昨年6月の「コペン」フルモデルチェンジから約1年強。当初から「第3のモデル」と呼ばれ、発売が示唆されてきた丸目のモデルが、「コペン セロ」の名を与えられ、ついに登場した。都内で行われた報道発表会では、クルマの"着せ替え"を可能にする「DRESS-FORMATION」のサービス開始についても告知された。

丸目が特徴のダイハツ「コペン セロ」

待望の丸目モデル登場! 先代モデルからの乗換え需要も!?

満を持して登場した「コペン セロ」は、丸いヘッドランプにフォグランプ、台形を逆さにしたようなバンパー開口部など、先代モデルを連想させるデザインが特徴的だ。先行して発売された「コペン ローブ」「コペン エクスプレイ」と共通の骨格に、「コペン セロ」専用の樹脂外板や灯火器類が採用され、インテリアにも一部専用デザインが取り入れられた。

累計5万8,000台を売り上げるヒットとなった先代モデルは、いまも街で見かける機会が多く、愛嬌のあるデザインへの支持も高い。新型「コペン」への興味を持ちながら、丸目モデルの発売を待って買い控えていた人も、乗換えを考えていた先代オーナーをはじめ、一定数いるのではないだろうか? この6月で累計販売台数が1万台を突破したという新型「コペン」だが、「コペン セロ」の登場でさらに勢いづくのかどうか、楽しみだ。

幌を開けた状態(写真左)と閉めた状態(同右)

インパネなどに「コペン セロ」専用デザインを採用。写真は専用オプションの「レッドインテリアパック」

着せ替えパーツはフルセット約35万円、一部のみ購入も可能に

昨年6月、「コペン ローブ」が発表されたときからアナウンスされていた同車の特徴のひとつ、内外装着脱構造の採用でクルマの"着せ替え"を可能にした「DRESS-FORMATION」。「コペン セロ」の登場でいよいよ実用化される。今回の報道発表会では、この「DRESS-FORMATION」のサービスインも発表され、着せ替え実演も披露された。

先行発売されていた「コペン ローブ」と、今回発売された「コペン セロ」は、樹脂外板11パーツと、ヘッドランプ、リヤコンビランプを互いに交換することが可能だ。樹脂外板パーツとは、ボンネットフードにトランクフード、前後バンパーに前後フェンダーなどで、ドアとルーフを除くほとんどの外板を換装するイメージとなる。着せ替え用「DRESSパーツ」フルセットは35万円前後での販売が予定され、フロントだけ、リヤだけといった一部の変更を楽しめるセットも10~20万円程度で企画されているとのこと。

着せ替え実演前。写真左が「コペン セロ」、同右が「コペン ローブ」

着せ替え実演後。フロント周りが換装されている

10月からサービス開始予定という「DRESS-FORMATION」だが、筆者の予想では、滑り出しの反応はあまりよくないかもしれない。というのも、先行発売されていた「コペン ローブ」でさえ、発売されてからまだ1年……。好きなデザインを選んで新車で購入したユーザーが、この時点で外観を変更したがるとは思えないからだ。

着せ替え実演を見学して、従来の"フェイスリフト"といったカスタム手法と比べ、格段に気軽であることは実感したが、やはりクルマということで、それなりに大がかりな変更にはなり、衣服を毎日着替えるのと同じ感覚というわけにはいかない。

しかし、発売から年数が経過すれば、いわゆる「後期ルック」(おもにマイナーチェンジ前のモデルに、マイナーチェンジ後のパーツなどを用い、後期モデルのように見せるカスタマイズ。パーツを換えるには加工が必要な場合が多い)のような感覚で着せ替えしたいユーザーも出てくると予想する。また、中古車で購入するユーザーが増えれば、いろいろ換えてみようという需要も高まるのではないか?

実演の1シーン。2台からそれぞれボンネットとフロントバンパーを取り外し、入れ替えたものをそのまま工具で装着

ダイハツ工業技術本部製品企画部チーフエンジニアの藤下修氏によると、「コペン ローブ」にはリキッドシルバー、「コペン セロ」にはブリティッシュグリーンマイカという専用色がそれぞれ設定されているが、「リキッドシルバーの『ローブ』に乗っているお客様が、『セロ』に着せ替えたいと思ったときには、リキッドシルバーの『セロ』が完成できるようにパーツ展開をしていきたい」とのこと。

また、クルマの外装部品はフロントバンパーひとつでも場所を取るものだが、「『DRESS-FORMATION』を公表して以来、(取り外したパーツの)保管場所についてお客様からの声も聞いているので、現在検討中。10月のサービス開始に合わせて、正式にお話しさせていただく」との説明もあった。

注目の集まる「DRESS-FORMATION」だが、話題作りで終わらせるのではなく、個性を楽しむオーナーへのサポートに力を入れていくメーカーの姿勢が伝わってきた報道発表会だった。今後、サードパーティからもアフター製品として「DRESSパーツ」が販売され、より多くのデザインが楽しめるようになれば、次第に盛り上がりを見せていくのではないだろうか? 長い目で見ていきたい。