日本"向け"だけでなく、日本"発"のサービス展開も視野に

Twitter Japanは7月14日、都内で記者向けのラウンドテーブルを開催し、日本でエンジニア部門を新設すると発表した。

同社が米国以外でエンジニア部門を設置することは初めてで、具体的な採用人数は非公開。特に上限を決めておらず、「良いエンジニアがいれば積極的に採用していきたい」のだという。

日本でエンジニア部門を新設する理由は?

日本は米国に次いで世界で2番目にTwitterのユーザー数が多い。

また、「電車の遅延情報をツイートで得る」「テレビを観ながらのツイート」「地震や台風など、災害情報の情報収集」といった、他国では少ない、見慣れない先進的な使い方をしているため、「Twitter社にとって日本は特別な国であるという認識を持っている」と、Twitter Japanで執行役員 事業成長戦略本部長を務める牧野 友衛氏は語る。

Twitterは2011年に世界で2番目の現地法人オフィスを日本に設けており、ツイートのリアルタイム検索(ヤフー、NTTドコモ)、ツイートデータの再販(エヌ・ティ・ティ・データ)、テレビ番組ごとのツイート分析(ビデオリサーチ)など、ビジネスパートナーとの連携を進めてきた。

また、日本のユーザーを更に増やすため、日本市場に特化したサービス開発が必要と考え、2014年末にユーザーの利用調査、開発そしてマーケティングを展開する事業成長戦略チームを設けた。

今回来日した米国本社のシニア エンジニアリング ディレクターのアカッシュ ガーグ氏は、日本でエンジニア部門を新設することについて、「経営陣の中でも日本は非常に重要な市場と認識している。新たなチームを作ることで、これまでの成長を継続するとともに、さらに成長させていきたい。まずは、日本でディレクタークラスのエンジニアの採用を進める予定で、その人を基盤としてチームを拡大していきたい」とコメントしている。

事業成長戦略チームの手掛けるサービスは日本向けが前提だが、日本をイノベーションセンターと捉え、先進的事例を活かしたサービスを開発することで、日本向けだけでなくグローバルへの展開も視野に入れているという。

日本限定の「ニュース」機能、開発の狙いとは?

7月1日は、事業成長戦略チーム初のサービスとして、「ニュース」機能を提供している。「ニュース」機能は、ツイートされている約200媒体のニュースをアルゴリズムを用いて整理することで、タイムラインにあふれる膨大なツイートの中からユーザーが得たいニュースを見つけやすくするサービスだ。

iOS向けに提供開始となった「ニュース」機能

このサービス開発責任者である鈴木 宏輔氏は、開発の狙いを次のように語る。

「現状はTwitterのユーザーには若い人が多いので、30代以上の男性をターゲットユーザーとして開発した。Twitterには既に様々なコンテンツがあるが、利用していないユーザーにとっては見つけるのが難しい。コンテンツを整理して簡単にアクセスできるようにすることが必要だと考え、ニュースに特化した。

ニュースは逐次更新されるので、一日に何度も最新のニュースをチェックしてもらうことで、滞在時間を増やしたい。また、ユーザーが、ツイートの閲覧・リツイートなどのアクション・自らのツイートなどTwitterの使い方に慣れられるように、そしてTwitterが情報収集ツールとして価値があるということを認識させたい」(鈴木氏)

「ニュース」機能は、現時点で日本限定かつiOSアプリ限定のサービスであるが、Androidアプリは「鋭意開発中で、すぐ出したいと思っている。将来的には全てのプラットフォームで展開する」(鈴木氏)予定だという。また、今後は日本以外の幾つかの国での展開も予定しているという。

なお、事業成長戦略チームはユーザー数の拡大をミッションにしているため、「ニュース」機能のマネタイズは、現時点でのサービスロードマップには載せていないという。

「CEO交代による方向性や戦略の変更はない」(アカッシュ氏)

質疑応答では、7月1日付で最高経営責任者(CEO)がDick Costolo氏からJack Dorsey氏に交代したことについて、今後のビジネスに影響があるのか、Twitter社の戦略や方向性に変更がないか?という質問が出た。

アカッシュ氏は、「Dick Costolo氏が辞任したのは個人的な理由であり、引き続き取締役会にも残る。元々、旧CEOのDick氏、暫定CEOのJack Dorsey氏、製品担当上級副社長のKevin Weil氏、エンジニアリング担当上級副社長のAlex Roetter氏は、Twitterのグローバル展開というビジョンを共有していた。今後も方向性は変わらないし、戦略への影響はない」と回答した。

Twitter Japan 執行役員 事業成長戦略本部長 牧野 友衛氏

(左から)Twitter Japan シニアプロダクト マネージャー 鈴木 宏輔氏と 米Twitter シニア エンジニアリング ディレクター アカッシュ ガーグ氏