キャリア女性に特化した会員制転職サイト「LiBz CAREER(リブズキャリア)」を運営するLiBと、リンクアンドモチベーション、クラウドワークスは資本業務提携を結び、女性のキャリア形成・企業の労働力確保を支援する「キャリアパスポート構想」を、7月30日に発表した。

仕事と家庭の両立に問題が集約される現代

LiB 代表取締役 松本洋介氏

LiB 代表取締役の松本洋介氏は、これまで一貫して"女性"に関する仕事に携わってきた経験から、「女性がキャリアを積み上げながら働き続けることの難しさを解消したい」と想いを語った。

出産・育児とキャリアの両立や、一度キャリアにブランクができると元に戻れない、といった女性が抱える課題について、松本氏は「受験や就職活動に関しては男女フェアに考えられているが、仕事と家庭の両立に関しては、課題が多く残されている。今まさに、『仕事か家庭か』の二者択一の時代から、『仕事も家庭も』両立させる時代の変換期となっている」と語った。

リンクアンドモチベーション 代表取締役会長の小笹芳央氏は、「企業は"労働市場への適応"が至上命題」として、女性活躍を推進させるための現状の問題点について次のように解説した。

リンクアンドモチベーション 代表取締役会長 小笹芳央氏

「高度経済成長時代と比べて、企業の競争優位はホスピタリティやアイディア、クリエーティブなどソフトなものに変わってきている。これからの日本は、ビジネスモデルではなく、環境変化に対応できる人材力が重要となってくる。しかし、女性活躍推進を考えると、『年功序列』『終身雇用』『男性中心のキャリアモデル』といった従来の労働システムがボトルネックとなる。これらは、男性中心の社会で決められてきたシステムのため、ライフステージの変化に対応したシステムにはなっていない。この仕組みを考え直さなければ、"男性中心モデル"に女性を当てはめることにしかならない」(小笹氏)



企業が柔軟に雇用できるようにするために

この時代の変換期に3社が提唱するのが「キャリアパスポート構想」である。これは、今まで"キャリア"として考えられてこなかった、非正社員での仕事などもキャリアとして捉え、可視化させることによって、企業がワーキングマザーなどの採用に対する不安を払拭し、雇用時に適切に判断できる情報とすることを目的としている。

3社は、今後ライフイベントを抱える女性だけでなく、介護をしながら働く必要がある人など、時間・場所の制約を持ちながら仕事をする時代に対して、「キャリアの断絶が起こらない就業機会」や「個人のキャリア情報が蓄積されていく仕組み」をつくることが重要だと、考えを述べている。

LiBは、LiBz CAREERを利用する女性たちのフルタイムでのキャリア情報からリモートワークの就業経験、ライフプラン情報などを企業に提供し、ユーザーである女性たちに対しては復職支援などサポートを行うとしている。リンクアンドモチベーションは対企業に対して、女性のワークモチベーションを診断するサーベイや、採用、研修、制度設計といった、幅広い企業変革のサポートを導入し、多様な女性が活躍できる企業体制づくりを支援する。クラウドワークスは、対個人に対しては、時間・場所に制約があるタイミングであっても従事できるリモートワーク求人を提供し、対企業に対しては、リモートワークの活用支援を行うとしている。

キャリアパスポート構想における各社の取り組み内容について

LiBz CAREERを利用する女性たちは、リモート・フルタイムに関わらず、積んできたキャリア・評価などの情報をLiBz CAREER上のレジュメに蓄積し、次のキャリアに移る際の「パスポート」となる経歴書をつくることができるとしている。

ゆくゆくはLiBz CAREER以外でも使える仕組みにしたいという

「これは、社会全体で取り組んでいかなければ解決できない問題。個人と企業の両方に働きかけて、環境を整えていく」と、松本氏は意気込みを語った。

具体的な活動内容は未定とするものの、今年の10月から取り組みを開始する予定としている。

左から、クラウドワークス 代表取締役社長兼CEO 吉田浩一郎氏、LiB 代表取締役 松本洋介氏、リンクアンドモチベーション 代表取締役会長 小笹芳央氏