Microsoftが主催する年次の学生向けITコンテスト「Imagine Cup」の世界大会「World Finals」が今年も間もなくスタートする。

2003年にスタートした世界規模のイベントは今年ですでに13回目。これまで世界中を周遊してきた決勝戦の舞台は、2014年から米Microsoft本社のある米ワシントン州シアトルとなり、今年も引き続きシアトルで世界から33チームが集まり決勝に挑むことになる。日本からは香川高専の「チームすくえあ」が代表に選ばれたが、今年の決勝の行方はどうなるのだろうか。

今週は「Windows 10ウィーク」

Imagine Cupの醍醐味は世界各国の学生が持ち込むアイデアや技術もさることながら、学生らが日々の活動や審査員らを前にしたプレゼンテーションの数々を経て、日に日に成長を遂げていくという過程を楽しめるという点にある。

特に日本の場合は英語力という語学的なハンデが決勝戦においてつきまとうが、プレゼンテーションの内容も含め、日本国内予選で「すくえあ」が見せた内容以上に英語できちんとアピールが行えるのかが楽しみだ。大会関係者らによれば、Imagine Cup出場者のレベルは年々向上しているとのことで、日本代表以外のチームの動向も気になる。このあたりを追ってレポートしていく。

今年のImagine Cup World Finalsの会期は7月29日からスタートし、31日昼にシアトル中心部のWashington State Convention Center (WSCC)で行われる米Microsoft CEOのSatya Nadella氏による結果発表と授与式で締めくくられる。

主な会場となるのはこのWSCCと同州レドモンドの米Microsoft本社キャンパスで、何度もシアトルを訪れている筆者が過去最高クラスと感じるほどの良天候の下、2日半のイベントは実施される。

すでにお気付きかもしれないが、この「7月29日」という日付は今回のMicrosoftにとって大きな意味を持っている。同社が「最後のメジャーバージョンOS」とも表現する「Windows 10」の一般発売が開始される日だからだ。

残念ながら、発売にあたって以前のWindows OSにあったような世界規模のお祭り騒ぎこそないものの、米国ではMicrosoft Storeを中心に小売店での各種イベントが開催されるほか(シアトル近郊ではMicrosoft Storeベルビュー店でのイベントが告知されている)、Microsoft本社キャンパスにおいてもこれに関連したイベントや告知などが行われるようだ。

また、同週には世界中のMicrosoft技術チームやエバンジェリストが集合する「TechReady」というイベントがWSCCで開催されており、前述「チームすくえあ」のメンバーもTechReady参加者や関連イベントでの現地交流があったことが報告されている。

日本代表の香川高専とは?

World Finalsでは「World Citizenship」「Innovation」「Games」の3部門で構成され、29日に3部門が同時進行する形でMicrosoft本社キャンパスでプレゼンテーションがチームごとに順番に行われる。このプレゼンテーションの数々は29日夜から30日にかけて一般公開され、Microsoft社員も含めて観覧できる。

30日には実際の審査が行われるが、これと並行してImagine Cup参加者や取材陣には「The Garage」という名称の技術展示ツアーが用意されたり、数々のアクティビティの案内が行われていたりと、31日の本発表を前にMicrosoftの本社キャンパスや技術を楽しめる構成になっている。

いずれにせよ、シアトルとレドモンドの本社キャンパスを合わせ、この地域全体が7月27日の週にお祭り騒ぎになっているということがわかる。Imagine Cup本体だけでなく、このあたりの空気感もレポートの中で紹介できればと思う。

なお、決勝戦を前にした7月7日、チームすくえあの在籍する香川高等専門学校(香川高専)において、壮行会と模擬プレゼンテーションが披露されている。英語プレゼンテーションの練習の様子壮行会の模様はMicrosoftの公式Blogでも公開されているが、コメントと合わせて簡単に紹介しておく。

  • 香川高等専門学校校長 八尾 健氏のコメント

「孫氏の兵法に「兵は機動なり」という言葉がある。素早く機敏に対処するというのもあるが、私はさらに、状況に応じて機転を利かせて動ける状態のことを指すと考えている。予期せぬことは必ず起こるものと考え、ぜひ万全の準備をしつつ、同時に予期せぬことが起こっても堂々と、対応できるようにしてほしい」

  • チームすくえあの山崎氏

「このプロジェクトは、イマジンカップに出る前から、様々な人の協力を得ながら進んできた。まずは関わってきていただいた方々に御礼をいいたい。また、「世界に新しい風を起こし」て、優勝を目指したい」

  • 日本マイクロソフト テクニカルエバンジェリストのドリュー・ロビンス氏

「私は香川のチームは4月のイマジンカップ日本予選大会の時からずっと応援している。あと個人的なことになるが、家族も含めてScreenAIRの大ファンだ。今日は彼らの成長したプレゼンテーションを見られて良かった。世界大会でも彼らが輝かしい活躍をしてくれることを確信しています」

Imagine Cup World Finals 2015が米ワシントン州シアトルで間もなくスタート

Pike Place MarketやStarbucks 1号店など、多くの観光客で賑わうシアトルのダウンタウン。筆者もシアトルは過去何度も訪れているが、週全体がこれほど快晴で気候に恵まれた時期というのはほとんど経験がない。チームすくえあはこの好天の西海岸に旋風を巻き起こせるか

チームすくえあが在校する香川高等専門学校(香川高専)。台風9号の接近で7月7日の壮行会はあいにくの荒天となったが、在校生170名を前にした模擬プレゼンテーションが披露された

模擬プレゼンテーションの様子。すくえあの「ScreenAir」は風圧を感知できる大型スクリーンとアプリケーションの組み合わせで構成されている。そのため、デモ担当者がスクリーンに顔を近付けて息を吹き付ける様子もしばしば見られる。余談だが、ScreenAirは巨大な専用デバイスを必要とするため機器の国際輸送には細心の注意を払ったが、会期前日の28日昼時点でも機材が届かなかったなど、担当者はかなりやきもきした状態だったようだ

すくえあのメンバーと先生たち、そして日本マイクロソフトの関係者による集合写真でガッツポーズ