インテリジェンスとLife Labは業務提携し、7月から全国市町村などを対象とした農業就業(就農)支援事業を開始することを発表した。

インテリジェンス 執行役員 原野司郎氏

これまでインテリジェンスは、都市型の人材サービスを中心に事業展開してきたが、就農に関する支援も行ってきた。平成13年から、同社では就農フェアを開催。そのほか、就農に関する相談研修やハローワークなどに配布する就農相談・啓発マニュアルなどのパンフレットの制作も行ってきた。同社が提供しているアルバイト情報サービス「an」や転職サービス「DODA」などが、都市部の若い世代のユーザーに認知されていることから、若い就農者を求めている農家へ、橋渡しとしての役割を担ってきたという。

Life Labは、2006年から農業分野をメインとした求人サイト「第一次産業ネット」を運営してきた。同社によると、現在年間で1,000名以上の農家と求職者のマッチングを行ってきたという。

インテリジェンス 執行役員の原野司郎氏は、「今回の業務提携では、インテリジェンスが培ってきた"直接的な支援"と、Life Labの"Webを利用した幅広い支援"を組み合わせて、就農支援のニーズに応えていきたい」と意気込みを語った。

就農人口の減少、高齢化……農業の現状と課題

農林水産省によると、平成26年時点での就農人口は20年間で4割強減少し、65歳以上が64%を占める状況で、就農人口の減少および高齢化は、深刻な課題となっている。またこれにともない、農地の減少や耕作放棄地の拡大も進行している。これらの課題に対して、さまざまな法改正や規制緩和などが進められており、青年新規就農者の拡大、農地の集約化、農業の大規模化、企業の農業参入、6次産業の促進などが図られている。農業生産法人は年々増加し、企業の農業参入や農地の担い手への集約化も進みつつある一方で、新規雇用就農者数は横ばいで推移しているのが実情となっている。

青年新規雇用就農者の拡大と定着化が重要な課題

原野氏は現状の課題に対して、「都市部から就農する場合、必ず移住が伴うため、農業の情報だけでなく、それぞれの土地や生活に関する情報もあわせて提供していく必要がある。また、自治体が就農者をバックアップできる仕組みも重要だ。農業生産事業者と就農希望者、地方自治体の3者をつなぐ就農支援のインフラが必要」と述べた。

募集から移住・就業までをパッケージ化した就農支援サービス

両社が提供するサービスでは、Life Labが運営する「第一次産業ネット」に、地域ごとの農業生産事業者の集合広告とともに地域固有の情報(地域特性情報や移住情報など)を掲載し、就農希望者を募集する。インテリジェンスは就農カウンセリング・相談会を東京で定期設置・運営を行い、就農希望者の集客から就業までをパッケージサービスとして全国の市町村へ提供するという。基本パッケージサービスは農業法人10社掲載×3カ月間で合計300万円を想定しているが、各自治体のニーズにあわせて、臨機応変に対応していくという。求人情報は掲載せず、市町村の基本情報だけを掲載した簡易版ページなど、よりリーズナブルなプランも用意されている。

共同事業のビジネスモデル

両社は、共同事業サービスの特徴として、就農希望者の募集から移住・就業までをパッケージ化した初のサービスであると同時に、自治体向けサービスとしても初であると述べている。

初年度は、10の市町村への提供を目標としている。

左がインテリジェンス 執行役員 原野司郎氏、右がLife Lab 代表取締役 西田裕紀氏