「パイナップルヘンプタルト」(610円)は、生地に麻の実を練り込んだスイーツ。

「パイナップルヘンプタルト」(610円)

マクロビオティックの考えに基づき、牛乳のかわりに豆乳を使うなどされているものの、甘さや風味はしっかりと感じられる。健康食品というと、どうしても「味気ないもの」というイメージがあるが、美味しさへも配慮しているところに「麻心」の人気の秘密があるのかもしれない。

「麻心」では麻を使った雑貨や衣服の販売もしているほか、店内にアート作品を展示するなどのイベントも実施している。取材した日は、絵画の個展が行われていた。

アート作品の展示などのイベントも実施

打ち寄せる波を眺めながら、麻とアートに囲まれて静かな時間を過ごす。海街・鎌倉で、こんな幸せを味わえたら最高ではないか。

■information
麻心
神奈川県鎌倉市長谷2丁目8-11
営業時間: 11:00~21:00
定休日: 月曜日(月曜日が祭日の場合は翌日)

ベトナムに魅せられたカフェで元気の出る定食を

次に紹介する「ソンベカフェ(SONGBE CAFE)」は、鎌倉駅西口の線路沿い、住宅地の一角にある。その立地こそ、"自然に囲まれている"というわけではないが、店内に一歩足を踏み入れると、まるで東南アジアの村にでもやってきたようなアジアンテイストのインテリアに心が和らぐ。

アジアンな雰囲気の「ソンベカフェ」店内

店名の「ソンベ」とは、「小さい河」という意味を持つベトナムの地名だ。「ソンベ焼」という、ベトナムの屋台や庶民の家庭で使われるような素朴な焼き物の産地だという。

オーナーの宇治さんは、ベトナムに滞在したときに古き良き時代の日本の雰囲気が残るソンベ村に魅せられたという。自身が生まれ育った鎌倉で「ロハス(持続可能性と健康を重視する生活様式)」を発信できないかと思い、「ソンベカフェ」をはじめたのだそうだ。

鎌倉でのツアーの企画や講師も務める宇治さん

「ソンベカフェ」の料理には、鎌倉などで採れた無農薬野菜やアジア食材店から取り寄せた食材と、タイの「ナンプラー」をはじめとするアジアの調味料を使用。アジア各国の料理のレシピに基づき調理している。今回いただいたのは「ソンベ定食」(1,100円)で、内容は以下のとおり。

・鶏モモ肉のレモングラス焼き
・ドジョウインゲンのタオチオ(タイの味噌)あえ
・プチトマトとアボカドのマリネ
・無農薬玄米の五分つき
・鎌倉地野菜サラダ
・鶏ガラスープ

「ソンベ定食」(1,100円)

夏でも食欲がわくように考えられたという、酸味のある味付けが暑い日にはうれしい。なお、「ソンベ定食」の内容は季節やその日に入る食材によって異なり、アジサイの季節などの繁忙期には提供されない日もあるとのこと。

また、「ソンベカフェ」では、食事やカフェのほか、宇治さんが気に入ったものを現地で買い付けているという雑貨も販売している。販売されている雑貨の中で気になるのは、やはり「ソンベ焼」のお皿や器。やさしい乳白色の地に素朴な絵が手書きされた、作り手のぬくもりが伝わるような焼き物だ。

乳白色の地に素朴な絵が手書きされた「ソンベ焼」

残念なことに、最近では中国製の器がベトナムにも大量に入るようになり、「ソンベ焼」の窯元は1軒もなくなってしまったという。いずれ「ソンベ焼」は入荷されなくなるかもしれない。その話を聞くと、文化が失われていくことの重大さに思いを馳せずにはいられなかった。

海に臨む街・鎌倉。定番の観光スポットや流行りの店も良いが、地域に根づいたロハスなカフェでゆったりとした時間を過ごせるのも、また捨てがたい魅力だ。

■information
ソンベカフェ(SONGBE CAFE)
神奈川県鎌倉市御成町13-32
営業時間: 11:30~20:00(土曜日のみ11:30~21:00、ラストオーダーは閉店の45分前)
定休日: 月・火・水曜日

※記事中の情報は2015年7月時点のもの。価格は全て税込

著者プロフィール: 森川 孝郎(もりかわ たかお)

旅行コラムニスト。京都・奈良・鎌倉など歴史ある街を中心に撮影・取材を行い、「楽しいだけではなく上質な旅の情報」をメディアにて発信。観光庁が中心となって行っている外国人旅行者の訪日促進活動「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の公式サイトにも寄稿している。鎌倉の観光情報は、自身で運営する「鎌倉紀行」で更新。
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