髪を切るときに悩むのが、前髪をどうするか。マイナビニュースのアンケートでは、男性は「前髪のある女性のほうが好き」という男性のほうが多い結果となっています。でもどうして前髪がある女性のほうが、男性ウケがいいのでしょうか。

前髪があると幼い? 大人っぽい?

前髪が好きな男性の理由をアンケート結果からみていると、すごく面白いことに気づきます。たとえば、「おでこはみたくない」や「前髪のあるほうが自然だから」。この理由は、個人の好みなど、なんとなく予想がつく理由ですよね。

おもしろいのは「かわいくみえるから」と「大人っぽくみえる」というのが、前髪が好きな理由としてあげられている点です。かわいいというのは、どちらかといえば幼さにつながる印象。大人っぽさであれば、きれいとつながるはずなのですが、大人っぽさと幼さのかわいらしさの両方が、前髪に関係しているわけです。

そしてさらに、前髪がないほうが好きという男性のその理由にも、「大人っぽいから」というのがあげられています。つまり男性にとって、前髪があろうが、なかろうが、大人っぽくみえるひともいるわけです。

つまりは、前髪があるほうが好きということに、明確な理由がないのかもしれません。前髪が好きという前提のなかで、大人っぽいのが好きという男性とかわいいのが好きという男性が、いるんだと思います。

前髪あり、前髪なしで変わる印象

そういってしまうともともこもないので、前髪の有無で顔がどう変わるかについて考えてみましょう。本来、前髪をつくらず、おでこをみせることは、造形的には子どもの顔の印象です。赤ん坊の顔を想像してもらうといいかもしれません。

それに対して、前髪があると大人っぽい印象になります。これは、おでこを見せるか見せないかによって、相対的に目の位置の見え方が変わるからです。目が顔の上下の中心に近いほど子どもの顔の印象になるわけです。髪型によっては、前髪のないほうが大人っぽい印象になるという人もいるでしょう。

また髪の量の少なさは老けた印象にもつながっているので、それも関係してきます。その意味でいえば、男性が前髪が好きなのは、大人である=性的に成熟しているという印象を、無意識のうちの感じているからなのかもしれません。

前髪が好きな男性は多いので、前髪をつくってもいいと思います。ですが、前髪をつくったことでどういう印象を与えるかは、前髪のつくりとあなたの顔の形も関係してくるでしょう。丸顔のひと、卵形のひと、面長のひと、逆三角形のひと。そして、自分のなりたいイメージ(見せたい印象) で、かわいくだって、大人っぽくだってみせることはできるわけです。

よくいわれるのは、左わけはまじめでしっかりとした印象に、右わけはフェミニンな印象に、ぱっつんはカジュアルな印象にみえます。いろいろ挑戦してみて、自分に合う前髪の作り方を見つけてみてはどうでしょうか。

※写真と本文は関係ありません

著者プロフィール

平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。京都大学研究員、国際日本文化研究センター講師、チュラロンコーン大学講師などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。魅力や男女の恋ゴコロに関する心理にも詳しい。現在は、生活の拠点をバンコクに移し、日本と往復しながら、大学の講義のみならず、テレビ、雑誌、講演会などの仕事を行う。主著は『化粧にみる日本文化』『黒髪と美女の日本史』『邪推するよそおい』など。