シマンテックは7月16日、子どもの安全なインターネット利用に対する調査結果を発表し、夏休みに向けて保護者への提案を行った。ゲストとして三児の母となるタレントの辻希美さんが登場、トークセッションも行われた。

自分の子ども、インターネットで何をしているか知ってますか?

シマンテック 常務執行役員 ノートン事業統括本部 統括本部長のアリエン ヴァン ブロックランド氏。日本在住歴20年だそうだ

調査結果を説明したのは、4月からノートン事業統括本部長に就任したアリエン ヴァン ブロックランド氏だ。今回の調査は、消費者行動とインターネットセキュリティに対する意識調査としてシマンテックが行った認識調査(1,020人)のうち、子どもを持つと回答した577人を対象にまとめたものだ。

「インターネットで子どもの安全性についてどの程度自信がありますか?」という問いに対して、79%の保護者が安全性を確信していると回答。一方「あなたの子どもがオンラインで何をしているのかどのぐらい知っていますか?」という質問に対して、正確に知っていると回答したのは12%で、意識のかい離が見られる。

子どもがインターネットでSNSアカウントを持っていると答えた回答者が25%いるのに対し、子どもがSNSにどのぐらい時間を費やしているかわからないと回答した人が31%、子どものPCやスマートフォンの中身を確認していないという回答が88%、子どものインターネット活動をチェックしていないという回答が54%と、保護者が意外に無関心である実態が浮き彫りになっている。

インターネットの情報共有について子どもと話したことがある保護者は半数以下、インターネットにおける行動に関してルール作りや対策をしている保護者は約3分の1と、保護者が積極的に行動していないという結果だ。

子どもを持つ保護者、577人を対象に集計。今後も全体を対象とした発表を行う予定

自分の子どもがオンラインで何をしているのか正確に把握している人は全体の12%に過ぎない。にもかかわらず、79%の保護者はインターネット上で子どもが安全だと確信している

子どもがSNSアカウントを持っているのは4人に一人。一方、子どもがSNSにどれだけの時間を費やしているか3人に一人は把握していない

子どものPCやスマホの中身を確認しているのはわずか12%、子どものインターネット動向のチェックも半数以上がしていないと放任主義が多い

SNSのプライバシー/セキュリティ設定の重要性を理解していると考えている保護者は比較的高年齢で、54歳以下に限定すると30%以下となっている

多くの保護者がうちの子どもは安全と考えている考えている一方で、保護者の懸念事項はそれなりに高いことがうかがえる

ネットいじめに関しては、約3分の2が無いと回答している

インターネット上の行動に関して話し合うことは重要とされているものの、話題にした保護者は半数以下だ

インターネット上の行動ルールや対策を行っているのも重要とされているが、これも3分の1程度しか行われていない

欧米と比べて、日本の保護者は子どもの行動を細かくチェックせず、放任気味というのが結論のようだ

プロダクトマーケティング部の古谷氏はインターネットの利用に対して、「オープンに話し合い、正しい知識を与えつつ、保護者機能の付いたセキュリティソフトの利用」を提案する。

シマンテック ノートン事業統括本部 プロダクトマーケティング部 シニアマネージャーの古谷尋氏

保護者が行う3つの行動。子どもに正しい知識を与えるためには、まず保護者自身が学習しなければならない。ソフトに頼りきりではなく、対話を重視したい

古谷氏は、子どもにとって保護者が「頼れる相手」となって、会話を重視することを強調していた

ノートン製品に保護者機能を追加するのがノートンファミリー。無償版のほかに有償のプレミアム版も用意されている。日本では2010年から提供

会場に展示されていたノートンの主力製品「ノートン セキュリティ」。従来の主力だった「Norton Internet Security」や「Norton 360」は、現在はオンラインストアのみの提供

今回の調査は「子ども」の対象年齢が明確になっていないので、完璧に実践するのは難しいかもしれない。だが、インターネット利用に対して子どもと話し合ってルールを作るということは、以前よりも強く言われている。調査結果を見る限り、今後も啓蒙活動が必要だと感じた。

ママタレントの辻希美さんと古谷氏のトークセッション

スペシャルゲストとして、三児(7歳・4歳・2歳)の母となる辻希美さんが登場。自らの体験を語ってくれた。辻さんは「子ども用のスマホやタブレット」を用意しておらず、辻さんのスマホを順番に使わせているため、子どもの利用時間は一日30分にも満たないという。一方でフィルタリングソフトを使っておらず、閲覧履歴も全部は確認できていないとのこと。

また、親のスマホがロックしてあっても、見よう見まねで勝手にロックを解除。スマホの利用も、常に親の目が届く範囲で行っていないということで、保護者機能の必要性を感じていた。

辻希美さんと古谷氏のトークセッション(写真左)。子どもの友達を見ている限り、数年後には子ども用スマホのおねだりが出てくると感じているようだ