自然とふれあい、富士山の魅力を堪能

7月1日、いよいよ夏の富士山が始まる。富士山には4つの登山道があり、開通期間がそれぞれ異なる。また、各登山道内の公衆トイレや救護所などの利用期間、そして、マイカー規制期間も異なるため、自分が登山する際にどのような状況なのかは事前に把握しておく必要がある。そこで今回、現在予定されている各登山道の開通期間や特徴をまとめてみた。

吉田ルート2014年は17万人が利用

まずは富士登山客の半数以上が利用する、山梨県側の「吉田ルート」である。富士スバルライン五合目を出発し、山梨県側の富士山の北側から山頂を目指すルートで、4ルートの中では売店や山小屋、救護所が整っているのが特徴だ。2014年には17万947人が利用している。

登山道の開通は7月1日~9月14日(下山ルートは9月15日の午前中まで通過可能)で、スバルラインのマイカー規制は7月10日17時~8月31日17時となっている。

一番距離が短い富士宮ルート

吉田ルートに続いて人気なのは、2014年に6万4,492人が利用した静岡県側の「富士宮ルート」だ。富士宮口五合目を出発し、静岡県側の富士山南側から山頂を目指すルートで、4ルートのうち最も標高の高い位置から出発するため、山頂までの距離が短いのが特徴。なお、全体的に傾斜が急でやや岩場が多い傾向がある。

登山道の開通は7月10日~9月10日で、富士山スカイラインのマイカー規制は7月10日9時~9月10日12時となっている。

「砂走り」も楽しめる須走ルート

樹林帯を抜ければどこからでもご来光が望め、下山道には火山砂利の中を下る「砂走り」エリアもある静岡県側の「須走ルート」は、静岡県側の富士山東側から山頂を目指すルート。2014年には3万3,092人が利用している。標高の高い位置まで樹林帯が広がっているため、登山中の日差しから守られる一方で、樹林帯では見通しが利かず、夜間や濃霧時は道に迷わないように注意が必要となる。

登山道の開通は7月10日~9月10日で、ふじあざみラインのマイカー規制は、7月10日12時~7月12日12時、7月17日12時~8月23日12時、8月28日12時~8月30日12時、9月4日12時~9月6日12時となっている。

健脚向けの御殿場ルート

最後は健脚向けの静岡県側の「御殿場ルート」。静岡県側の富士山南東側から山頂を目指すルートで、傾斜は緩やかであるが、その分山頂までの距離が長い。2014年は1万6,963人が利用するなど、4ルートの中で一番登山者が少ないので、体力に自信がある人はこの御殿場ルートからゆったり登山を楽しんでみるのもいいだろう。

登山道の開通は7月10日~9月10日で、特にマイカー規制はない。

楽しい登山は万全な準備から

つまり、山梨県側の吉田ルートは7月1日~9月14日、静岡県側の3ルートは7月10日~9月10日の期間に開通される。富士登山オフィシャルサイトには安全に登山を楽しむために知っておきたい情報がまとめてられているので、富士登山を計画する際には必ずチェックしておきたい。

また、同サイトには「富士登山における安全確保のためのガイドライン」を定めているが、この3月には、スノーボード等による滑走の危険性や、2014年9月の御嶽山の噴火による事故を踏まえ、噴石や落石から身を守るためのヘルメット等の持参を推奨する文言を追加している。ガイドラインは主に夏山期間以外における注意事項だが、合わせて目を通しておくことをオススメしたい。

登山はあくまで自己責任。服装や携帯品の準備のほか、無理のない登山スケジュールを立てて、安全で楽しいひとときを世界遺産「富士山」で過ごしてもらえればと思う。

※写真はイメージで本文とは関係ありません