夏だからといってシャワーしか浴びない。汗をかいては増える洗濯もの……。夏は何かと水が大活躍です。でも無駄に水道の水を出しすぎていたりしませんか? 意識を変えて、夏こそ節水、今すぐ実践してみてください!

最近は大雨が話題ではありますが…

先日の梅雨時の日本列島を襲った、台風11号は、記録的な大雨と被害をもたらしました。ですので、節水といってもピンと来ない方も多いかもしれません。

また、日本人には、水と空気はタダ(実際はタダではありませんが)という考えが根強いようです。しかし、今から20年ほど前、1994年に起きた渇水をご存知でしょうか。九州から関東までの広域で、水不足が起きたのです。忘れもしません、その年の9月、福岡へ行った際に、ホテルへ宿泊したのですが、シャワーの水圧が本当に弱く設定されており、髪を洗うのを断念した思い出があります。その年の水不足は、本当に深刻で、福岡市では翌1995年の6月まで断水が続いたのです。なんとその日数、295日間。本当に大変な年でした。

その雨、本当に水源にも降っていますか?

最近はよく大雨が降るから大丈夫と思っている方も多いかもしれませんが、その雨、本当に水源にも降っているでしょうか。最近のゲリラ豪雨的な大雨は、極めて局地的に降ることが多く、肝心の水源に同じ量だけ降っていないこともあるのです。雨は水源に降り、ダムに貯水されてこそ、水資源となり、いくら都会にジャブジャブ降り注いでも、それはいたずらにマンホールをあふれさせたり、駅を冠水させたりして迷惑なもの。しかもいずれは単に海へと流れていくだけのものです。私たちの生活水にはなりません。

今のダムの貯水量が気になった方は、国土交通省のHPから全国のダム貯水量が見られますので一度見てみてはいかがでしょうか。

あんなに降ったのに、貯水量、100%になってない! と驚く方もいるかもしれません。

夏は、特に水を多く使いがちなシーズン。少しの心がけで、資源を守ることにもなり、またお金も節約することが可能です。その1杯から節約、はじめてみませんか?

年間で約2800円超えの効果

歯磨きの際、水はどうしていますか? 「ちゃんと止めているよ」という方もいるとは思いますが、歯ブラシを洗ったりするときは、大抵流しっぱなしになっているのではないでしょうか。水を30秒流しっぱなしにすると、おおよそ6Lくらいが下水へ流れ込む計算になります。これを金額換算すると、約1.44円になります。これを、コップに汲んで使えば0.6L程度で抑えることが可能です、0.6Lだと、10分の1ですので、その金額は0.144円。差額は1.296円。これが1日2回、×1カ月(30日)とすると、1カ月で77.76円、家族3人分となると、233.28円の差です。(1L当たりの単価を0.24円とした場合:東京都水道局)

これが1年となると、×12カ月で2799.36円。約2800円です。2800円あったら、家族3人でランチ外食ができます。

歯磨き以外にも、シャワーはこまめに止める、お風呂の残り湯で洗濯する、トイレのレバーは用途で使い分けるなども意識することで節水が可能です。

面倒な人は、節水アイテムを導入する

節水は大事だと思うけれど、いちいち自分で意識して節水をするのは面倒。そういう方におすすめなのが、強制的に節水できるアイテムの導入です。いくつかご紹介しますので、ご自身の生活にあったアイテムを導入してみてはいかがでしょうか。

節水コマ

蛇口の中へ取り付けることで、蛇口の開き具合によっては、最大50%の節水効果があるアイテム(ただし、蛇口の形によっては、取りつけられないものもあります)。無料で節水コマを配布している自治体もありますので、興味のある方は問い合わせてみてはいかがでしょうか。ただし、この節水コマ、蛇口を全開にしたときの水量は普通のものと変わりませんので、設置したら蛇口全開にしないようにだけ注意ください。せっかくの効果がはっきされませんので。

トイレ

タンク式のトイレの場合、最近のものは、少ない水でも便器がキレイに流れるよう工夫されており、節水化が進んでいます。

便器ってなかなか壊れたりしないものなので、滅多に交換しないとは思いますが、築20年の物件で、便器を交換していないお宅の場合、1回に大で流れていく水量は10L。最新の節水式便器は3.8Lですので、その差はなんと6.2L。1回あたり、1.488円多く流していることになります。健康な成人は1日に 4~8回トイレに行くそうです。そのたびに、大で1.488円余分に流していたとしたら、そこそこ大きい金額になりますね。

古いトイレの水を節約しようとして、ペットボトルなどをタンクへ入れる方法がかつて一世を風靡しましたが、あれは絶対にやってはいけません。それだけの水量がないと、きちんと流れない設計なのですから、トイレのつまりの原因になります。トイレが詰まって業者を呼ぶ羽目になったら、時間とお金の無駄です。ご注意を。

食洗器

流水で食器洗いをした場合、その水の使用量は、110L。貯めて洗って、最後だけ流水すすぎにしても、90Lは使用するそうです。一方食洗器の使用水量は、9Lほど。手洗いの1/10ですね。貯め洗いだとしても、1回につき、19.44円水を余計に使用しています。食洗器の稼働に電気代はかかりますが、手洗いでもガス湯沸かし器などを使用すれば、ガス代はかかります。なにより食器洗いは主婦にとっては苦痛な仕事です。できるだけ早く食器洗いから解放された、節水生活を送られるのがいいかと思います。

天の恩恵を上手に使う術

いくら大雨が降っても、水源に降らなかったら生活用水にならないと申し上げましたが、 実はそれを生活用水にする術があるのです。それは天水桶(雨水桶)です。古くは江戸時代から日本では使われてきたもので、文字の通り、天からの水(雨)を貯めておき、生活用水として使うものです。最近のエコブームでこの天水桶も雨水タンクなどと名称を変え、見直されています。設置方法はいたってシンプル。雨どいから流れてくる雨水を、タンクのような容器へ貯めるというものです。たまった雨水は、花壇の水やりや道路の水撒きなどに使用することができるので、節水にも効果大。また、断水の際にはトイレを流す水などとしても活用できます。自治体によっては、雨水タンクの設置に助成金が出る場合もあるそうですので、各自治体に確認をしてみてください。また、DIYの得意な方なら自作も可能です。台風で大きな雨の恵みが得られる季節の前に、是非チャレンジしてみてください。

下水へ流れる雨水


株式会社回遊舎

"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。