最近、よく耳にする「インバウンド」という単語。インバウンドとは、「入ってくる、内向きの」という意味の英語ですが、最近では外国人旅行客の来日、そしてその外国人旅行客がもたらす経済効果などについても使われることが多いようです。実感…となるとほとんどの方がされていないのではないでしょうか。でも、実は身近なところにもインバウンド効果は現れています。一緒に見に行ってみましょう!

新橋からスタート!

では、実際にインバウンドを実感してみましょう。今回の旅は、サラリーマンの聖地、新橋駅からスタートします。駅にいるだけでは、正直まったくインバウンドは感じられません。本当にあるのでしょうか。

街頭インタビューで有名なSL広場にも一向にその気配はありません。

でも、よく見ると、マツキヨとキムラヤの前に、Tax Freeを掲げるフラッグが。少ないながらも外国人旅行客が来るのでしょう。

駅の反対側へ回ります、そう、新橋を出発地点にしたのは、まずはここを見るため。ヤマダ電機「LABI アメニティー&TAX FREE 新橋銀座口店」です。郊外型店舗の閉店が相次ぐ中、今年の4月10日にインバウンド消費を目論んだ、全館Tax Free対応の店舗に生まれ変わった店舗です。もちろん、今まで通り日本人も買い物可能です。

実際に店舗へ入ってみると、平日の午後2時、しかもこの時、気温が35℃ということもあるためか、買い物客はちらほら。唯一にぎわっていたのがマッサージ器の体験コーナー。そこでは中国系のおじさま、おばさまが至福のひとときを過ごされていました。ここで鋭気を養ってからお目当ての電化製品に猪突猛進するのでしょう。

銀座には9丁目は実のところありませんが…銀座ナイン

とはいえ、いつまでも見ているわけにもいかないので、先を急ぎます。銀座ナインの中を通り抜けると、ドレスショップが目に入ります。ここは変わらないなぁと安心束の間、化粧品店にはキティちゃんをあしらったTax Freeのポスター。やはり、ここにもありました。

それもそのはず、一歩外へ出ると、

道の反対側のハナマサ前に、如何にもな団体客。観光バスも止まっています。単なるバスの待ちあわせ場所かと思いきや、ハナマサでも買い物を楽しんでいる様子。レジは長蛇の列になっています。今の人気は桃のようで、箱買いしている方が何人もいらっしゃいました。ところで、桃って、持って帰国できませんよね? ホテルの部屋で滞在中に1箱食べるのでしょうか。そのあたりも日本人とはスケールが違います。

銀座8丁目、バーバリーは不滅

ハナマサから見て、斜め前にあるのが、博品館とバーバリー。そう、このバーバリーは、中国系の富豪による爆買い姿をよく見かけることができるスポットでした。そんなバーバリーも、ライセンスを持っていた三陽商会が、6月末で英バーバリー社との契約が終了し、すでに生産を終え、この7月には新たな後継ブランド、マッキントッシュの店舗が生まれました。いずれはここも変わるとの報道もあり、一時期はファンによる爆買いに拍車がかかっていたそうです。今も、前を通る中国系旅行客は必ずといっていいほど、中へ吸い込まれていきます。やはりバーバリー人気は不滅のようです。

中央通りは中国系団体旅行客のメッカ

中央通りに入ると、その観光バスの多さに圧倒されます。どうやら、ここにバスを止め、フリータイムでお買い物を楽しむというのが定番スタイルのようです。

本当にほかの車が止められないほど、観光バスの路上停車が連なっています。そして、歩道には、ここかしこに団体客が。

新橋の静けさがウソのように、中央通りは、中国系旅行客の熱気ムンムンです。ここで、先ほどの新橋の静けさについて、ひとつの仮説が生まれました。団体のバスは中央通りに止まる、つまり、フリータイムは、中央通りの店舗をとりあえず回るのが定番。そして新橋まで足をのばすのは、余程の日本通か、リピーターなのではないでしょうか。

ひときわ団体客が多い場所が目に入りました。そこは、ラオックス銀座店前でした。

銀座初の大型免税店

ラオックスというと、かつては家電量販店としての商いを行っていた店舗ですが、業績不振が続いたため、独自再建を断念。2009年に中国マネーの出資を受け、主として中国人旅行客向けの総合免税店へと業態転換したそうです。しばらくは、東日本大震災や尖閣諸島問題での反日などで赤字続きだったようですが、ここにきて、黒字へ転換。インバウンドの恩恵を一番感じている店舗かもしれません。

自分の目でインバウンドを見てみたいという人がいたら、迷わずここをおすすめします。 最後に1枚…これぞという写真で現場からお別れします。

この爆買い袋の正体は次回に…。


株式会社回遊舎

"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。