【レポート】

事例 : サイトの検索機能を強化せよ - その理由を古着ECサイトから学ぶ

長谷部葉子

ECサイトにおける取り組みの1つに、「サイト内検索機能の強化」がある。たとえば、検索スペースに文字を入力すると、その文字に続くキーワード候補を自動的に表示する「オートコンプリート(サジェスト)機能」の搭載などだ。

サイト内検索機能の強化とは (資料 : アピリッツ)

本稿では、実際にサイト内検索ASPを導入し、機能強化を図っているECサイトの運営者に、具体的にどれほどの効果を見込んでいるか伺ってきた様子を報告しよう。

ベクトル 取締役 松﨑宣博氏

入力するキーワードとは、これがほしい! というユーザーの主張

「検索窓は、サイトを訪れるお客様が唯一、意思表示する場所です。加えて、入力されたキーワードは、今まさにこの瞬間のユーザーニーズそのもの。これを逃がしてしまう手はありません」と語るのは、ブランド古着通販のECサイト「ベクトルパーク」を運営するベクトル 取締役 松﨑宣博氏だ。

同社は、全国に設けた80の実店舗にて古着を買い取り、常時在庫20万点以上をECサイトにて販売している。1999年のヤフオク! サービススタートからモール出店を開始し、その後、楽天市場やYahoo!ショッピングへと販売窓口を広げたほか、2013年に自社サイトを整備し、直販にも力を入れるようになった。現在では、4つの窓口を合わせ約10万ユーザーにサービスを提供する。

ベクトルが運営するブランド古着通販のECサイト「ベクトルパーク」

「ブランド古着を購入するお客様は、おしゃれで、購入後の満足度が高く、リピート率も高い。自社サイトであれば、こうしたお客様を手厚くフォローして『ベクトルのファン』になってもらい、長期的な関係性を築くことができると考えました」(松﨑氏)

この狙いは的中し、ベクトルパークの自社サイトは立ち上げ後、2年足らずで登録会員数2万5,000人に到達。しかし、同社の保有する在庫は、1年で5万点増というペースで増え続けるほか、数百万ページに及ぶサイト内コンテンツを、月間平均530万アクセスごと最適に表示することは簡単ではない。

「古着は一品ものですから、扱っている商品が、6000ブランド、1万4,000カテゴリに及びます。これら商品を2万5,000のお客様ニーズとマッチングさせ、いかに短時間で『気に入った一着』へと辿り着いてもらうか重要になるわけです」(松﨑氏)

検索時のニーズと実際の製品をどれだけマッチングさせるか

そこで、目を付けたのが「サイト内検索機能の強化」である。ベクトルパークではこれまで、サイト構築に用いたカートシステムの標準機能を採用してきた。

アピリッツ SaaS部 部長 青木達也氏

「検索結果の中で新しい商品を自動的に上位表示するなど、最新機能も搭載していましたが、問題は『一致したものを表示する』というルールがあまりにも単純で、無機質だったこと。たとえば、『スカート』で検索すると、検索結果の中にベルトも表示されたりします。ベルトの説明文の中に『スカート』という文字が入っているためです。『バーバリー』で検索すると、『バーバリアン』も『バーバリーブルーレーベル』も機械的にヒットしてしまいます。これでは、お客様が購入前に離脱してしまっても無理はありませんね」(松﨑氏)

このように、「サイト内検索機能を強化することの重要性に、気づいていないサイトが多いのでは」と指摘するのは、アピリッツにてSaaS部部長を務める青木達也氏だ。


「サイト内でフリーワード検索をしたユーザーは、していないユーザーに比べ、コンバージョン率が約3倍も高いというのが当社の調査で分かっています。フリーワード検索をするユーザーは、はっきりした目的をもってサイトを訪れるため、コンバージョン率が高いのです」(青木氏)

同社がこのたび、ベクトルパークに導入したECサイト向けサイト内検索ASP「Advantage Search」では、いままでに検索されたキーワードなどから自動的に学習分析し、検索結果を自動的に最適化する機能や、サイト内で収集した行動履歴をもとに候補アイテムを類推し、キーワード候補を自動表示するオートリレーション機能などを提供する。

ECサイト向けサイト内検索ASP「Advantage Search」導入後のベクトルパーク検索結果ページイメージ (資料 : ベクトル・アピリッツ)

古着は一品ものであるため、有名ブランドのみを上位表示してもあまり意味はない。ユーザーのサイト内行動や検索履歴を分析し、ユーザーやキーワードごとに最適化を目指すで、マッチング精度の向上を図っていくのだ。

「サイト内検索ASPはむしろ、導入してからが重要。使い込めば使い込むほど、よりお客様の行動パターンを学習・反映させ、その効果が大きくなっていく……長期的に取り組んでいく施策だと考えています」(松﨑氏)

「サイト内検索のほかにも、スマートフォン向けサイトやレコメンド機能、会員登録するときのエントリフォームなど、ECサイトにおいて整備を後回しにしがちな項目はたくさんあります。UIをブラッシュアップするだけでなく、ユーザーのサイト内動線を最適化し、絶えず改善を行っていくことが売上増につながっていくでしょう」(青木氏)


なお、松﨑氏によると3年後には、常時在庫数を現在の5倍となる100万点以上に増やし、売上も7~10倍にする計画もある。同社は今後、「Advantage Search」の導入による「サイト内検索機能の強化」を先駆けに、短期的な売上だけでなく、ファンとの間に長期的な信頼関係を築き、1人当たりの生涯売上を増大させる「ライフサイクルバリューの向上」を実現したい考えだ。

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