ゼネラルモーターズ・ジャパンはこのほど、キャデラックの新型「ATS-V」「CTS-V」のオーダー受付を開始した。アメリカでは今夏、日本では2016年に発売予定だ。これに合わせて都内で記者発表会も行われ、キャデラックのスーパー・スポーツ・セダン「Vシリーズ」の第3世代となる実車が公開された。

キャデラック「CTS-V」(写真左)・「ATS-V」(同右)

キャデラック「ATS-V」(写真左)・「CTS-V」(同右)

新しいイメージ確立した「Vシリーズ」、BMW・メルセデスがライバルに

キャデラックといえば、大きなボディに大排気量のエンジンを載せたラグジュアリーでおおらかなアメリカ車を連想してしまうが、最近は新しいイメージも確立している。その立役者の"ひとり"が、2004年に登場したスーパー・スポーツ・セダン「Vシリーズ」だ。同年にキャデラックレーシングチームを発足させ、初代「CTS-V」のレーシングバージョンで、北米のGTカーレースシリーズ「ピレリワールドチャレンジ」に参戦開始。2005年以降、マニファクチャラーズチャンピオンを5回獲得するなど、ハイパフォーマンスを強く印象づけている。

2014年に発表された「Vシリーズ」のエントリーモデル「ATS-V」は、より"キャデラックらしくない"パッケージといえるだろう。4,700mm×1,835mm×1,415mmのキャデラックとしては小ぶりなボディに、搭載するのは3.6リッターV6ツインターボエンジン。記者発表会にて、ゼネラルモーターズ・ジャパンのプロダクトマネージャー、中野哲氏は、「競合はBMW M3やメルセデスAMG C63」と説明していた。

一方、新型「CTS-V」は、「BMW M5やメルセデスAMG E63 S 4MATIC」(中野氏)をライバルとし、5,045mm×1,870mm×1,435mmのボディに、シボレー「コルベットZ06」と同じ6.2リッターV8スーパーチャージドエンジンを搭載している。

キャデラック「ATS-V」エンジンルーム

キャデラック「CTS-V」エンジンルーム

そのままサーキットも楽しめるハイパフォーマンスラグジュアリー車に

新型「Vシリーズ」の特徴は、キャデラックお得意のラグジュアリーさと、「なにも改造せずにそのままサーキットに持ち込んでも楽しめる」(中野氏)というパフォーマンスとの両立だ。「ATS-V」は最高出力470ps(346Kw)、最大トルク61.5kg-m(603N・m)で、0-60mph加速(0-100km/h加速とほぼ同等)は3.8秒。「CTS-V」は最高出力649ps(477Kw)、最大トルク87.2kg-m(855N・m)で、0-60mph加速は3.7秒となっている。トランスミッションはパドルシフト付き8速ATだ。

「ATS-V」(写真右)と「CTS-V」(同左)のタイヤとブレーキシステム

パワーユニット以外にも、サーキット走行を楽しむための装備が充実している。たとえばブレーキシステムはブレンボ製で、大径ローターにフロントは6ポッド、リアは4ポッドのキャリパーを採用。タイヤは専用開発されたミシュラン「パイロット・スーパー・スポーツ」とのこと。「Vシリーズ」を購入する裕福なユーザーなら問題ないのだろうが、筆者としてはサーキット走行で発生する交換費用に青くなってしまいそうだ……。

エクステリアでは、空力性能を最適化するエアロパーツに軽量なカーボンファイバーを採用。フロントスプリッター、ロッカーエクステンション、リアスポイラー、リアディフューザーなどが装着されている。インテリアでは、太めのリムにスウェーデッドマイクロファイバーが貼られた、パドルシフト付きスポーツステアリングホイールが目立つ。いわゆる"セミバケット"タイプのレカロ製リクライニングシートは、16段階の調整が可能だ。

「CTS-V」のフロントスプリッター

「CTS-V」のリアスポイラーとリアディフューザー

「CTS-V」の室内

「ATS-V」のレカロシート

キャデラック新型「ATS-V」は990万円から。新型「CTS-V」は1,330万円から。8月23日まで、全国のキャデラック正規販売店で実施される「カスタム・プレオーダー・キャンペーン」では、「ATS-V」960通り・「CTS-V」1,296通りというボディカラーや各種オプションなどの中から、自分好みの1台をオーダーすることができる。