デルは7月7日、代表取締役社長の郡信一郎氏が退任し、8月1日付で平手智行氏(前ベライゾンジャパン合同会社 執行役員社長)が、新たに代表取締役社長に就任する人事を発表したが、7月24日、同社は新社長就任に関する記者説明会を都内のホテルで開催した。

現社長(説明会時点)の郡信一郎氏(左)と新社長に就任する平手智行氏(右)

やリ残したことはない

7月でデル 代表取締役社長を退任する郡信一郎氏

最初に登壇した郡氏は2011年からの約4年間の社長業を振り返り、「2011年の社長就任時には、デルがソリューションを提供できる信頼できるパートナーだということを多くのお客様に知ってもらいたいと述べた。それ以降、総合ITカンパニーを目指し、パソコンのデルからソリューションプロバイダーのデルへ、さらに直販のデルから直間両輪のデルにするべく、組織や社員のマインドを変えてきた。結果、お客様をサポートする領域も広がり、幅広いソリューションを提供できるようになった」

「デルはこれまで18億ドルの投資を行い、30以上の企業を買収してきた。そして、これらをいち早く日本の市場に投入すべく、デル・ソフトウェアの設立やSecureWorksの事業を日本で開始した。SecureWorksは直近で200%近い成長を遂げている。これにより、これまで弊社が得意としていたハードウェアに加えて、ソリューションも提供できるようになり、End to Endでセキュリティソリューションを提供できようになった」

「直間両輪の面では、パートナーと組みやすくするべく、人員を倍にする強化や自営保守の導入、型番のパートナーとの共通化による簡素化を図ってきた。これにより、これまでデルを競合と考えてきた企業も、協業パートナーとしてとらえてもらえるようになった」と、ソリューションプロバイダーとして順調に成長してきた実績を強調。その上で、「やり残したと感じるものはない」と、満足感を示した。

そして、新社長となる平手氏を「グローバルで抱負な経験を持っており、真のソリューションプバイダとしてデルを新たな時代に切り開く上で、最適な人材だ」と紹介。

「平手はグローバルの視点で、大きな実績を残しており、行動力、決断力などのリーダーシップを高く評価している。また、われわれがさらに大きなソリューションを提供していく上で必要な、直間(販売)での豊富な経験を持っている」と、新社長に選ばれた理由を説明した。

なお、郡氏は8月から米デル 日本アジア太平洋地域担当 副社長 グローバルセールスオペレーションに就き、営業の計画、戦略、リソースの配分など、アジア各国の営業支援を行うという。

郡氏は今回の人事について、「私の希望であり、今後は国境を越えた経営の力を蓄えていきたいと思っている。デルには国籍を問わずグローバルで活躍できる風土がある。今回の私の人事が、日本の社員がグローバルで活躍したいと思うきっかけになればうれしいことだ」と述べた

デルはソリューションプロバイダとしていい品揃えになってきた

8月1日にデル 代表取締役社長 米デル バイスプレジデントに就任する平手智行氏

続いて登壇した新社長となる平手氏は、「私は約25年、IBMを中心に製造、流通、金融、通信などIT業界でさまざまな役割を担ってきた。デルは、ソリューションプロバイダとして、いい品揃えになってきた。会長のマイケル・デルはお客様に必要なものを、お客様が必要な形で届けるため、株の非公開化を行うなど、ブレない経営をしている。IBMはプロダクトからソリューションに大きく転換したが、それをIBMで先導した立場、お客様の業務に役立てる視点で、お客様に足りないものをパートナーとともに、ソリューションに仕立て提供していきたい」と抱負を語った。

同氏は具体的な戦略については、「デルについてはまだ勉強中で、具体的な戦略はこれからだ」と、今回発表は行わなかったが、「お客様が経営視点で求めるものは、スピード、フレキシビリティ、コストが共通の課題だ。デルが提供できるソリューションはアプリの下のプラットフォームレイヤにあると思うが、以前はアプリケーションレイヤで提供していたものが、最近はその下のインフラで提供されるようになっている。これにより、コスト、スピード、フレキシビリティ、コネクティビティをお客様に提供できる。これがお客様の経営にメリットをもたらす価値だ。インフラは、インテグレートした形で提供していかないと、お客様に価値を見出してもらえない」と、インテグレートされたインフラソリューションを提供することがデルの役割であるという認識を示した。

そして、同氏は今回社長を引き受けた理由を、「マイケル・デルの志が、常にお客様、市場のためにというところにある点に魅力を感じた。また、デルが持っているソリューションで、お客様にいい化学反応を起こすことができると思ったからだ」と説明した。

郡氏は平手氏対する要望については、「デルが持っているグローバルでの組織の力を使って、日本のお客様にはまだまだやれることがあると思っている。われわれは、お客さまの本業にインパクトを与えるソリューションを提供していかなればならない。それが、現在のデルの目標だ。平手には、変化するお客様のニーズに対応していってほしいと思っている」と述べた。

記者の質問に答える郡氏(左)と平手氏(右)