説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『「Force Touch」相当の機構がiPhoneの現行モデルにある、ってホント?』という質問に答えます。

***

まず、「次のiPhone」は未発表であり、その外見はもちろん技術的なディテールは外部に明かされていません。感圧技術についても、その採用の有無すら裏付けがとれていませんから、あくまで推測/憶測であることを最初に念押ししておきます。

指先の画面を押す強さで命令にバリエーションを持たせる「感圧タッチ」は、Apple製品では「Force Touch」と呼ばれ、すでにMacBook/MacBook ProやApple Watchに採用されています。この機構はディスプレイ下に配置される指先の圧力を測定する機構(感圧センサー)と、そのフィードバックとして指先に振動を伝える機構(Taptic Engine)により構成されています。

そのうちTaptic Engineは、指先に振動を伝えるという従来の装置では実現困難な働きが求められるため、新たに採用する以外なさそうですが、指先の"圧"は感圧センサーに頼らない方法でも検知可能です。現在のiOS 8にされている、タッチしたときの指の半径を検出する機構(UITouchクラスに用意されている「majorRadius」プロパティ)がそれです。

iOS 8に用意されているその機構を利用すると、ディスプレイ表面における指の接地面積の変化を調べることができます。軽くタッチすると接地面積は小さく、押し込むと接地面積は拡がるため、そこから"圧"を判断するというわけです。現在出回っているいくつかの画像処理アプリには、この機構が活用されていると考えられます。

ただし、感圧センサーほどの検出精度は期待できそうにないうえに、Taptic Engineによる振動がなければ押し込んだ感覚は得られません。最新のMacBook/MacBook ProやApple Watchと同等のエクスペリエンスを得るには、Force Touchの導入を待つしかなさそうです。

iOS 8にも指先の"圧"を読み取る機構は用意されていますが、Apple Watchに搭載されている「Force Touch」ほどのエクスペリエンスは期待できません