【レポート】

次期Mac OS「OS X El Capitan」の日本語性能と、Macという存在の未来

松村太郎  [2015/06/24]

前回はOS X El Capitanの体験の変化についてご紹介した。現在開発者向けにベータ版が公開されており、Appleによると一般向けベータ版公開に関しては7月に行われるとのことだった。

パフォーマンスの向上に関しては筆者も非常に興味がある。内部的には、iOSで用いられてきたMetalが採用され、グラフィックス周りの高速化、効率的なプログラミングが可能となった。

OS X El Capitanの速さの秘密の1つ、Metal対応。グラフィックスの描画が非常に高速化され、マシン全体のパフォーマンス向上に寄与し、より高度な画像処理のアプリでの活用も期待される

基調講演ではゲームやAdobeのアプリケーションのパフォーマンス向上が伝えられており、特にゲームに関してはMacが非常に注目されるプラットホームへと成長することも期待できる。ただ、あらゆるアプリがUIを利用することから、Metalによる高速化の恩恵は必ずしもゲームやクリエイティブ系アプリのユーザーだけとは限らないだろう。

日本語機能の向上も魅力

これは米国時間6月8日の基調講演で触れられた内容ではなく、その後日本向けのOS X El CapitanプレビューのWebサイトに掲載された内容となるが、日本のユーザーにとっては嬉しい機能向上が盛り込まれた。

まずは日本語入力だ。OS X Yosemiteから「ことえり」ではなく、より高速で変換精度も高い「日本語IM」が採用された。Spotlight検索の仕組みとオープンソースの形態素解析エンジンを利用しており、iOSと同じ仕組みを備えるようになっている。OS X El CapitanもYosemiteから採用された日本語IMが引き続き搭載されるが、新たな機能として、リアルタイム変換を装備するようになった。

通常の日本語入力システムは、ひらがなで文字を入力し、スペースキーを押して変換する手順だ。一方、新しいリアルタイム変換を利用すると、文字を入力したそばから変換し、文章が完成されていく、これまでと異なる感覚となるはずだ。

これはOS X El Capitanで試したわけではないが、リアルタイム変換の例を挙げると、「へんかん」と入力する場合、「へん」まで入力した段階で、すでに「変」と変換された状態になり、「へんか」まで入力すると、「変化」という単語が画面に出る。

続けて「へんかん」まで入力すれば、得たい結果である「変換」が画面に表示される。ここまで、変換のためのスペースキーも確定のためのリターンキーも押さずに表示される。続けて「へんかんしました」と入力しても、冒頭の「変換」はそのままで続きが入力されていく。おそらくこんな流れになるはずだ。

この変換システムのメリットは、入力しながらミスタイプがあった場合にすぐに発見することができるようになる点ではないか、と思われる。変換結果がおかしいことでミスタイプに気づくことも少なくないが、その場で変換されていくことによって、より早く気づけるのではないだろうか。

日本語フォントも4書体追加される

OS X El Capitanでは、システムフォントが、Apple Watchと同じSan Franciscoに変更される。もともと小さな時計の画面に表示する小さな文字でも視認性が高いよう設計されているが、これまでに比べてエレガントな印象を与えてくれる。

iOS 9のシステムフォントにも同じフォントが採用され、また新しいMacBookのキーボード上の文字もSan Franciscoがあしらわれた。Appleの顔となるフォントとして、今後目にする機会が大幅に増えていくことになるのではないだろうか。

加えて、日本語向けの書体の強化も行われる。こちらも日本向けのWebサイトに掲載されている情報となるが、OS Xで主たるフォントとして採用されてきた「ヒラギノ角ゴシック」に、ウェイト、つまり文字の太さのバリエーショんが大幅に追加される。

これまでは、標準的な太さの「W3」、太字の「W6」、極太の「W8」が採用されてきたが、「W0」から「W9」までの9段階に増えることになった。

例えばプレゼンテーションを作っている際、欧文フォントはHelvetica Neueのように、「シン」や「ウルトラライト」など、細い書体も充実していたが、日本語フォントは、GoogleとAdobeが開発した源ノ角ゴシックなどをダウンロードするか、細いウェイトを備える書体を購入する必要があった。

しかしヒラギノが9ウェイトを備え、既存のW3より細いウェイトが3つ増えたことで、欧文と和文を違和感なくデザインすることができるようになるのではないだろうか。

また、「クレー」「筑紫A丸ゴシック」「筑紫B丸ゴシック」「游明朝体+36ポかな」という4つの書体も追加された。筑紫フォントは単体販売されていない書体で、丸ゴシックながら落ち着いたレトロな雰囲気を楽しむことができる。またクレーは硬筆のフォントで、明朝体やゴシック体よりも柔らかに本文を組むことができそうな書体だ。

これらのフォントで「Pages」文書や「Keynote」を作成することができるようになる。El Capitanは今回も無料アップグレードが行われることが予想されるため、これらのフォントを使うためだけでも、インストールしたいところだ。

Spotlightと、Appleアプリの進化

AppleはOS X El Capitanでは、Spotlightも強化される。これまで画面中央に固定されていたSpotlightの検索窓は移動できるようになり、単位変換や天気、ビデオなどをWebを使って検索結果を見ることができるようになった。

ファイルやメールなどの検索は、自然言語での絞り込みに対応した。例えば、昨年の6月の文書、○○から来た返事をしていないメール、という検索ができる

また、Spotlightやメール、Finderでは、自然言語での検索もサポートし、「昨日作ったドキュメント」という分かりやすい条件設定を付与した検索にも対応する。 また、他のアプリの進化もある。

「Safari」でタブを常時保存しておくことができるピン機能。良く使うサイトやソーシャルメディアのページをピンしておくと便利だ

「Safari」では、よく使うサイトのタブを左側に固定し、いつでもアクセスすることができるようにする「ピン」機能が搭載された。また、開いているタブのどこでビデオや音楽が再生されているかがわかる機能(これはGoogleの「Chrome」に搭載済み)が加わっている。

「メール」アプリはスワイプでメールを削除したり振り分ける機能が用意された。これはiOSのメールにも搭載された機能で、iPhoneアプリのMailboxで人気を博したインターフェイスでもある。また、メール作成画面も改善され、作成中のメールをタブにまとめることもできるようになった。

「メモ」アプリはiOS 9を踏襲する進化がみられる。これまでテキストをメモするだけだったが、これに書式やチェックリストを編集する機能、またWebやファイルのリンクを貼り付ける機能が搭載された。

パソコンが最も進化する現場となる

個人的には、すべてWebブラウザでこなすよりは、メールはメールアプリ、メモはメモアプリ、文書はワープロやプレゼンテーションなど、個別に機能が練りこまれたスタンドアロンのアプリを利用する方が好みだ。

その点で、どちらかというとGoogle化(Gmail化?)が遅れているユーザーという位置付けになるかもしれないが、筆者のようなユーザーにとって、AppleがOSに用意する自社開発のアプリが洗練されていくことは喜ばしいし、これを上回ろうとするサードパーティーのアプリの発展も後押しすることになる。

デザイン面、操作性の面、機能の面において、OS Xは最も活発に進化を続けるプラットホームとして、我々を楽しませてくれることになるはずだ。

松村太郎(まつむらたろう)
ジャーナリスト・著者。米国カリフォルニア州バークレー在住。インターネット、雑誌等でモバイルを中心に、テクノロジーとワーク・ライフスタイルの関係性を執筆している。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、ビジネス・ブレークスルー大学講師、コードアカデミー高等学校スーパーバイザー・副校長。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura

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