2015年4月のIDC Japanの調査では、2014年末時点で82,238カ所のデータセンターのうち、通信事業者やITベンダー、クラウド事業者などが所有する「事業者データセンター」は599カ所、金融機関や官公庁、一般企業などが所有する「企業内データセンター」は81,639カ所という結果が発表されている。

しかし、クラウドサービスやITアウトソーシングの利用拡大によって、今後は事業者データセンターの延床面積は拡大し、企業内データセンターの延床面積は減少していくと予測されている。

震災の多い日本ではBCPのニーズが強く、また来年から実施されるマイナンバー制度に向けて、事業者データセンターの需要が高まりつつある。今回、データセンター事業を展開するアット東京のデータセンターを取材させてもらい、同社のサービスやファシリティについて説明してもらった。

データセンター・イン・データセンターとしての役割も

アット東京は都内5カ所でデータセンターを運営している。同社によると、BCPの観点から、企業にとってデータセンターは、有事の際や非常時にすぐにかけつけられる都内にあることへの需要は高いという。

同社が提供する基本サービスは、「コロケーションサービス」「ケージングコロケーションサービス」「ハウジングサービス」の3タイプが用意されている。大規模なサーバレンタルを希望している顧客に対しては、サーバ室単位でスペースを提供する「コロケーションサービス」を用意。中規模向けには、必要スペースをケージで囲ったゾーン単位で提供する「ケージングコロケーションサービス」を用意。小規模向けには、ラック単位でスペースを提供する「ハウジングサービス」が用意されている。

そのほかにも、キャリア・ベンダーニュートラルで提供しているネットワークサービスや同社のエキスパートが作業・運営代行するオペレーションサービスなどを提供している。

また、直接顧客にサービス提供するだけでなく、クラウドソリューションを展開する企業やデータセンター事業を展開する企業に対してもサービス提供しており、さまざまな企業とパートナー提携を行っている。つまり、データセンター・イン・データセンターとしての役割を担っているのだ。

基本的なサービスは充実しつつも、同社の強みはファシリティにあるという。これからそのファシリティについて、一つずつ解説していこう。

電気は直接受電で

今回取材させてもらったデータセンターでは、地下式変電所から電気を直接受電し、変圧してそのままセンター内で使用している。近隣の火力発電所からもバックアップとして電気が供給されており、安定性の高い電源を確保している。受電は地下ケーブルで行っているため、落雷などの影響を受けることもない。

電源は3系統用意されており、万が一この3系統が故障した場合もEG(非常用発電機)が備わっているため、非常時は電気をつくり出すことも可能だ。

EG(非常用発電機)

EGに切り替わるまではUPS(無停電電源装置)が用意されているため、10分間は電気の供給を行うことができる。UPSは冗長化構成となっており、万が一機器が故障した場合も、すべて予備機に切り替わるようになっているという。

UPS(無停電電源装置)

これらの電気を安定供給するための仕組みが、アット東京の大きな特長の1つとなっている。

フロアとフロアの間に設置された免震装置

データセンターは電気だけでなく、震災が起こった際でも「とまらない」かどうか、耐震性も重要なポイントである。同センターは、中央防災会議などで想定されているあらゆる災害被害を考慮しても、地震、津波、高潮、洪水の影響を受けるリスクが低く、強固な地盤の地域にあるという。

建物は3つのエリアにわけてサーバ管理を行っているが、各エリアには多数の免震装置が設置されている。

免震装置

免震装置となっている柱は、実際に地震などの揺れがあった際に、許容設計量までずれるようになっている。柱付近の階段の幅は、ずれた分だけ壁がせり出しても問題なく通行できるよう、スペースが確保されている。

また、同センターは世界規模のリスクマネジメント会社による地震リスク分析において、PML最高ランクを取得しているという。

省エネ効果を高める各種機器

データセンターといえば、できるだけ熱を冷やして、省エネルギーにすることも重要なポイントである。同センターのターボ式冷凍機は冗長構成となっており、同機1台で夜のうちに-4℃の水を2000トンつくることができるという。同機を何台も用意できるのは、14万平方メートルという延床面積のなせる技だろう。

ターボ式冷凍機

さらに数千トンの蓄熱槽も設置されており、省エネ効果を高めている。屋上には冷却塔も設置されており、冷凍機で水を冷やすのに使った熱を大気で冷やしている。

同センターは東京都優良特定地球温暖化対策事業所に認定されており、商用データセンターとしては初の取得だという。そのほかにも隣接するセンターは米国グリーンビルディング協会による環境配慮基準「LEED」にも認定されており、省エネ対策において多方面から評価されている。

セコムグループであるアット東京のセキュリティシステム

警備員や中央監視システムによる24時間365日の全館監視はもちろん、多重のセキュリティ構造により、ハード・ソフトの両面でセキュリティシステムを構築している。

サーバルームへ行くまでには、複数段階の認証が必要となっており、認証方法はIDカード認証と生体認証が組み合わさっている。また、サーバルーム内には複数のカメラが設置されており、各サーバラックの様子が監視されている。

サーバルーム内に設置されている監視カメラ

デザイン性にもこだわりが

ファシリティとは関係ないが、建物に入るとすぐに、とてもいいにおいがした。なんと、わざわざアロマをたいているそうだ。室内は吹き抜けが三角形になっており、何か意味があるのかと思いたずねたところ、こだわりのデザインであると回答をいただいた。

三角形の吹き抜け

建物内でわかれている3つのエリアには「A」「B」「C」とそれぞれ名前がつけられており、色分けされている。アルファベットは果物の頭文字となっており、その野菜や果物のカラーがエリアのカラーに設定されている。Aは「Avocado」で緑色、Bは「Blueberry」で青色、Cは「Cherry」で赤色となっている。

機能性だけでなく、デザイン性も重視しているアット東京のデータセンター。こんなところにも同社のサービスへのこだわりを感じた。