壊れてしまったら新品と交換。それも、いつ買ったものでも構わない――そんな驚くような永久保証サービスを昨年4月からスタートさせたSHOWCASE秋葉原。iPhoneケースやガラスフィルムなど、iPhoneアクセサリを販売するショップである。最近ではサービスの適用範囲をオンラインショップにも広げた。業界に衝撃を与えた永久保証サービスから1年。果たしてユーザーからの反応はどんなものだったのか。永久保証サービスとSHOWCASE秋葉原の今を取材した。

SHOWCASE秋葉原

「永久ですか? 本当に?」

とても信じられないといった表情でそう聞き返すのは、取材陣がSHOWCASE秋葉原を訪れた際にちょうど買い物をしていた若い男性だった。ガラスフィルムを購入し、支払いの際に永久保証サービスの説明を受けたのだ。

永久保証サービスのパンフレット

男性が驚くのも無理はない。通常、製品の保証は1年から、せいぜい5年。壊れたら永久に保証するなどという話は聞いたことがない。それをやってのけたのがSHOWCASE秋葉原だ。iPhoneケースや画面を保護するガラスフィルムなど、iPhoneアクセサリを多数取り揃えており、セレクトした商品の品質には絶対の自信を持っている。

「永久保証」は、そんな品質への自信とこだわりの証明として、同店舗が一年前からスタートさせたサービスである。サービスを受ける条件はただひとつ。SHOWCASEの会員になることのみ。商品を買った際にレジカウンターで案内を受け、メールアドレスなど簡単な情報を指定の用紙に書き込むことで会員登録が完了する。登録は無料。ものの数分で完了する。

実際に永久保証を受けるまでの流れを体験してみた

登録は数分程度で終わる

会員になることで、顧客情報が登録され、永久保証サービスを受けることができるようになる。万が一、購入した商品が破損したら、レシートと一緒に店舗まで持っていけばその場で新品に交換してくれる。それも無期限だ。

実施から一年。ユーザーからの反応は上々だと、同店舗を運営する株式会社KODAWARIの代表取締役社長・田村洋祐氏は話す。ユーザーからすればマイナス面がまったくないサービスなのだから、ある意味当然の反響ともいえるが、一方で懸念されていたのは、店舗運営への影響だ。たとえば購入した顧客が次々に壊れた商品の交換を求めてきたら、さすがに商売が成り立たない。

店内には「永久保証」の文字が

手軽に買える商品はもちろん、15万円もの高額なアクセサリも並ぶ

田村社長も、サービス開始時のインタビューでは「品質に自信があるからこそのサービス」と自信をのぞかせながら、「どうなるかは正直、やってみないとわからない」とコメントしていた。同社だけでなく、業界全体を見渡しても前例のない挑戦なのだから、それも当然だろう。

実際、永久保証サービスをスタートして2日目に、早くも先行きが危ぶまれる出来事があったのだという。

「木製の高級iPhoneケースを購入された方が、その後すぐに落として壊したということで持ち込まれたのです。もちろん交換させていただきましたが、そのときはさすがにちょっと日和りましたね(笑)」(田村社長)

しかし、何カ月か永久保証を運用してみると、懸念していたような事態にはならなかった。保証のために価格を上げることもなく、店舗の運営に影響が出ることもなかったという。

「基本的にSHOWCASEでは簡単に壊れるような商品は販売していません。販売している商品はどれも丈夫で、しっかりとした品質のものばかりです。永久保証サービスは、それができるくらい品質に自信を持っていることの表明なのです」(田村社長)

永久保証できるだけの品質がSHOWCASEのこだわりだ

それでも、木のケースやガラスフィルムなどは、どうしても壊れるときは壊れてしまう。そんなとき、顧客は壊れた製品を店舗に持ってくるのだが、誰もが一様に不安そうな表情をしているのが印象的だと田村社長は言う。

「日本人気質なのかもしれません。『本当にいいんですか?』みたいな感じでいらっしゃるんです。当然、永久保証ですから無償で交換させていただくのですが、帰り際にもまだ『大丈夫ですか?』みたいに仰る方もいますし、それでは申し訳ないから何か別のものを買っていくよと言ってくださる方もいます。たまに、『会員になっているけど応援したいので、あえて新品を買い直します』なんて方もいます。もちろん、お気遣いいただかなくて結構なのですが、そういうお気持ちは嬉しいですね」(田村社長)

現在、永久保証で製品を交換に来るのは、多くても1日5人程度。やはり壊れやすいガラスフィルムの交換が圧倒的に多い。買った5分後に来る人もいれば、買ってから半年経って持ち込む人もいるという。むろん、どちらも変わらず、永久保証の対象だ。

好評を受けて、SHOWCASEでは永久保証サービスの対象を実店舗からオンラインショップへと拡大した。その理由を田村社長は「やはり手数料がかからない自社サイトで購入してくださる方にはそれなりのメリットを与えてあげたいから」だと話す。

「僕は昔からクレーム対応が苦手なんです。クレームが来るということは、お客様が満足していないということだと思うんです。直営店だからこそできる永久保証サービスの対象を拡大することで、一人でも多くのお客様に満足していただきたいですね」(田村社長)

事も無げに話す田村社長だが、商品の価格を一切上げることなく永久保証を約束するのは簡単にできることではない。商品の質に対する絶対の自信と、徹底したユーザー目線があるからこそなのだ。

「永久保証サービスをしてもいいくらい、各社が質の高い商品を出す。そんな流れが業界全体に広がるといいなと思っています。その中で『SHOWCASEで買えるなら安心できる』と思っていただけることを目指していきます」(田村社長)

永久保証サービス開始から一年。品質と顧客満足度を追求するSHOWCASEの挑戦はこれからも続く。