【レポート】

夏に子どもが気をつけたいウイルス感染症まとめ ‐ 症状と予防法は?

今年の夏もウイルス感染症に注意

毎年、夏にかけて子どもにウイルス感染症が流行する。今年は早くも「手足口病」に感染する子どもが急増しているようだ。そこで、夏に子どもが気をつけたいウイルス感染症について、まえだこどもクリニックの院長・伊庭大介先生にお聞きした。

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"夏風邪"とは?

よく「夏風邪」という言葉を聞きますが、医学的にはそのような病名はありません。後述する手足口病やヘルパンギーナ、咽頭結膜熱(プール熱)といったウイルス感染症を一般に夏風邪と呼ぶようです。これらの原因ウイルスは冬よりも夏に活性化しやすいため、毎年この時期に流行する傾向があります。

感染経路の多くは飛沫(ひまつ)感染。咳やくしゃみで簡単にうつってしまいます。また、感染している子どもや、その便や尿への接触によって感染することも。特に幼稚園や小学校など集団生活を行う場所では、集団感染のリスクが高まります。

夏の代表的なウイルス感染症3つ

夏に子どもがかかりやすいウイルス感染症は、次の3つが代表的です。

■手足口病

4歳くらいまでの子どもを中心に感染しやすい病気。主な原因ウイルスは、コクサッキーウイルスA6(CA16)、CA6、エンテロウイルス71(EV71)など。症状としては、感染から3~5日後に、手のひらや足の裏、口の中、ひじ、お尻などに水ぶくれのような発疹が出現します。また、発症者の約3分の1に発熱が見られますが、38度以下にとどまり高熱化しないことが多く、ほとんどが軽症です。しかし小さなお子さんは、口が痛くて水が飲めなくなり脱水になってしまうこともあるので要注意です。症状は7~10日ほどで自然に治まるとされています。

■ヘルパンギーナ

1歳代を中心に4歳までの子どもに多く見られます。主な原因ウイルスは、A群コクサッキーウイルスなど。症状は、まず感染から2~4日後に突然の高熱(38~40度)が出るのと同時に、のどの奥に小さな水ぶくれができます。水ぶくれが破れると痛みが生じるのも特徴です。発熱が2~4日程度続いたあとで、食欲不振や全身のだるさ、頭痛などが現れ、完治するまでには1週間ほどかかります。手足口病と同じく痛みで水が飲めず、脱水を起こしやすいので注意しましょう。

■咽頭結膜熱(プール熱)

プールを介して感染しやすいことから「プール熱」とも呼ばれますが、飛沫感染をはじめ、感染者が使用したタオルや触れたものなどからも感染します。5歳以下の子どもが大半ですが、小学生でかかることも。主にアデノウイルスを原因とし、感染力が強いのも特徴です。感染から5~7日後に、発熱(38~39度)、のどの痛み、結膜炎(目のかゆみや充血など)といった主要症状が現れ、頭痛や腹痛、下痢、リンパ節のはれを伴うこともあります。症状は3~5日程度で落ち着きます。

ほかに気をつけたいウイルス感染症は?

そのほか、夏は次のようなウイルス感染症にも注意が必要です。

■リンゴ病(伝染性紅斑)

両ほほや腕と足などに境界がくっきりした赤い発疹が生じ、軽度の風邪の症状も見られます。発疹ができる頃には自然と抗体ができ始めていて、終わりかけていることが多いです。

■水いぼ(伝染性軟属腫)

感染者との接触や使用したタオルなどの物を介して感染し、皮膚の柔らかい部分に直径1~3ミリ程度の白いポツポツが出ます。患部を触った手で体の別のところを触ると症状が広がっていくことに。いぼをつまんで取る治療法もありますが、再発しやすく跡が残る可能性があります。取らなくても、約1~3年たって抗体ができれば自然に完治する病気です。

治療法は? 学校は行ける??

ここで挙げたウイルス感染症は、病気を根本的に治す特効薬がないので、病院で行う治療も対症療法が中心です。具体的には、発熱や頭痛、手足や口の発疹、のどの炎症や痛み、目の症状などが強く出ている場合は、それぞれに対応した治療法がとられます。お子さんの苦しそうな様子を見ているのはつらいものですが、自然に治るまで辛抱強く看病をしてあげましょう。

手足口病とヘルパンギーナは比較的軽症なので、熱が下がれば発疹が出ていても学校に行って大丈夫。周りの子どもにうつす可能性があるので配慮は必要ですが、ウイルスの排せつは症状がなくなった後に数週間続くこともあり、隔離しても流行を抑えることができません。また、まれに脳炎や髄膜炎など合併症が生じることもあるので、高熱や嘔吐、頭痛などがある場合は、早めに病院で診てもらいましょう。

咽頭結膜熱は、学校保健安全法で「第二種感染症」に分類されており、主要症状が治まってから2日を経過するまでは学校に行けません。

看病のときの注意点と予防法

家庭で看病する際は、基本的には風邪のときと同じですが、水分をしっかり摂(と)らせるようにしましょう。食事では、口の中に発疹やのどの炎症がある場合は、おかゆなど薄味で刺激が少ない食べ物を与えてください。

予防策としては、うがいや石けんでの手洗いを徹底すること。目薬をさすことも有効でしょう。ウイルス感染症は大人もかかることがありますので、お子さんが感染したら、周りの家族も要注意です。うがいや手洗いのほか、同じタオルや食器を使わないことも予防になります。なお、おむつ交換などで便を扱ったときは十分手洗いをするように気をつけましょう。

免疫力を高めるためには、栄養バランスのとれた食事と十分な睡眠を心がけ、規則正しい生活を送ることも重要です。また、学校や図書館などのエアコンのきいた場所は体が冷えやすいので、羽織るものを用意しておくといいでしょう。家では、空気の入れ替えや除湿をまめに行い、ウイルスを繁殖させないこともポイントです。

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夏に子どもに流行しやすいウイルス感染症は、インフルエンザと同じで、きちんと予防していても感染することがある。"感染症"と聞くと動揺してしまいがちだが、わが子でも感染する可能性があることを理解し、かかったときも落ち着いて対処することが大切だ。

※画像と本文は関係ありません

記事監修: 伊庭大介(いば・だいすけ)

まえだこどもクリニック院長。1999年に杏林大学医学部を卒業後、同大学医学部小児科医局に勤務し、2002年には同大学医学部小児科教室助手を務める。その後、賛育会病院新生児小児科勤務を経て、2012年より医療法人社団育真会 まえだこどもクリニック院長として、一般診療のほか、予防接種、乳児検診・育児検診、アレルギー診療など小児科全般の診療に携わる。
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